コンビニで拳銃を買えたなら

ある日の深夜のコンビニにて
「137番1つ。」
男が言う。
「年齢が分かる物はお持ちですか?」
店員は男に問いかける。
「あ...今は持ってないです。」
「でしたらお売りする事はできません。」
店の壁に貼られたポスターには
お酒・タバコ・拳銃は20歳から🤚の文字。男はこのポスターをチラリと見てから決まり悪そうに店を後にした。

舞台はある時代の日本。数十年前の大不況により治安は悪化。日本が銃社会になったのもその時の名残りだ。おそらく2021年よりは未来だろう。

「いくらなんでも拳銃はコンビニでは買えないだろう」と大抵の人は納得しかねるだろう。しかしコンビニは1970年頃に日本に上陸して以降さまざまな人の要望に応えるべく扱う商品の数を増やして行った。

2021年現在、食品や雑誌に限らず洗剤、コンドーム、さらにはライブのチケットまでもがコンビニで買える。拳銃だって望む声が多いのであればコンビニで取り扱いがあっても何ら不思議ではない。ただし年齢制限はあるしあくまで護身用の場合のみ所持が認められている。

冒頭の男はおそらく未成年なのだろう。これぐらいの年頃は常に少し背伸びをしたがるもので、彼らにとってはただ拳銃を持っている事自体がステータスなのだろう。

もちろんこれはフィクションだ。2021年現在、日本のコンビニでは拳銃は買えない。そもそも銃社会ですらない。でも安心するのもちょっと違うと思う。

間断なく話し続けることをマシンガンに例えてマシンガントークという。言葉を弾丸に例えるという意味ではかなり的を射ていると個人的には思う。言葉は時として弾丸にもなる。簡単に相手を傷つけ、追い詰めてしまう。時には命を奪ってしまう事だってある。

そう考えると

人類が言葉を発明した時から銃社会は始まっている。

手軽に言葉を送れるようになった現代、しかし言葉の持つ力は決して手軽になっていない。銃社会は依然変わりなく続いている。



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