決め手は知名度?イメージ?まさに転換期の脱毛サロン業界を分析
こんにちは!ノウンズライターのTです!
突然ですが、皆様、脱毛サロンに通ったことはありますか?
今や親が子供に進学祝いとして脱毛サロンをプレゼントする時代。
女性だけではなく、男性の脱毛も一般化していますよね。
しかし、なかなか「これだ!」というサロンには出会いにくいもの。
また、昨年含めここ最近は、業界に影響を与える大きなニュースも多々あり、そのたびに話題となっていました。
コロナ禍の煽りを大きく受けて業界全体に激震が走っている脱毛業界。
今回はそんな脱毛業界に注目しようと思います!
「Knowns Biz」の億単位の消費者データを活用することで、数ある脱毛サロンについて満足度や認知度を軸にそれぞれ消費者がどう捉えているのかを広く分析していきます!
脱毛サロンとは
その字の如く「毛を脱ぐ」施術を行うサロンのことを、脱毛サロンと言います。そもそもムダ毛は、肌や体を外的な刺激から守るために生えていますが、最近は毛があることで臭いがこもったり、不衛生になったりするという見方も強い傾向です。
株式会社リクルートが出している美容センサスを見ると、女性の1回あたりの利用金額は平均7,808円、年間利用回数は4.07回となっており、定期的にサロンに通う方が多いことが伺えます。
また、「基本的に1つのサロンを使い続けている」方が圧倒的に多く半数以上を占め、「ある程度決まったサロンはあるが、ときどき新しいサロンも使っている」方が次に多くいるようです。
”もっぱら自己処理!”という方も多いかもしれませんが、ワキなど毛の多い箇所は自己処理による炎症や刺激でメラニン細胞が活性化され、色素沈着が起こりやすくなるデメリットも。
そんな肌トラブルを避けるためにも自分にあったサロンを見つけたいですよね。まずは脱毛サロンのメリットを見ていきましょう!
脱毛サロン3つのメリット
1.自己処理の負担が減る
毛の生え変わりの周期=毛周期に合わせて、継続的にサロンに通うことで徐々にムダ毛の1本1本が細くなり、本数が減っていきます。
そのため自己処理の回数が減って、日々のケアが楽になります。
2.毛穴が目立ちにくくなる
脱毛を続けるとムダ毛の1本1本が細くなるので、汚れが詰まりにくくなります。そして、徐々に引き締まった毛穴になっていき、毛穴が目立ちにくくなります。
3.肌トラブルを避け、美肌に
先述の通り、自己処理の方法を誤ると、毛穴だけでなく肌にもダメージを与えてしまいます。特にカミソリなどを使うと、肌を摩擦して、乾燥を引き起こす原因に><
サロンで脱毛について熟知した人から施術を受ければ、肌への負担を軽減しながら毛の処理をすることができ、美肌に近づけます!
美容脱毛と医療脱毛の違い
もう一つ、知っておきたいのが、美容脱毛と医療脱毛の違い。
美容脱毛とは
(ミュゼ、TBC、キレイモなど)
美容脱毛は、エステや脱毛サロンで受けられる脱毛メニュー。
脱毛と一緒に美肌効果のあるジェルやトリートメントを塗布するサロンも多く、ムダ毛+肌ケアができるのが美容脱毛の特徴です。
またジェルやトリートメントによって、肌を冷やしながらケアできるので、痛みを感じにくいことがメリットです。
肌に優しい施術である分、通う回数は多い傾向。
医療脱毛とは
(湘南美容クリニック、アリシアクリニック、レジーナクリニックなど)
医療脱毛とは、皮膚科や美容クリニックなどの医療機関で受けられる脱毛メニューのこと。専用のマシンを使い、ムダ毛を処理していきます。
美容脱毛と比べると強くショットを与えるため、比較的少ない回数で脱毛が完了するのがメリットです。 ただし、多少の痛みを感じることがあり、価格も美容脱毛に比べて高額になることが多い傾向。
予算や望む成果によって、美容脱毛と医療脱毛の使い分けを考えるのがベストということですね。
全身脱毛・部分脱毛とは
さらに、どの部位のムダ毛を脱毛するのかによっても価格やサロンの選び方が変わります!ここでは一般的なコースである「全身脱毛」と「部分脱毛」について簡単にご紹介します。
全身脱毛とは
文字通り、腕や足、ワキ、背中などボディ全体のムダ毛を一気に脱毛することです。「とにかく全身のムダ毛をなくしたい!」という人におすすめ!
