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忙殺

忙殺とは完全に言い過ぎである。
ただ、今週はそれなりに多忙を極めた。

連休の前に潰せる仕事は潰したので、
あとは連休後の自分に任せることにする。

何となく「忙殺」という字面を見てみる。
「忙しさに殺される」という。いささか過激だ。

この熟語を考えた人は、自分が忙しかったのか、
それとも忙しそうな人を見て思いついたのか。
いずれにしても大袈裟な人だなと思う。


何となく、辞書も引いてみる。

ぼう‐さつ〔バウ‐〕【忙殺】 の解説
[名](スル)《「殺」は意味を強めるために添えたもの》多忙なこと。仕事などに追われること。「雑務に―される」
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%BF%99%E6%AE%BA/

《「殺」は意味を強めるために添えたもの》とある。

なんなんだそれは。
忙しさに殺されるんじゃないのか。

つまりこの熟語は「殺」という字を、
「超」とか「めっちゃ」とか「ウルトラ」ぐらいの
ニュアンスで使っている。
簡単に刃物を振り回す感じが怖い。

また、この熟語が成立するなら、
他にも「『形容詞』+『殺』」という構成の言葉があっても良いような気がする。

嬉殺
楽殺
寂殺
悲殺
恥殺
美殺

試しに創作してみた。いちいち凶悪だな。
その意味がなくても、文字のパワーが強すぎる。

調べてみたが、やはりどの熟語も存在しなかった。
「忙しい」だけ「殺」を認められている。
なんとも不思議だ。


そもそも「殺」という漢字の意味を調べてみると、

①ころす。あやめる。
②なくす。ほろぼす。
③程度がはなはだしい意を添える語。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/kanji/%E6%AE%BA/

③にあるように、大きな意味のひとつとして、
しっかり明記されていた。

他にこの意味の「殺」を用いる語として、

殺到
悩殺
黙殺

などが挙げられており、
形容詞ではないものの、言われてみれば確かにといった感じだ。

心を亡くして殺されると書く「忙殺」。
どうやら、見かけほど怖くはないらしい。


昨日の帰宅道中の暇つぶしに、
日記として書こうと思ったのですが、
思わぬ方向に筆が進んでしまいました。
変なテンションになっていたのでしょう。

これだけ「殺」の字を使うと、
文章の見た目も、携帯の予測変換もすっかり物騒です。

罪滅ぼしに、今日は墓参りに出掛けます。
皆様、良いお盆をお過ごしください。

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