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スマホを置いて本を探そう

 関西に住んでいながら、なかなか赴くことが出来ずにいた「下鴨納涼古本まつり」に訪れることが出来た。今年(2019年)は8/11~16の期間行われ、沢山の書店が屋台のようにテントを並べ、総数約80万冊が並んだ。

 近くの鴨川デルタではおじいさんが凧を揚げ、子供達が川で遊び、川原でのんびりする学生がいて、これでもかと夏を詰め込んだ景色が見られた。いつもはうざったく思っていた「真っ青な空に遠くの入道雲」という空の夏アピールも、そのときばかりは心躍った。

 家にいても電車に乗っても何をしていても、つい覗き込んでしまうスマホの世界。気付けば一日の大半を費やしている日もあり、その割には何も身につかないし成長にも繋がらない。人生をシュレッダーに掛けて細切れにし、棄てているようなものだ。

 スマホを鞄にしまい、いくつか興味のある小説を書き出しておいたメモを頼りに80万冊の本の海へ。夏真っ盛りの8月中頃ではあるが、下鴨神社内の大きな木々の陰のおかげで思いのほか涼しかった。メモした本を探すのと、面白そうな題名の本を探す、というまるで宝探しをしている気分だったこともあり暑さを忘れてしまったのかもしれない。

 お目当てにしていた吉行淳之介の本が見つけられなかったものの、この古本市でなくとも見つかるだろうと思っている。見つからないときは見つからないのだ。今見つかるものを楽しもうと思った。

 購入したのは、「ヘル:筒井康隆」 「人生を完全にダメにするための11のレッスン:ドミニクノ・ゲーズ」 「ホロン革命:アーサーケストラー」 の三冊である。これらについてのnoteも書いてみようと思う。

 まだどれも読み切っていないのだが、これもツイッターに棄てた時間を使えばとうに読み終えたはずであろう。

 引用リツイートお気持ち表明、ニュースにもの申す人々、男は~女は~、などいろんな人の思考が流れ込んで来る。

 やはりスマホとは時折距離を置くべきである。

 さもなければ画面の中だけですべてをわかったような気になってしまい、真っ青な空に映えるどでかい入道雲も、神社の木陰の過ごしやすさも、川辺で夏を満喫する贅沢を知ることもなく、ただ怪しく光る平たい世界でブヒブヒ言うだけになってしまう。

 これを読んだあなたも、是非一度スマホを置いて出掛けてみてほしい。そして今年の夏を五感すべてで味わってほしいものである。そしてブックオフに立ち寄って100円の小説買って喫茶店で読んでみることもオススメする。

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