ただし全身脱毛コースにデリケートゾーン(VIO)や顔(フェイシャル)の脱毛が含まれているかは、サロンによって異なるので注意が必要です。
部分脱毛とは
自分が気になるパーツを指定して脱毛することです。
自己処理しにくいデリケートゾーンだけ、手が届かない背中やうなじだけ、など一人ひとりのニーズに合わせた脱毛ができます。
最初は気になる部分から手軽に脱毛を始めたい!という方にもおすすめ!
顔脱毛でお化粧ノリをよくしたり、夏前には水着対策のVIOが人気になるなど、全身脱毛経験者がさらに気になる部分の施術を選択するケースも多数あります。
データでみる脱毛サロン業界
脱毛の市場規模とは
前置きが長くなりました。ここからは実際に脱毛サロン業界やブランドのデータをみていきたいと思います!
さて、先述の通り、ニーズは衰えず、むしろ最近は女性だけではなく男性がヒゲ脱毛など身だしなみ対策に行う脱毛も増えており、エステ市場規模(フェイシャル・ボディ・痩身などを含む)が3384億円と年々減少傾向にある中、男性の市場規模は初の1000億円の王台を突破し1038億円に!
2022年には75%女性、25%男性だったのに対し、2023年は70%女性、30%男性と男性が5%も増加!
メンズ美容の流れが顕著に見られています。
どんなブランドが選ばれている?
脱毛サロン(女性)について
まずは女性向け脱毛サロンのポジショニング分析を見てみます。
縦軸を満足率・横軸を認知率としてみると、満足度No.1は恋肌。次いでラココ、STLASSHとなっています。
一方で、認知率はエステティックTBCが圧倒的!次いでミュゼプラチナムとなっています。
注目すべきは右上のゾーン。なんと認知度も高く、満足度も高い右上のゾーンには、どのブランドも属していませんでした。これは、業界としてはゆゆしき事態であると見て取れます。
やはり先述の相次ぐ倒産ニュースなどが要因なのでしょうか。逆に、新規参入する企業にとっては追い風の様子です。
イメージ分析では、「リラックス・リフレッシュ」「期待感・ワクワク」「ベーシック・定番的」が上位に。
この辺りのイメージを抑えたサロンが支持されているようです。
「ベーシック・定番的」というイメージが上位に来ている点からも、脱毛サロンの一般化が進んでいる様子が伺えますね。
「恋肌」VS「エステティックTBC」
そこで、ここでは満足率で1位だった「恋肌」と認知率で1位だった「エステティックTBC」を比較してみたいと思います!
(「恋肌」の営業は2023年にて終了していますのであくまでもデータは参考までにご覧ください。)
・デモグラ比較(ブランド認知層全体)
両ブランドとも女性比率が半数を超えております。年齢分布は、「恋肌」が35歳〜39歳比率が高い一方、「TBC」は40歳〜44歳の比率が最も高いという結果になっていました。TBCの方が上の世代に認知されていますね。
・「恋肌」のイメージ
イメージ分析でジャンル平均(赤)と比較したところ、脱毛サロン(女性)全体で上位であった「期待感・ワクワク」「リラックス・リフレッシュ」という項目が平均比でなんとマイナスでした。
一方で、「カジュアル・プチリラックス」がプラスとなっていました。加えて、平均比で開きが大きく強みとなっているのが「可愛い・萌え」「自然・無加工」「青春・甘酸っぱい」という項目でした。
「恋肌」は過去にイメージモデルにみちょぱ(池田美優)さんを起用しているので、併せてみちょぱさんのイメージも見てみると、女性タレント全体イメージと比較して(カッコ内の青い数値・特徴度)、「やんちゃなイメージ」や「面白いイメージ」が突出していました。
意外と「恋肌」のイメージとはまた違ったイメージですね。
ただ、少し手を加えて相関分析をしてみたところ、「①みちょぱが好きで恋肌を利用経験したことがある人」と「②恋肌を利用経験したことがある人」を比較としたところ、①の方が173%も多い結果が出ていました!
