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たけメモ式One Page Portfolio

高等学校にも観点別評価が導入され、学びのふりかえりなどを積極的に行わせて評価する流れになりました。たけメモでは観点別評価導入前から一枚ポートフォリオ評価(OPPA)の考え方を取り入れた課題を取り入れていました。今回は、2024年に改修した課題をメモします。


OPPAに出会ったきっかけ

OPPA(One Page Portofolio Assesment)については、以下の書籍をぜひ読んでみてください。

OPPAを取り入れようと考えたきっかけは、生徒に日々の学習をどのように振り返らせるか、振り返りの質の向上とその評価をどのようにすればいいだろうかを模索していたときに上記の本に出会ったことでした。

振り返りの効果的な仕組みがないか、授業内容を自分で再構築させる効果的な仕組みはないだろうか、と本を読み参考にしました。

OPPAをアレンジした学習ポートフォリオ

上記で紹介した書籍には、実践例も掲載されているのですが、多くの実践は小学校や中学校のものであり、高等学校のものはあまりありませんでした。数学になるとなおさらです。そこで、2023年度まではノートの使い方を見直し、ノートはメモ、メモをもとにGoogle Slideにまとめをさせることを考えて、Google Slide版学習ポートフォリオを考案し、課題として取り組ませていました。

学習ポートフォリオの先頭にはこのような記入例をつけている

このGoogle Slide版学習ポートフォリオは、一枚ポートフォリオと異なる点があります。一枚ポートフォリオは単元で1枚ですが、この学習ポートフォリオは、1授業1スライドです。この形に行き着いた理由は、高校の1コマの学習内容は小中学校に比べて膨大であること、デジタル化を念頭におけば、記入のスペースを気にする必要がないことです。1スライドで入力するにしても、ある程度は授業の要点を抜き出したり、要約して記入することが求められます。1枚ポートフォリオレベルのまとめ量にしてしまうと、どうしても見返した時に大事な定理や公式などが記述されていない状況になるのではないかと考えました。

デジタル化、記録の積み重ねでパフォーマンス課題につなげる

OPPAには単元の最初と最後に考える単元の本質的な問いが書かれていますが、この学習ポートフォリオにはその項目はありません。あくまでも学習の記録を積み上げるツールとしています。しかし、単元の本質的な問いを考えないわけではありません。単元ごとに、その単元の本質的な問いをパフォーマンス課題として、生徒に課します。
単元の本質的な問いに迫る質問や課題を作るのは大変です。デジタル配信なので、ポートフォリオ配布時に完成していなくても、追加でアップデートできるというのがデジタルで行う強みです。

2024版学習ポートフォリオ課題

2023年度までGoogle Slideによる学習ポートフォリオを2024年度、リニューアルしました。

定期考査までをI期として期ごとに配信する

リニューアルの理由

2023年度版と2024年度版で大きく変えたことが、

  • Google Slideではなく、Google Documentで行う

  • 本来の一枚ポートフォリオに近づけ、学習内容のまとめは文章表記させる形式にする

ということです。2023年度版まで大事にしていた公式や定理などをまとめさせることに重点を置かなくしました。理由は

  • スライドでまとめさせる作業は、時間がかかる割に頭を使う活動ではない

  • 自分で作ったまとめスライドを生徒が見直して勉強している様子が見られない

  • 色々な教科科目で同じ実践を行うことを意識して、より汎用性の高い形を模索したい

です。

最近読んだこの本がきっかけになりました。

この本によれば、脳への負荷が低い「繰り返し読む・ノートに書き写す、まとめる・ハイライトや下線を引く」といった勉強法は効果が薄いとあります。逆に効果が高い勉強法は、「学んだことを自分の頭で思い出したり、アウトプットする・時間を空けて定期的に復習する・勉強した内容に自分で自分に質問する」などとされています。

そうして、実際に作った学習ポートフォリオの項目は次のようになっています。

何を学んだのかをアクティブリコールの考え方で行わせる

何を学習したのかを、頭で思い出して文章で表現させます。
Slide版でも学習内容を整理させ、アウトプットはさせていました。しかし、自分の頭で思い出させるという部分が弱かった。また1回1ページでしっかりとまとめさせるため、繰り返し目に触れることが少なかった。

こういった弱点を補うことを考えると

  • 思い出してかける程度のものにする その代わり、何も見ないで自分の頭で考えて書くことをルール化する(アクティブリコール)

  • 1単元1ページ程度にし、記録のために過去のものが目にふれ、復習のきっかけになるようにする(分散学習)

結局、本来の一枚ポートフォリオに近い形に回帰しました。

疑問点のまとめから、パフォーマンス課題へ発展させる

何を学んだかをアクティブリコールの考え方で自分の頭で思い出して書く
ことに加えて、疑問点やさらに深めたいと思ったことを別に記入させています。

勉強した内容に自分で自分に質問することを活動として取り入れています。毎回、何かしら自分の頭から捻り出して書かせます。この習慣つけることで、質問の質を上げることを狙っています。さらに、ここで書き出した疑問点や深めたいことは、パフォーマンス課題のネタそのものになります。

生徒の記述からこちらで課題を作ることもできますし、書き出した疑問点や深めたい点から1つ選び、それについてレポートを作成するという課題を課すこともできるようになります。

問題演習の履歴をつけ、自分だけの学習に向けた準備をする、自然と分散学習になるように仕組み化する

授業ごとに、その授業内容に対応した問題集の問題を宿題として出しています。そのノートをチェックしない代わりに、取り組んだ結果を3段階で記入させます。

これは、自分は何ができて、何ができていないのかを明確にすることと、定期考査の学習を自分のできない問題にフォーカスするために行わせます。

考査直前には、この履歴を活用して自分のできない問題をできるようになるまで解くためのシートを別で配布します。

これにより、同じ問題を間隔をあけて繰り返し解く分散学習に自然となるように仕組み化しています。

日頃の取り組みを一覧で可視化し、自分が取り組むべき問題と量を自分で調整できる

テンプレート

Doc版ポートフォリオの雛形をコピーで使っていただけるようにしています。

2024年度版

生徒の学習の質を高める、自分で学習を調整できるようにすることを目指して作ったツールになります。高校生以上を対象にしたこういったツールはあまりないと思うので、参考にしていただければ幸いです。

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