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《馬鹿話 703》 誰かの為に

世界中の子供たちが、サンタを待っていた。

ただ一人の少年を除いて。

「おじいちゃん、今年も張り切ってプレゼントを配りに出掛けたね」と少年は呟いた。

「みんないいな、おじいちゃんからプレゼントがもらえて」と少年は、母親に尋ねた。

「そういうものよ、誰かが喜べば、どこかで誰かが泣いているわ」と母親は答えた。

少年は大人になってサンタになった。

「お父さん、今年も張り切ってプレゼントを配りに出掛けたね」と少女が言った。

「お父さんの仕事だから我慢してね」と少女の母親が言った。

少女は、お父さんが無事に仕事を終えて、早くお家へ帰って来ることを、今年も願った。


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