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食べる「小倉日記」ちょい博多 2021.0320-0402(4)

4日目(火曜日)
ワーケーションの難しさは、いつ仕事をするか。
当初の予定では、日中は遊んで、夜に仕事をする、というものだったけれど、福岡に来てから、ほぼ夜は爆睡している。メイクを落とさない、シャワーを浴びてない、着替えていない、電気点けっぱなし…という日が続いている。仕事をするどころの話じゃない。
結局、早起きして(というか、夜20時ぐらいに寝てしまうので、3、4時ぐらいには目が醒める)仕事してというペースになった。
今日は8時ぐらいに切りがいいところまで仕事をして、出かけることに。
一応、すぐに仕事の対応ができるようにノートパソコンは持っていく。

天気は上々。空が青い。
朝ごはんはJR小倉駅のホームで名物のかしわうどん。
実を言うとその前に駅の売店でコロッケパンも買ったのだけれど、やっぱり「小倉駅まできたら、うどん食べないと」と思い直し、ホームに降りて注文をする。甘めの汁とやわやわうどん。安定のおいしさ。

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食べ終わったら、別のホームに行き鹿児島本線に乗って「戸畑」まで。戸畑の駅に着くと、ホームから赤い大きな橋が見える。若戸大橋だ。
とりあえず駅前に降り立ちどうしよかと考え、目の前にドトールがあったので、入って計画を練ることにする。
知らない場所でも、知っているお店があると安心する。
以前、スウェーデンやデンマークの街で、セブンイレブンやタリーズを見つけたときも安心した。もちろん、今は国内だし、言葉は通じるけれど。

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仕事のメールをチェックしたあと、Google mapを眺める。
「若戸大橋」を見たいというのが、漠然とした目的だったのだけれど、戸畑から対岸の若松までの渡船があるので、船に乗って若松まで行くことにする。
若松は、かつては筑豊で産出された石炭の積出港として繁栄していた町で、シーナ&ロケッツのシーナの出身地という程度の知識。気になるアイスクリーム屋さんや定食屋さんも見つけたので寄りたいと考える。

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北九州の観光パンフレットなどには、工業地帯の夜景とライトアップした若戸大橋の写真がよく載っている。本当は夜景も見てみたいのだけれど、夜にひとりで出かけるのは、なかなか腰が上がらない。こんなときは運転免許があればなぁと思わないではない。サッとひとりで行ってサッと帰ってこれる。

近づけば近づくほど、大きな若戸大橋。夜の姿も見たかったけれど、青い空と赤い橋のコントラストも美しい。
ときどき、旅をしているときに「この町に生まれていたら」と想像するのだけれど、この赤い橋をいつも見ながら育ったら…というのを考える。戸畑側と若松側でも違うだろうけれど、この橋を眺め、やはり大きなことをやりたい、もっと外へ出たいと思っただろうか。

渡船場に着くとちょうど船は出たばかりだった。次は15分後。渡船場のまわりをふらっと見たあとは、待合室でぼ~っと座って船を待つ。朝はやはり便数がそれなりにあり、通勤や通学で使っているひとも多いのかなと思う。
しばらくするとアナウンスがあり桟橋から船に乗る。
客はわたしも含めて数人で、それぞれが船内の端に座り、真ん中のスペースががらんと大きく空いていて、窓からの陽射しが差し込んでいる。
とてものどかな光景。

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船は離岸してわずか3分ほどで対岸の若松へ着く。
渡船場を出ると目の前に古い洋風の建物がちらほらとあり、かつての繁栄の名残りを感じる。検索して調べると、いくつかのビルは中を見学できることがわかったので行ってみる。
「上野ビル」は、大正時代に建てられたかつての三菱合資会社の若松支店。倉庫の壁面には三菱のマークが残っている。建物の中央は吹き抜けになっていて、天井にはステンドグラスが施されている。テレビや映画のロケでもよく使用されるらしく、賃貸できる部屋もあるらしい。

