今日は1日ずっと雨だった。傘がラッパになるほど激しい風に吹きつけられてきた。出かける日にかぎってこの天気か。

毎週火曜日は、いろいろあって近所の無料塾に顔を出している。塾では大学生か高校生の有志の先生が、子どもたちの持参する宿題やワークのサポートをしている。

生活がカツカツなうえ創作もしたいのに、正直こんなことに時間を使っている場合ではない。通い始めて1年が経ったがもうやめようかなと心が揺らいでいるこの頃。

私が１年間見てきた子は先日高校に合格し、4月から高校生になる。今日は勉強もせず、ずっと恋バナに花を咲かせていた。

「先生ー！もぅヤダー！あの人からこんなDMきた」
「わ、スカしてる感じ。これはイヤだね」
「でしょ！自分から押すのやめようかな。告白しないと後悔するかな？」

本当は「ほら勉強しないと」と話を打ち切って宿題を進めさせるべきなのだが、15歳の子たちのやり取りなんて見る機会がないので興味津々で食いついてしまう。

同じクラスの好きな男の子と卒業式で写真を撮ったんだって。きっともう気持ちは相手にバレている。話を聞いているだけなのに、うっ！なんだろうこの胸の高鳴りは…毎日ドキドキして過ごしている子と話す時間の尊さよ。こういう瞬間の積み重ねは、貯金残高よりずっと財産と呼べる気がする。やっぱりもうちょっと続けたいなぁ。

塾が終わるとすっかり雨風は弱まっていた。子どもたちを駅まで送り、バイバイと手を振る。ほくほくした心で焼き芋を買って帰ってきた。夜食を食べて、今日はもう少し作業をしよう。