つまり、「みちょぱと恋肌は相関が強い」と言うことがわかります。
さらに調べていくと、公式HPにもある「脱毛ストーリー」がまさにイメージ上位の「可愛い・萌え」「自然・無加工」「青春・甘酸っぱい」を構築しているような気がしました。
人気漫画家さんが描いているこちらの漫画ですが、まさに先程のイメージを醸成するような内容になっており、脱毛をしたい方のニーズをしっかり捉えられているな〜と感じました!
・「恋肌」の7 Journey
ただ、7 Journeyを見てみると、未認知層がなんと約85%とまだまだ裾野が広いことがわかります。ロイヤル層も1.7%と少なく出ています。
また特筆すべきなのは、離反や離反予備軍が少ないこと!
そもそも脱毛サロンにどう通うか、何度も行くものなのか、それとも一定期間行って満足して終了ということが多いのかそれによっても離反層についての考え方は変わるとは思いますが、統計的なデータは残念ながら入手できませんでした。
ただ、調べて見ると、回数制プランを契約している割合が多く、脱毛完了まで2年ほどかけて通い続ける方が多いというデータもありました。
なので、過去購入者が次回以降購入していきたいと考えているかについては、回数券なのか通い放題なのか、単発チケット(都度払い)なのか等の購入プランによっても大きく変わってきそうだなと感じました。
また、もっともっと認知を高めることで、「恋肌」へ興味を持つ方は確実に増えるということは言えそうです。
(すでに終了してしまっているのが残念です…)
・「エステティックTBC」のイメージ
一方で、認知率がズバ抜けて高かった「TBC」を、先程と同じくイメージ分析でジャンル平均(赤)と比較しました。
すると、上位である「期待感・ワクワク」「リラックス・リフレッシュ」という項目が平均比でプラスとなっていました。「カリスマ性がある」というイメージが平均比で特に秀でていますね。
脱毛サロン(女性)ジャンルの平均を押し上げていると言えそうです。
「TBC」のブランディング戦略を覗いてみると、下記のような差別化戦略を以て多方面にわたる広告展開をされています。さすが老舗大手ですね!
なお、イメージモデルのローラさんのイメージ分析を見てみると、「グローバルなイメージ」「面白いイメージ」が特徴度の上位でした。納得の結果です。
(特徴度とは女性タレント全般のイメージと比較して特徴的な差が出ている数値を指しています。青文字はプラス、赤文字はマイナスです。)
ちなみに、ここでも試しに相関分析をしてみたところ、「①ローラが好きでTBCを利用経験したことがある人」と「②TBCを利用経験したことがある人」を比較としたところ、①の方が123%も多い結果が出ていました!
