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食べる「小倉日記」ちょい博多 2021.0320-0402(2)

2日目(日曜日)
朝起きたら雨。
出かける気にならず、とりあえずホテルの部屋で仕事をする。
今回の旅はいわゆる「ワーケーション」。
とはいっても、いつも旅に出かけるときは、何かしら仕事を持ってきているほうが多い。フリーの悲しさ。いや、きっちり終わらせられないのが、いけないのかもしれないが…。でも、完全に休むよりも「いや、仕事もしますよ~~」とスタンスが、周囲やそして自分への言い訳にもなっているのは確か。

お昼前にホテルをチェックアウトして、とりあえず街をぶらつく。
小倉へは、夕方の宿のチェックインの時刻に合わせた電車で移動する予定なので、まだまだ時間はたっぷり。しかし、雨で肌寒い。
季節の変わり目。持っていくか迷ったウインドブレーカーが役立つ。
10分もしないうちに『ウエスト』を見つけて入る。『ウエスト』は九州地方を中心にした外食チェーンで、安くておいしい。「やっぱりうどんかなぁ」と丸天うどんと、そして大好きな高菜のおむすびを注文する。やわらかなうどんと少し甘い汁がおいしい。そしてなによりも温かくてホッとする。日曜日だけれど、勤め人っぽいスーツを来た人もちらほら。ほとんどがひとり客で、スマホを見ながら黙々と食べて、帰っていく。

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長居をする雰囲気ではないので、食べ終わったら、わたしも再び街へ。
そういえばと思いだしたのが、フィンランドのコーヒーチェーンの『ロバーツコーヒー』。フィンランドでは、すごくポピュラーなカフェなのだけれど、その支店がなぜか福岡にある。せっかくなので行ってみようかと、Google Mapで検索して向かう。1本道を間違えたり、雨はやまないしで、少し気分が落ちたところで、お店の看板発見。しかし、ビルに入りお店のフロアに上がると、電気が点いておらず、ガラーンとしている。どうもやっていないみたい。残念。お休みしているだけで、つぶれてはいないことを願う。

雨はやまないが、天神のあたりは若いひとでにぎわっている。「そうか、今は春休みか」と気がつく。しかし、傘をさしているとすれ違うのも大変で、「もう、博多駅まで行っちゃおうかな」と方向転換。
博多駅の飲食街に行き、九州料理のお店に落ち着く。案内されたカウンターは、しっかりひと席ずつアクリルで仕切られている。メニューのなかに「ごまさば」を発見。注文するも「今日、もう終わっちゃんですよ~」という返事。まだ昼過ぎなのに、売り切れとはさすが福岡名物。「でも、かんぱちならできますよ~」とのことで、「ごまかんぱち」に。これはこれで脂が乗っていて、とてもおいしかった。

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一杯飲んで切り上げ、お土産売り場をうろつくと、焼き立ての梅が枝餅を売っているコーナーがあった。ひとつ買って、改札を抜けてホームに向かう。

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博多から小倉までは、特急のソニックで。
ブルーメタリックボディのかっこいい電車。テーブルがあり、電源もとれて、とっても快適。小倉から博多まで、別府から博多までは乗ったことがあるけれど「逆方向は初めてだな」と思う。

16時ちょっと前に小倉駅に到着。
昨年の秋に仕事で来て、そんなに時間が経っていないというのもあるが、「知っている場所」という、安心感がわく。JRの改札を出て、そのまま向かいのモノレールの改札を抜ける。宿のある「旦過」まではふた駅。改札を抜けた高架の通路から、「北九州の台所」といわれる旦過市場を見下ろすことができる。その歴史は大正時代に始まると言われ、戦後の闇市を経て、現在は120ほどの店舗が並ぶ。ビルの風景の中に、へこんだように低く続く茶色のトタン屋根。ブルーシートをかけ、石を乗せているところもある。

地上に降り立ち、とりあえず宿へ向かう。
10日ほど過ごす宿は、旦過市場と川を挟んで向かい合う雑居ビルのワンフロア。1階にはコンビニ、ブックオフなどがあり、さらに道路を挟むと、結構大きめの本屋もある。にぎやかな魚町の商店街、小倉駅、小倉城にも歩いていけるというかなりの立地のよさ。ドミトリータイプのホステルなのだけれど、鍵のかかる個室もあり、何よりもキッチンが使えることが決め手になった。

今回の旅のいちばんの目的が「旦過市場を味わう」ということ。
老朽化に伴い2021年度から5~6年計画で大規模な再開発が始まると聞いたので、その前に今の雰囲気の市場でろいろな食を味わってみたかった。普通のホテルだとお惣菜を持ち帰って食べることできるけれど、肉や鮮魚、野菜を買っても調理して食べることはできない。大げさなものでなくていいから「自分でつくってもみたい」。そんな気持ちで宿泊先を探していたら、キッチンつきで、個室あり、市場に激近、さらに安いという、ぴったりの場所があったので「これはもう行くしかない」という、決意に変わった。

エレベーターで宿のフロアに上がる。
入ってすぐはカフェダイニングがあり、その奥が宿泊スペースになっている。カウンターで名前を告げてチェックイン。気さくな感じのお兄さんがいろいろ説明をしてくれる。「キッチンは使いますか?」と聞かれ、「ああ、ぜひぜひ。実は旦過市場が再開発って聞いて、その前にいろいろ食べたり、買い物してみたいなと思っていて」と話す。お兄さんいわく「まだ、しばらく大丈夫みたいですよ」とのこと。宿泊者が共同で使えるラウンジにあるキッチン以外にも、カフェダイニングのキッチンも時間によっては「使っていいですよ」と言われる。

わたしの部屋は個室でカギは暗証番号で開けるタイプ。「覚えられるかしら」と数字を書いた紙を一応カメラで撮っておく。
部屋は結構広めで、白いシーツに白いふとん、枕がふたつのったダブルサイズのベッド、同じく白いフロアライト、そして木製のロッカーがある。壁には抽象画っぽいペインティング。コンクリート打ちっ放しの天井は高く、大きめ窓から夕方の光が差し込んでいる。

窓を開けて外を眺める。窓の下は川。
水は浅い様子で、ゴミの浮いた水面の向うに旦過市場の建物が見える。あたらめて見ると、建物自体が川に張り出していて、川底から杭で支えられているのがわかる。壁はグレーや茶色に煤けていて、ところどころに、かなり無理な感じで貼り付けたように室外機が置かれている。全体にくたびれた印象があり「再開発もしょうがないかな」という気持ちになる。

荷物のほとんどは送っていて、明日に届く。片づけるほどのものはなく、着替えもないが、まぁしょうがない。
メールをチェックするかとパソコンを出して、カフェダイニングのスペースに行く。カウンターを配したオープンキッチンに、いくつかのテーブルがあり、このスペースもかなり広め。受付のお兄さんだけでなく、若い女のコのスタッフもいて、飲み物だけできるというので、シャンディガフを頼む。

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ゆったりとした空間と時間に、ふ~っと息をつく。
こちらの窓からも旦過市場の屋根が見える。
仕事のメールを書きながら2杯ほど飲んでのんびり過ごしたあと、コンビニを散策。パンやコーヒー、小さな調味料などを買う。

博多でいろいろ食べたのもあり、あまりおなかは空いてなかったので、夕食は博多で買ったお菓子類を食べておわり。
何をしたわけでもないが、ぱたりと寝てしまった。


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