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猫型ロボット?おやさい学校?コミュニティ戦略が熱いしゃぶ葉を分析

 こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。

 冬といえば“鍋”ですが、みなさんは何鍋がお好きですか?私は鍋のカテゴリーではしゃぶしゃぶがダントツで好きです!特に食べ放題は「今日は食べるぞ!」というようにテンションが上がりますよね。
 日本にはさまざまなしゃぶしゃぶ食べ放題のチェーンがありますが、人気のお店はどこでしょうか?

Knowns Biz調べ:ポジショニング分析 しゃぶしゃぶ・すき焼きチェーン
Knowns Biz調べ:ブランド認知率・好感率 しゃぶ葉

 Knowns Bizで“しゃぶしゃぶ・すき焼きチェーン”を調べてみたところ、満足率・認知率でバランスが良かったのが「しゃぶ葉」でした。
 今回はそんな「しゃぶ葉」について分析してみたいと思います!


しゃぶ葉

引用元:しゃぶ葉 公式 Xより

 「しゃぶ葉(しゃぶよう)」はガストやバーミヤンなどを手掛ける創業53年の老舗企業「すかいらーくグループ」が運営している、お肉と野菜が食べ放題のしゃぶしゃぶチェーン店です。
 2007年にブランド展開した「しゃぶ葉」は手軽に楽しめる価格設定ながら、だしやタレ、薬味、デザートバーなどの種類が充実しています。
 またサラダやご飯、カレーも食べ放題で、さまざまな味わい方やいろいろな楽しみ方ができるのが特徴です。

引用元:すかいらーくホールディング公式サイトよりブランド別店舗数

 「しゃぶ葉」はすかいらーくグループのレストランでは「ガスト」「バーミヤン」に次いで第3位の店舗数です。
 2023年12月31日時点で国内に279店舗を展開しています。

利用者層分析

Knowns Biz調べ:しゃぶ葉のデモグラ(現在利用者)

 「しゃぶ葉」利用者のデモグラ構成比をみると20代前半~40代前半が多く、特に30代~40代前半の割合が高く出ています。
 男女比では女性が多いです。

Knowns Biz調べ:しゃぶ葉の7 Journey
Knowns Biz調べ:しゃぶ葉のファネル分析

 「しゃぶ葉」の7 Journeyを見てみると、未認知率はやや高いもののロイヤル層の顧客が多いです。ファネル分析では認知からの購入意向も高く、また現在購買⇒リピート意向は97.8%とリピーターがとても多いです。
 認知しているが利用したことがない潜在顧客や未認知の層にアプローチできると、さらに人気が出そうです。

どんな人が利用している?

Knowns Biz調べ:しゃぶ葉現在利用者の個人価値観
Knowns Biz調べ:しゃぶ葉現在利用者の社会価値観
Knowns Biz調べ:しゃぶ葉現在利用者の消費価値観

 サイコグラフィックを見てみると、"アウトドア派”“自己愛強め”"都会派”な方が多いです。
 また社会価値観は自分の幸せを他者に求める“依存集中型”に次ぎ、"トライブ重視”"自分より家族優先”が並んでいます。家族や他者との関わりを大事にしている方が多いようです。
 そして消費価値観は"レビュー熟考消費”"トレンド・限定重視消費"が高いことから、人気の高い流行や限定品を購入したい傾向がありそうです。

 前の章でご紹介した「しゃぶ葉」の楽しみ方でも国産牛からイベリコ豚など、お肉に限らずサラダバーやたれ、デザートなど、しゃぶしゃぶだけに囚われずにさまざまな味わい方やいろいろな楽しみ方ができることが、サイコグラフィックの結果にもマッチしていると思います。​​

しゃぶ葉の人気の理由は?

コスパが良い!

