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人気カレールウ比較分析 安定派のハウス×納得派のヱスビー

 こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。

 みなさんは自炊をされますか?
 自炊と言えば「カレー」ですよね。同じカレールウを使っても、それぞれの家庭の味があったり、地域ごとで牛肉、豚肉、鶏肉、シーフードなどメインの材料をはじめ、入れる野菜などにも違いがあります。

 私は日本へ帰るとカレールウを大量に購入してベトナムへ戻ることが多いです。ベトナムでも買えるのですが、日本の食品は高価なので…。
 私は特にこれ!と決めているルウはないのですが、日本ではどのルウが人気なのかしら?とカレーを食べていてふと思いました。

 今回はKnowns Bizを用いて、人気のカレールウについて比較分析してみます。

カレールウの満足度×認知度

カレールウの満足度×認知度
カレールウの満足度

 まずカレールウの満足度x認知度を調べると、認知度に関してはハウス食品の一人勝ちでしたが、満足度のみで見ると
1位:ハウスバーモントカレー
2位:S&Bゴールデンカレー
3位:ハウスジャワカレー
という結果が出ました。

 1位には「ハウス」のバーモントカレーがランクインしています。2位は「S&B」のゴールデンカレー、3位にはまたもや「ハウス」のジャワカレーが入ってきています。

カレーの歴史

 日本人が初めてカレーを目にしたのは、幕末の頃。その後1871年(明治4年)に物理学者の山川健次郎が米国留学に向かう船上でライスカレーに出会ったとされています。幕末から明治にかけて開港を機に、修好国の商人達が横浜に館を構えはじめ、使用人や出入りの日本人を通し、他の西洋料理とともにカレーが日本人に伝わりはじめました。

 日本のカレーはインドを植民地支配していたイギリス人が自国に持ち帰り、イギリス風にアレンジしたものが日本に伝わり、さらに日本風にアレンジされたものが今の日本のカレーのルーツとされています。誰でも簡単にカレーを作ることができるカレー粉がイギリスから日本に伝わってきたことを大きな契機に、日本の食文化にカレーが浸透していきました。
 カレールウが日本の家庭で一般的に使われるようになったのは、高度成長期ごろと言われています。

バーモントカレー

 1963年の発売から50年以上も愛され続けているロングセラー商品の「バーモントカレー」。りんごとハチミツを使ったまろやかなおいしさが特徴で、小さなお子さまから大人まで幅広い世代においしく食べられます。 100%国産のりんごペーストと風味豊かなハチミツ、乳製品などを加えたまろやかでコクのあるカレーが味わえます。

ハウスバーモントカレーの7Journey

 7Journeyを見てみるとハウスバーモントカレー自体の認知率も高く、ブランド選好率やロイヤル層の割合もカレールウの中では一番高いです。

ハウスバーモントカレーの世代分析

 世代別の分析を見ても幅広い世代に認知されています。特に35歳以降からの認知は90%以上、その中でも50代以上は95%超えの認知率をマークしています。発売から今年で60年目を迎える商品の歴史を感じます。

ハウスバーモントカレーのデモグラ

 デモグラフィック分析も見てみます。「バーモントカレー」は女性の購入者がやや多いようです。現在購入者の年代では、35歳〜40代前半あたりが最も多く、35歳以降の世代にあたる購入者の構成比でみても他の同ジャンルと比べ高く出ており、幅広い年代に選ばれています。

どのような人に選ばれる?

 では、どのような人が「ハウスバーモントカレー」を購入しているのかサイコグラフィックを見てみましょう。

ハウスバーモントカレー購入者の個人価値観
ハウスバーモントカレー購入者の社会価値観
ハウスバーモントカレー購入者の消費価値観

 個人価値観の「健康志向・時間にシビア」、社会価値観の「自分より家族優先」、消費価値観の「良いもの良い価格消費」は他2つのカレールウと同様で上位なのですが、その他の上位項目を見てみると、のんびりと自分の時間を楽しみたい「田舎派」や、物欲が少なく現状に満足している「物欲少なめ」の方が多いようです。
 また、商品を選ぶ際には自分が気に入ったものをよりお得に購入したい傾向がありそうです。

ハウスバーモントカレー消費者の声

 消費者の声を見てみると、昔からCMで謳われている“りんごとハチミツ”を使っており、大人から子供まで楽しめるカレーという声が多かったです。また、「子供の頃から馴染みがある」「ザ・家庭の味」という意見も多く見られました。

ハウスバーモントカレー60周年キャンペーン
ハウスバーモントカレー誕生秘話の漫画

 2023年で発売60周年を迎えるバーモントカレー。特設サイトではバーモントカレー誕生秘話やバーモントカレーの進化の歴史、甘口・中辛・辛口のルウを使ったレシピが紹介されています。また新ブランドキャラクターに起用された嵐の櫻井翔さんのCMやキャンペーンが話題となっています。

参考:https://housefoods.jp/products/special/vmt/index.html

ゴールデンカレー

 1966年にS&B食品から販売されている、「スパイシーで香り高い本格的なカレー」がコンセプトの「ゴールデンカレー」。ロングセラー商品で、日本を代表するカレールウの一つではないでしょうか。香り立ちにこだわって焙煎した35種のスパイスとハーブペーストを使用し、口の中に広がる豊かな風味が特徴です。

S&Bゴールデンカレーの7Journey

 7Journeyでは未認知の割合が高いですが、離反は3.4%、離反予備軍が1%を切っているので購入者にリピーターが多いことがわかります。

S&Bゴールデンカレーの世代別分析

 世代別分析では50代以降からの認知率は80%超えと、バーモントカレー同様、古くから知られている商品であることがわかります。

S&Bゴールデンカレーのデモグラ

 デモグラを見てみると、購入者は既婚女性が多く、右側​​グレーのカレールウ全体の回答と比較すると子供がいる方の購入割合も高いです。現在の購入者の年代では、35歳〜40代前半、50代前半の構成比が高く出ています。

どのような人に選ばれる?