つまり、「ローラとTBCは相関が強い」と言うこともわかりました。
・「TBC」の7 Journey
こちらも7 Journeyを見てみると、未認知層は38.5%と「恋肌」に比べ圧倒的に認知されていることが分かります。
ただ、ロイヤル層は1.6%と「恋肌」とほぼ同数。「チャンス」と「きっかけ待ち」が多く、ここを取り込めれば、大きくサロンへの集客が叶いそうです。
ここまで脱毛サロン(女性)について見てきました。
≪女性の脱毛サロン全体≫
・満足率1位:恋肌
・認知率1位:TBC
≪両ブランドの共通点≫
・起用タレントとの相関はどちらもバッチリ
≪両ブランドの相違点≫
①認知層
_恋肌は35歳〜39歳がメイン
_TBCは40歳〜44歳がメイン
②イメージ
_恋肌は「可愛い・萌え」「自然・無加工」「青春・甘酸っぱい」
_TBCは「カリスマ性がある」
などとわかってきました。
筆者としては、恋肌に満足している理由についてもっと深堀っていきたいと思いました。いずれもマーケティング戦略の結果がダイレクトに数字に現れているようで面白いなと感じます。
(満足度でNo1となっている恋肌が営業終了してしまった点もとても気になるところです。)
脱毛サロン(男性)について
次に男性向け脱毛サロンのポジショニング分析を見てみます。
女性同様に縦軸を満足率・横軸を認知率としてみると、満足度No.1は「レイロール」。次いで「メンズエミナル」となっています。
一方で、認知率は「メンズTBC」が圧倒的!次いで「ダンディハウス」となっています。
また、認知度も高く、満足度も高い右上のゾーンにギリギリ入っていたのが「メンズリゼ」でした。
「レイロール」VS「メンズTBC」
ここでも、満足率で1位だった「レイロール」と認知率で1位だった「メンズTBC」を比較してみたいと思います!
・デモグラ比較(ブランド認知層全体)
ブランドを知っている方のデモグラを見てみると、「レイロール」は女性比率が高く、年代では35歳〜39歳の比率が高い一方、「メンズTBC」は男性比率が高く、年代では40歳〜44歳の比率が高いとわかりました。
直接的にターゲットに認知されているのは「メンズTBC」なのかもしれません。
・「レイロール」のイメージ
イメージ分析を見てみると、「リラックス・リフレッシュ」「カジュアル・プチリラックス」が平均より割合が高く「カッコいい・イケてる」がマイナスであることがわかります。
カッコつけるよりもリラックスしていけるイメージが、男性に求められているのでしょうか。
・「メンズTBC」のイメージ
一方、「メンズTBC」のイメージは、というと、「カッコいい・イケてる」が圧倒的!「レイロール」とは真逆のイメージであることがわかりました。この2つのサロンをもっともっと分析してみるのも面白そうですね^^
男性については需要が最近徐々に伸びてきたものの、まだまだ浸透しきれていないところもあると思うのでもっと普及した段階で是非詳しく調べてみたいと思います!
進化し続ける脱毛業界の今後とは
今回イメージについて徹底分析した脱毛。なんとその起源は紀元前4000年頃(人間が道具を使うことを覚えだした石器時代)とのこと!
楊貴妃・小野小町と並び、世界三大美女と言われているあの古代エジプト女王、クレオパトラも脱毛していたとか!?
(参考:クララビューティークリニックHP)
その後、時は経ち、「身だしなみの一つとして脱毛を受けたい」という消費者のニーズは高まってきました。
特別な資格や技術が必要ではないため事業者は新規参入しやすいことで、
今後も市場拡大が期待できる脱毛業界。
高額なプランを契約する形態のサロンが多かった一時期から「都度払い」を導入するサロンが増えたり、脱毛の種類(光・ニードルなど)に加え、機材も多種多様になっています。
また、あのコンビニジムのチョコザップでも一部店舗は光脱毛ができるようになっていたり、他業種からの新規参入も増え、今までよりも、より手軽に脱毛をすることができるようになっています。
≪チョコザップについてはこちらの記事も是非ご一読ください!≫
さらに医療脱毛も競合に加わり、まさに群雄割拠!
何を競合差別化とするか、ブランドイメージ戦略も、非常に重要になってきていそうです。
(ちなみに、湘南美容クリニックのイメージモデルSnowMan渡辺翔太さんは、Snowmanの中でも好感度No.2!にしても、目黒蓮さん(めめ)の認知度・好感度には恐れ入りました!圧倒的!!!)
長い歴史の中で進化を続けてきた脱毛業界。
大手老舗サロンと新興サロンの入れ替わりも激しい現在、これからの動向にも注目です!
※「恋肌」の営業は2023年にて終了、現在は提携先のエミナルクリニックへ引き継がれているとのことです。詳細は恋肌HPにてご確認ください。
≪本記事は新しいバージョンのダッシュボードを利用しております≫
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