Knowns Biz調べ:しゃぶ葉のワードクラウド  アンケート回答者全体より
Knowns Biz調べ:しゃぶ葉 注目のご意見  アンケート回答者全体より

 「しゃぶ葉」利用者のワードクラウドや意見を見てみると、コスパに関する意見が多く見受けられました。
 また出汁とお肉の注文以外、野菜やドリンク、デザートなどを自分で取りに行くスタイルでタレなども豊富にあることから、自分でさまざまなアレンジメニューを作って自由に楽しむことができるのが人気の特徴です。
 ネットでも様々なアレンジレシピが取り上げられていて、自分で作って食べるという“楽しさ”があります。

 また、平日は無制限(14:40以降の注文:80分時間制限)、土日祝日もオープンから16時までランチが実施されており、「豚バラ 食べ放題コース」であれば1,539円(税込)で楽しめます。
 実際に利用したという声からわかるようにビジネスパーソンの1人ランチにも選ばれているようで、平日無制限はビジネスパーソンの強い味方なのかもしれません。

Knowns Biz調べ:しゃぶ葉のイメージ アンケート回答者全体より

 「しゃぶ葉」のイメージでも“コスパ・経済性”が1位となっているのは納得ですね。また“家庭的・安堵感”や“期待感・ワクワク”のパーセンテージも高いです。
 さまざまな期間限定メニューも登場しているので、定番から期間限定まで楽しめるのは利用者の消費価値観(トレンド・限定重視消費、レビュー熟考消費)にも合っていると思いました。

独自のコミュニティでファンを獲得

引用元:Growth Marketing Mediaより
すかいらーく「しゃぶ葉」のマーケティングの考え方・しゃぶ葉ブランド紹介

 メニュー開発・プロモーションチームのリーダーを務めている岡田氏によると、「しゃぶ葉」の4大ポイントとして「超コスパ!」、「選べる!」、「うまい!」、「楽しい!」を挙げています。

・「超コスパ!」コスパがいいことで認知を取り、そのための商品設計する
・「選べる!」豊富なメニューを選べる楽しさを打ち出すことを狙い、開発・展開
・「うまい!」安くありながらうまいものを、仕入れの段階からいかに引き出すか注力
・「楽しい!」コミュニティの力を借りながら、どんどん多様な価値づけを増やす

 上記の「楽しい!」の部分で触れた「おやさい学校しゃぶしゃ部」というコミュニティはしゃぶ葉ファンと商品開発メンバーが繋がることで、意見交換やメニューの共同開発やSNS発信活動など、しゃぶ葉をより盛り上げていくための活動が行われています。
 先日も3期生の募集が行われていましたが、ファン層が多いようで、メンバーになるには審査で合格しなければならないそうです。
 7 Journeyやファネル分析でロイヤル顧客層やリピート率が高かったのも納得です。

すかいらーくグループと言えばネコ型配膳ロボット“ベラボット”

引用元:ウォーカープラスより

 「しゃぶ葉」をはじめ、「ガスト」や「バーミヤン」など、すかいらーくグループのレストランと言えばネコ型配膳ロボット“ベラボット”ではないでしょうか?

 2022年11月下旬から導入され、現在は全国の店舗に3000台以上導入されているそうです。

 導入のきっかけは人材不足や従業員の負担を減らす目的でしたが、ネコのようなかわいらしい見た目は、子供から高齢者まで幅広い年齢層の客に人気だそうです。
 今回初めて知ったのですが、耳を触ると喜んだりするそうです…!可愛いですね。

 ベラボットはCMでも活躍しており、実はJRAのCMでも起用されていました。馬も猫も好きな私にとってはとても印象に残りました。笑

 以前「JRA×ポムポムプリン」の分析でもJRAはファミリー層の獲得を狙っているのではないかという内容を書きました。

 ファミリーレストランとのコラボによってファミリー層にも競馬をアプローチでき、すかいらーくサイドは店内でのベラボットの活躍を競馬ファン層に知ってもらう機会になっているのかもしれません。

​ またすかいらーくグループ利用者からの人気を経て、ベラボットのカプセルトイも昨年末から登場しています。

 カプセルトイは2種、「ミニネコロボフィギュア」と「ネコロボかさねるスタンプ」で、全国の「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」「しゃぶ葉」「夢庵」「ステーキガスト」で取り扱われています。 
 小学生以下が対象のキッズメニュー「ラッキーセット」を注文するともらえる「ガチャコイン」1枚、もしくは200円でガチャマシンを1回まわすことができます。
 フィギュアはタイヤも付いて稼働することができるそう。可愛いですね!

