言葉にならない言葉たち

言葉はとても便利だ。
自分の希望を直接相手に
伝えることができる。

でも実習では
自分で言葉を発することができない
患者さんたちが
言葉にならない言葉で
訴えかけてくる時がある。

「私は自分でやりたいの」

「浣腸が漏れているのに
何で気づかないの?」

「今日の清拭は時間がかかりすぎ、
とても気持ちが悪い」

きっとそんなことを
考えているはずなのに、

患者が移動しようとすると
「お手伝いしますね」

浣腸をすると
「ちょっと我慢しててね」

清拭がおわると
「スッキリしたね」

と看護師は言う。

なんだかとても虚しくなる。
自分が何もできないことが
すごく悔しいな。

目を見ているようで
見ていない

言葉を聞いているようで
耳を傾けていない

そんな看護師に
わたしはなりたくないな。