そういや俺もそうか 牧野信一の『闘戦勝仏』をどう読むか⑨
それでも誰か一人、一番好きな作家を一人だけ挙げろと言われればそれはフランツ・カフカということになるのだろう。しかしそんなことを書いてしまうと「あいつは変わったものが好きな変な奴だ」と言われるのが嫌で、なかなかそうとは言えない。実際フランツ・カフカの作品はどれも奇妙で、登場人物の多くは信用できない。しかしフランツ・カフカの伝記などによれば彼は実生活は真面目で誰に対してもきちんと対応している。そのカフカ作品の登場人物の信用ならなさと、牧野信一の『闘戦勝仏』のの登場人物の信用なら