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信州大学繊維学部と秋田大学国際資源学部の前身は旧制帝国単科大学

(はじめに)


 
 信州大学繊維学部の前身は、上田蚕糸専門学校と言います。明治43年(1910)に創立されました。英語名は、Ueda Imperial College of Sericulture and Silk Industryと書かれています。つまり、旧制帝国大学の単科大学であったことがわかります。これはフランスの高等教育の制度を模して作ったものでしょ う。フランスの高等教育は、総合大学(Université:ユニベルジテ)とナポレオンが作った専門単科大学(Grands École:グランゼコール)に今も分かれています。決して今の高専ではありません。全く同じ明治43年に秋田大学鉱山学部の前身の秋田鉱山専門学校ができています。明治政府は理系の単科大学を旧制帝大としてこの時期いくつか作っていたようです。
 

1.    信州大学の私から秋田大学Y〇先生へお問合せ


Y○先生、今の秋田大学資源工学部では、もとImperial College(旧制帝大)であったことは伝わっていますか?
 

2.    秋田大学Y○先生からのお返事


鉱山専門学校であったことは知っていますが、 Imperial Collegeのことは知りません。聞いたこともないので、伝わっていないってことですかね。
 

3.    信州大学の私から秋田大学Y〇先生へ


 ネットで、Akita Imperial College of Miningと引いてみました。そしたら、少し違う表記ですが、確かにImperial Akita Mining Collegeとして、ネットにもImperialと冠した旧英語名が出てきます。やはり秋田鉱山専門学校も旧制帝大の単科大学ですね。秋田大学の方が知らないのは残念です。是非、同僚の方にも教えてあげてください。信州大学繊維学部では4年前の100周年記念の行事のとき、昔の教材の掛け軸(今のパワーポイントのようなもの)が多数見つかり、その掛け軸の中にImperial Collegeの表記がありました。そこで大正時代の英語論文なども検索したところ、本学の投稿論文はImperial Collegeとなっていました。また、50年ほど前の同窓会誌から、104年前の設立を文科省に働きかけたとき、上田からは若い教授が出席したが、秋田からは老練な教授が設立準備委員となっていたとの思い出の記事を見つけました。Y○先生、上田蚕糸専門学校と秋田鉱山専門学校は、全く同時に旧制の帝国単科大学として設立されたようです。
 このように帝国単科大学と設立されたものに、今の、東京工業大学、東京外国語大学、一橋大学、大阪大学工学部などがあります。これらは皆Imperial Collegeとして認識されていたようです。
 

4.    秋田大学Y○先生からのお返事


 
そうでしたか、貴重な情報ありがとうございます。鉱山専門学校は、今年度から、国際資源学部、となって独立しまして、私のいる電気電子工学科は単なる「理工学部」になってしまいました。私は鉱山学部の卒業生なので、旧制帝大の単科大学としての誇りを持っていきたいと思います。
 

(おわりに)


以上のように、戦前の上田蚕糸専門学校と秋田鉱山専門学校は、フランスのGrands Ecole:グランゼコールに相当し、Imperial college、つまり旧制の帝国単科大学として設立されました。戦後の現在の学制による、高等専門学校と混同されることが多いですが、けっして同じものではないことがわかります。
 
 
平成26年(2014年)8月30-31日 随筆
令和5年(2023年)11月10日 加筆

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