【映画感想】進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

つまらない映画だった。
つまらなかった、とはいえ、特に怒りなどは覚えなかったし、ましてや、やれ原作レイプだとか、これでは邦画の未来はない、などという、自分では何ひとつ国内映画界の現状を変える事はしない、それ以前に出来ない、よくいるクソ映画ファンのような暴言を吐く気も毛頭無い。
お金もったいなかったな、他の映画を観ればよかったな、程度のつまらなさだった。ターミネーターを観るか、アベンジャーズ2にするか、インサイド・ヘッドでもいいけどマッドマックスもう一回観てもいいな、と考えた末の本作鑑賞であったので、その感情はことさら強かった。洋画ばかり並べてしまったが邦画はただ単に時間が合わなかっただけで、それさえクリアしていれば海街Diaryでも、リアル鬼ごっこでもよかった。
ぼくは製作費の違いで映画を選んだりはしない。当たり前だが、
「面白そうか、そうでないか」
で決めている。もちろんその日の気分も、多少はそこに加味される。
「面白そうだ」と選んだのはぼくなのだから誰も責められない。金を返せ、という程の駄作でもない。「進撃の巨人:前編」はよくある、つまらない映画の一本に過ぎなかった。
暇だったしサービス料金(1,100円)で観れたので、暇つぶし程度にはなった。また今回の外出による一番の収穫は、家と映画館を往復することで3DSのすれ違い通信のデータを貯めることが出来、これによって「すれ違い伝説2」をクリアできたのが良かった。早くプレゼントの帽子をコンプリートしたい。

豪華なキャストと特撮には定評のある監督の最新作、ということで大々的な宣伝を打たれる映画であっても、どこかしら地雷臭のする作品というのがある。映画鑑賞をすればすれほど、その感覚は研ぎ澄まされる。それを本作品にも感じてはいたが、観ないうちから批判するのはフェアではないし、とりあえず樋口真嗣の特撮は大好物なので観たのだ。
肩透かし感としてはスタローン版の「ジャッジ・ドレッド」に近かった。「鎧のような制服を着て悪を裁く主人公の活躍を観に来たはずのぼくは何故、ランニング一丁で張り切るおっさんの映像を延々と観ているのだろう」。そういう想いが本編中頭の中をグルグルと駆けまわったのが「ジャッジ・ドレッド」だった。覚えているのはその白いランニング一丁でどこかから脱出したスタローンと、何かロボット出てたな、ということと、「これにて閉廷!」という字幕が出たので「よかった! そろそろ映画が終わる」という安堵を漏らしたことだ。
何を伝えたいのかわからないよ感としてはキリキリの「キャシャーン」に近かった。「キャシャーン」観る前には不安を感じたが、ポスターが格好よかったので思い切って身を投じたのだ。結果、そういうことはブログに書けばいいんじゃないかな程度の「言いたい事らしきもの」、それが何だったのかは最早忘れたが……。あとなんか誰かと闘ってる時にカメラがグルグルしてたな、そんな程度の印象を残すにとどまったのが「キャシャーン」だった。
しかしそういう程度の映画を一本二本観たからといって、別にぼくの人生が悪い方向に傾くわけじゃない。明日仕事に行けなくなるほどの精神的ダメージも無い。上映中に呑んだビールは美味かったし、映画が始まるまでの時間つぶしに入った幸楽苑での夕飯もそれなりに楽しめた。しかしある程度時が経ってからこの日を思い出せ、と言われたら「その日は進撃の巨人を観た日で、映画はつまらなかった」という記憶になっているのだろう。
原作漫画も「何かどいつもこいつも手のひら噛んで巨人になってるな」という印象が残っているあたりからは読んでないし、特別思い入れのあるキャラもいない。一番好きなページは3巻ウソ予告の料理編突入、程度のファンである。
そういうぼくであるので、この実写版で誰がなんて名前でどういう性格なのか全然頭に入ってこない流れにはまいったし、また逆に「原作読んでるからこのノリわかるよね?」という、設定を変えたにしては原作未読者を付き離したかのような演出にも疲れた。
後編があるのだという。単純に考えてこの倍(お金を払って)観なきゃいけないのか、という想いは言い換えると「じゃああとは観なくていいや」という選択にたどり着く。誰一人として感情移入出来なかったこいつら全員がどうなろうと知った事ではない。
huluに加入しているので、気が向けば後半はそこで配信された時に観るかもしれない。権利などの関係からそうなるのは十数年後のことかもしれないけれど、別にそれでもいいやと思う。それまでに死んでしまったとしても、この映画の後編を観れなかったことを後悔はしないだろうし、今際の際であればそんな事思い出しもしないだろう。ぼくがこの映画に残っている興味というのは、まとめるとどういう話だったのかということくらいで、細かな演出や引用などをチェックするつもりもないし、そもそもそれらは細かくもない。しかしよく考えるとhuluはチャプター単位で飛ばせないので、DVDが出たらそれを借りて飛ばし観くらいはするかもしれない。
あそこが良かった、ここが悪かった、その理由はこうだ、という文章も書けなくはないのだけれど、誰が何の役で出ているのかPCから調べようとしたら公式サイトがクソ重くて、しかも待たせた上にどの情報にアクセスするにもさらにクソみたいに時間がかかって(一応書いておくと、ぼくの部屋は光回線を個人契約で引いている)、たいしたことないWebサーバにスクリプトとデカい画像ガンガン突っ込んでユーザの閲覧環境のことなんか考えてないと思われても仕方がないこのサイトの姿勢は映画から受けた製作者たちの印象に近かったが、そんな訳でもう内容について書く程度の気力も完全に削がれてしまった。

友だちや知り合いから「『進撃の巨人』観た?」と聞かれた際に、「観たよ」と答えたい人は必見。是非劇場に足を運んでほしい。もし加えて「どうだった?」という質問をされたら、その時は貴方自身がどう思ったか、あなたの言葉で語って欲しい。
そんじゃーね。

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