まとめ

「しゃぶ葉」利用者の特徴
・30代・40代前半、女性が多い
・アウトドア派・自己愛強め・都会派
・家族や他者との関わりを大事にしている方に利用される
・レビュー熟考消費、トレンド・限定重視消費の傾向

 「しゃぶ葉」はコスパに限らず様々な取り組みからロイヤル層やリピーターが多いことがわかりました。
 独自コミュニティ"おやさい学校しゃぶしゃ部”の活動では活動をSNSでアップすることで顧客体験をつくるだけじゃなく、世間での認知率を上げ、更なる新規顧客の獲得を狙っているのかもしれません。

すかいらーくグループはファミレス業界の売上1位

引用元:業界動向サーチファミリーレストラン業界 売上高ランキング​​

 業界動向サーチの行ったファミリーレストラン業界売上高ランキングによると、すかいらーくグループは堂々1位でした。

 1位に選ばれる理由としてはこれらを実現しているからではないかと思います。

日本全国・及び海外に約3,000店舗を展開し、年間約3億人に利用される日本最大規模の事業スケールであること

和洋折衷、多様なブランドを保有​​

引用元:すかいらーくHD公式サイトよりすかいらーくと外食市場

・全ブランドの原材料の一括調達、約3,000店舗をカバーする10か所のセントラルキッチン、調達~レストランへの配送、またデリバリーまで自社で行う効率的な配送によって、高品質なメニューをリーズナブルに提供可能

 安く美味しいものからちょっと高いけど満足するもの、家族で楽しむのかゆったりと楽しむのかで色々なブランド展開があるのはすごいですよね。

しゃぶ葉利用者はどこが好き?

Knowns Biz調べ:しゃぶ葉のブランドスイッチ分析

 ブランドスイッチ分析を見てみると、現在「しゃぶ葉」利用者が次に行く飲食店に選ぶのが「豆乳とんしゃぶ寅太郎」、次点に「しゃぶ菜」が選ばれています。

 「豆乳とんしゃぶ寅太郎」は洋食をベースに87年の歴史を持つスター株式会社が運営しています。
 京都市下京区の四条烏丸にあり、温泉水に自家製の豆冨を合わせて溶かしたオリジナルの豆乳だしで、肉と種類豊富な野菜をいただく豆乳しゃぶしゃぶの専門店です。
 純和風の店内に大小掘りごたつ個室や宴会場を完備とのことで、「しゃぶ葉」とはまた違った、高級路線のお店なので、意外な印象を受けました。

 次にきている「しゃぶ菜」は 「磯丸水産」や「鳥良」を運営するクリエイト・レストランツ・ホールディングスが経営しています。
 「しゃぶ葉」と同じく、野菜やデザートを自分で取りに行くスタイルですが、大きな違いは「しゃぶ葉」は全てのコースにドリンク・デザート食べ放題も含まれていますが、「しゃぶ菜」はドリンクバーを注文するとデザートも食べ放題になる、またショッピングモール内への出店が多いことが特徴です。

  利用する場面や立地によって、利用する店舗を選ばれているのでしょうか。みなさんの好きな「しゃぶしゃぶ食べ放題」はどちらですか?

筆者のひとこと

 学生の頃からしゃぶしゃぶ食べ放題が大好きで、大学生になって初めてアルバイトをしたのもしゃぶしゃぶ店でしたし、バイトをやめた後も大学の側のしゃぶしゃぶ食べ放題に一時期はほぼ毎日友人と夕食に食べており、ものすごく太った記憶があります(笑)。
 今は昔ほど食べられなくて悲しい気持ちになりますが、しゃぶしゃぶ食べ放題は一時帰国時に利用することも多いです。
 「しゃぶ葉」は野菜・タレ・デザートも充実していて、調べると多くの方が独自のアレンジも楽しんでいることがわかりました。私も次回利用する時は、色々試してみたいと思います!

≪本記事は新しいバージョンのダッシュボードを利用しております≫

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