S&Bゴールデンカレー購入者の個人価値観
S&Bゴールデンカレー購入者の社会価値観
S&Bゴールデンカレー購入者の消費価値観

 サイコグラフィックを見てみると、個人価値観は物欲が少なく現状に満足している「物欲少なめ」​​の方が多いようです。人との繋がりを大切にしている一方で、「ワーカホリック」で仕事を頑張りながら自分の経験や得た情報を元に消費行動をする「リピート消費」「ハラオチ型消費」の方が多いのが特徴です。

S&Bゴールデンカレー消費者の声

 消費者の声を見てみると、濃厚さやスパイシーさに定評がありました。また「パッケージに高級感がある」「キーマやリゾットにしても美味しい」という意見もありました。

「金曜日はゴールデンカレー」

 現在ゴールデンカレーのサイトでは「金曜日はゴールデンカレー」プロモーションを展開しています。大人にも子供にとっても週の締めくくりの金曜日をカレーの日にしようというプロモーションで、疲れた金曜日でもできそうな短時間・フライパンでさっと調理できるカレーレシピなどを紹介しています。
参考:https://www.sbfoods.co.jp/golden/friday/

ジャワカレー

 1968年に発売された「ジャワカレー」も、50年以上のロングセラーを誇る人気のルウです。「スッキリした辛さ」が味わいの特徴で、辛さだけではないところが人気の、大人向けのカレーです。 カルダモンやコリアンダーに代表されるさまざまなスパイスの複雑な香り、コク深さが辛さとマッチすることで、独特の味わいを生んでいます。 一番人気は中辛だそう。

ハウスジャワカレーの7Journey

 7Journeyではブランド選好率が59.1%と高く、潜在顧客率も高いです。

ハウスジャワカレーの世代別分析

 世代別では30代以降の認知率が80%以上、50代前半と60代の認知率が90%を超えています。

ハウスジャワカレーのデモグラ

 デモグラを見てみると、男女比は女性が少し多いですが他2つのルウに比べ男性の購入者の割合がやや多いのが特徴です。また年代では40代前半の購入率が高いです。

どのような人に選ばれる?

ハウスジャワカレー購入者の個人価値観
ハウスジャワカレー購入者の社会価値観
ハウスジャワカレー購入者の消費価値観

 ジャワカレー購入者の特徴は自分の時間を大切にする「時間にシビア」「時間長者」、また「安定思考」の方が多いようです。消費行動も品質や安全性など自分が信じたものを買い続ける「リピート消費」「失敗回避型消費」の特徴があります。

ハウスジャワカレー消費者の声

 消費者の声を見てみるとカレーのスパイシーさを求める方に選ばれているようです。「ジャワカレー」には、甘口・中辛・辛口の他、スパイシーブレンドやキーマカレーなどのラインナップが豊富で「カロリーや塩分控えめのタイプがあるのがいい」などの声も多かったです。

豊富なラインナップのジャワカレー

 同じジャワカレーでも甘口・中辛・辛口の他、“最高の辛さ”を謳ったスパイシーブレンドや、キーマカレー専用、カロリー50%オフのプライムジャワカレーや塩分25%オフジャワカレーも。
参考:https://housefoods.jp/products/special/java

まとめ

ハウスバーモントカレー消費者の特徴
・35歳以上の女性の購入者がやや多い
・全体的に甘め、コクがあるカレーが好みの人向け
・コスパ重視、自分の気に入ったものを買い続ける傾向

S&Bゴールデンカレー消費者の特徴
・35歳〜44歳、50代前半の年代、女性・ファミリー層に選ばれることが多い
・スパイスが香るも辛すぎないカレーが好み
・仕事を頑張り、物欲は少なめな傾向

ハウスジャワカレー消費者の特徴
・男性の購入者が他よりは多く、40代前半の購入者が多い
・スパイシーで大人な味のカレーが好みの人向け
・品質や安全性重視の安定思考(健康志向)

 全体を通しルウ選びに関して共通していたのは女性はカレーに対して「手軽さ」「家族や配偶者、みんなで楽しめる食事」を基準に選んでいる方が多く、男性は「辛さ」「スパイスの香り」「コク」など自分の好みの味を基準に選んでいるというコメントが多かったです。

 みなさんのルウを選ぶポイントは何ですか?

筆者のひとこと

 おうちカレーと言えば「隠し味」と「複数のルウを混ぜる」がよく話題にあがりますよね。私の母のカレーはトマト缶と舞茸を入れるのがポイントです。私もそれを引き継いでいて、自分でカレーを作る時はトマト缶や生トマトを使って無水で作っています。
 みなさんのご家庭のカレーはいかがですか?お勧めの隠し味やおすすめのルウの組み合わせがあれば教えてください!

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Knowns Bizは、「消費者のイマ」を知ることができる、消費者データを大量にストックしているデータプラットフォームサービスです。ブランドやアニメ、タレントなどのデータが揃っているのでデータ取得の手間なくすぐに使用することができ、デモグラや価値観の属性データと掛け合わせることで、あらゆる切り口で分析可能です。データサイエンスを扱いやすく、もっと身近にすることで、思いもよらないマーケティングの文脈を創出し、新しいマーケティングアイデアを生み出します。

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