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マイナ保険証の問題点①

 実際にマイナンバーカードを保険証として利用した時に気が付いたことです。

 顔認証機能付きカードリーダの前に立ち、マイナンバーカードをセットして振り返ります。監視カメラはありません。暗証番号を入力して受付を済ませます。
 つまりマイナンバーカードの顔写真と目視で顔が付き合わされることはありません。同じ性別、同じ年齢層で暗証番号を共用するグループが出来れば、なりすましは決して難しくはないと云えます。

 マイナンバーカードには顔写真がついているので、一般的な身分証明書としては金融機関等では他人のなりすましは防げるものと考えますが、医療機関においては顔写真を使わずとも使用できる、というロジックで考えた場合、マイナンバーカードは売ってもそう大きなリスクはなく、買い手側からすると利用価値のあるものになります。

 つまり売られて悪用されますね。住民登録がない人たちにとってはとても便利な仕組みです。需要があればビジネスとして成立しますね。

 そして現在のオンライン資格確認システムには常時監視の仕組みがないと思われます。マイナ保険証が一定程度普及した後、病院側の不正利用は増加するでしょう。これはマイナ保険証そのものの問題ではないのですが、記号番号等を病院側で入力することでも資格確認ができてしまうので、資格情報の大量取得が可能です。

 これも売られますね。不正をチェックする仕組みがシステム上にはないので、不正が出来てしまうわけです。オンライン資格確認システムを利用した不正請求は、確実に起きるでしょうね。できるので。

 そして一番まずいのは、オンライン資格確認システムを利用した資格情報のランダムな回収が個人情報の不正取得でありながら、システムが性善説で組み立てられていて、防ぐ手立てがないということです。設計した人が馬鹿だと思います。

 ここに「過誤、故意を問わず不正に資格情報を照会した場合は保険医療機関の指定を取り消す」という法律をかませたとして、事務職員がミスをしたら大変なことになりますよね。ですからオンライン資格確認システムの全てのトランザクションは常時監視、記録され、かつ不正な取得を検知するAIのようなものをかませる必要があるということになりませんか。少なくともランダム大量照会だけでも防ぐ仕掛けが必要でしょう。

 また顔認証に関する制限に関する法律の整備や議論が置いてきぼりですね。現時点では警察が顔写真データの収集をしていますが、このデータベースの取り扱いに関する法律的な規制がありません。そうしたことから監視社会に対する反発が起こり、思想信条としてのマイナンバーカード反対という立場が譲れないという一定層の人々が現れてくるわけです。現在町中に取り付けられている防犯カメラ映像の取り扱いも曖昧なものです。

 逆にもともとマイナンバー制度のロードマップには「顔パス」があつたわけなので、生体認証を含む新しい社会の仕組みづくりに関する議論がまず必要なのではないでしょうか。

 今自動ドアに文句を言う人はいませんが、あれは人の行動を予測しているアンビエント社会のシステムの一つですよね。ゲーテッドマンションや電車の乗り降りなど、本人認証とシステムがスマートに連携する社会はもう目の前に迫っています。

 ただ議論がないんです。
 顔認証機能付きカードリーダーは国民的なコンセンサスのないところで制度設計されて配布されました。これはまさに愚民とお上の関係です。

 デジタル庁が採用したNECの顔認証入館システムは利用してみれば便利なものだと皆さんが実感しているでしょう。しかしそれを怖いものだと思わせているのが、議論のなさなんです。

 まずは議論ですよ。


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