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3階にカフェがあるらしいので、階段で上がる。踊り場の窓からは若戸大橋の一部分が見える。近すぎるからこその風景だけれど、なかなかないなぁと思う。
ビルは静まり返っていて、誰もいないかと思っていたが、カフェには先客が何組か。有名なのかもしれない。
窓際の席に座ってメニューを眺めしばし考える。お昼は定食屋さんに行きたいから、あまり重くなく…と考え、アイスクリームとコーヒーにする。あとから、行きたいアイスクリーム屋さんがあったのに…とは思ったけれど、まぁ、アイスならあとで食べても、おなかに入るだろうと甘く考えていたら、出てきたアイスがなかなか大きかった。

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窓からはたっぷりと光が差し込みぽかぽか暖かい。海面がキラキラと反射していて、春だなぁと思う。カフェは女性ひとりが調理も接客もしていて、なかなか忙しそうだった。

カフェで休憩したあと、再び海沿いの古い建物を見て回る。そのひとつに福岡空港でも売っている、クロワッサンの「三日月」のお店があった。こんなところに本店があったのかとちょっと驚く。朝食用にいくつ買う。

大きなT字路までくるとショッピングセンターのような場所があり、そこからバスに乗って移動。気になっていた定食屋さんへ。
ランチタイムからは、はずれていたけれど、それなりにお客さんがいる。作業服やスーツ姿のひと、トラックの運転手さんらしきひとなど、働くひとの食堂だなぁと思う。さすがに女性ひとり客というのはいないので、ちょっと緊張。壁に貼りだされているメニューのなかから「オムカレー」を選ぶ。
時前に「盛りがいい」というのは、なんとなくわかっていたのだけれど、運ばれてきた大皿のデカ盛りにしばし絶句。「食べきれるだろうか…」と不安になる。
おいしいけれど、食べきることが目的となり、じっくり味わうというよりは、黙々とスプーンを口に運んでいく。食べ終わったときは、じわっと汗をかいており、とてつもない満腹感とそして達成感。苦しくてしばらく動けなかった。向かいの席では、トラックの運転手さんらしきふたりが、オムカレーとちゃんぽんを注文し、同じく食べても食べても減らない地獄に汗をかいていた。

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おなかいっぱいで足取りも重いながらもバス停まで戻り、バスに乗って若松の駅のほうに行く。若松はちょっと不思議町だなぁと思う。かつての栄華はないが、決してさびれているわけではない。いや、昔の若松を知っているひとにとっては、かなり寂しいのかもしれないけれど、哀しみやあきらめでよどんでいる感じがない。海に開けているからだろうか、わからない。単に肌で感じる空気感なのだけれど。

本当はアイスクリームのお店にも行きたかったが、もう一口も食べられないので、小倉に戻ることにする。満腹に負ける。またいつかこの町を歩いてみたいと思う。

Google先生の教えによると小倉までバスで行けるらしいのだが、そこで表示される時刻とバス停の時刻表が合わない。バス停が間違っているのかな? とうろうろするもののよくわからず。電車に乗って折尾の駅に出て小倉までとも考え、駅まで行くが本数が少なくかなり待つので、やはり1本で帰れるバスのほうがいいかとバス停に戻る。
結局はバス停の時刻表通りに小倉行きのバスが来る。運よく座れたのでよかった。行きは船で渡った海を、帰りは若戸大橋をバスで渡っていく。工場や町並みが見渡せ、海の上からと、橋の上からでは、見える風景が違うなぁとしみじみ思う。

満腹というのもあって、うつらうつら寝たり起きたり。
30分ぐらいは乗っただろうか、気がつくと知っている小倉の街の風景が見えてきた。魚町のバス停で降り、商店街を歩く。
途中に農家さんの産直市のようなスペースがあったので、自家製の漬物や野菜、そして柑橘の「はるみ」を買う。お店のおばさんが「さっき、食べたけれど、おいしかったわよ」と言う。

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宿に戻り、着替えて、サンダルに履き替えリラックス。
夜になっても満腹だったので、買ってきたはるみと、そうそうと思いだした朝買ったコロッケパンを食べて済ませた。

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