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「地域猫」野良猫・ノネコとなにが違うのか

「猫ミーム」爆発的流行
 ハッピーハッピー♪ ハッピー♪ と軽やかな音楽に合わせて子ネコが後肢2本でぴょんぴょんと跳ねながら、両前肢を「バイバイ」と振っている映像をよくみかけます。このほかにも、「ハァ?」と口を開けるネコ、1匹のネコの頭を別のネコが何度も前肢でバシバシ叩いている映像などが、X(旧Twitter)のタイムラインやYouTubeの動画で目にします。ネコたちの面白い、かわいらしい瞬間を切り抜いて、ほかの動画の素材として使うこの「猫ミーム」が今、ネットの世界で人気を博しています。

猫ミーム。
緑の背景で動画の素材として使われる

 過去を振り返ってみると、ネコに学ランを着せた「なめ猫」や、ネコが鍋に収まっている「ねこ鍋」が流行ったことから、日本では定期的にネコブームが発生するようです。考えてみれば、文学の世界では夏目漱石の『吾輩は猫である』、童謡では『ねこふんじゃった』と、ネコという動物の身近さは、さまざまな分野からみられます。

平安時代以前にやってきた外来種
 ネコ(Felis catus)は、野外でみる哺乳類としてごく一般的な存在であるといえるでしょう。古くから日本にいる動物ですが、このネコもまた、外来種の1種に指定されています。その移入元については、明確な記録が残されていないため不明ですが、持ち込まれた年代は平安時代以前とされており、朝鮮半島経由であると考えられています。
 「かわいい」、「癒される」と評されるこのネコですが、希少な鳥類や爬虫類を捕食したり、在来種のネコ類に感染症をうつしたりと、自然環境において悪影響が報告されています。自然環境だけでなく、花壇やゴミ置き場を荒らす、糞尿を撒き散らすといった被害もあり、私たちの暮らしにも影響を与える存在でもあります。

街でみかけたネコ。
肉食獣の鋭い牙が口元にのぞく

名前の数は付き合い方の数
 このネコですが、時と場合、あるいは人によって、「野良猫」と呼ばれたり、「ノネコ」と呼ばれたり、最近では「地域猫」と呼ばれたりと、さまざまな呼称が混在しています。この区別は、いったいどのようにして行われているのでしょう。
 調べてみると、野外で生活しているネコで、エサを与えてもらう、生ゴミをあさるなどして、人間の暮らしに依存して生きるネコのことを「野良猫」と呼ぶようです。反対に、そうした人間生活とは縁が薄く、山中などで自らエサを獲って生きるネコを「ノネコ」とするそうです。
 最近耳にする機会が増えた「地域猫」というのは、「野良猫」のなかでも、とくに地域の人たちが協力してエサをあげたり、去勢手術をして数が増えすぎないよう適切に管理されていたりするネコを指すそうです。こうした名前の種類から、身近な動物の距離感や付き合い方の多様性が表れているように感じます。

 そういえば野外のネコをみると、耳に切れ込みがある個体が目立つようになりました。これは去勢手術を終えた個体を示す印ですので、地域猫、もしくは飼い主がいるネコだと考えられるでしょう。

耳に切れ込みのあるネコ
耳に切れ込みのないネコ。
山中にて遭遇

 耳に切れ込みのあるネコ、ほんとうに増えたと思います。そのうち、街でのんびり生きているネコをみかける機会は減っていくかもしれません。野外でネコが1匹もいない光景は、本来あるべき姿なのですが、やっぱりさみしい気がしますね。

参考文献など
・国立環境研究所 侵入生物データベース
・「[猫学]科学部記者、ノネコを飼う」読売新聞オンライン2023年2月22日配信
https://www.yomiuri.co.jp/life/nyancology/column/20230213-OYT8T50033/

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