見出し画像

ミルシムとはなんなのか?

ミルシム(Military Simulation)について。

サバゲや軍装を趣味にしている人はSNSなどで「ミルシム」という言葉をたまに耳にするようになってきたと思います。サバゲとミルシムはどう違うのか?リエナクト系のイベントとは何か違うのか?過去のイベントとは何が違うのか?とか色々気になると思います。
小林の思う大まかな違いについては、サバゲは大体の場合その場での10分間くらいの個人戦であるのに対してミルシムは任務が付与されてから終了するまでの一連の流れをする団体戦になること、一方でリエナクトイベントは過去や現代の軍及び戦いを研究し尽くし、可能な限り忠実に再現をすることによって歴史を肌で感じ、後世に伝えるのが目的ですが、こちらの方がミルシムに近いと思いますが、ミルシムでは装備の時代考証などはマストではありませんしリエナクトにはない勝ち負けという要素も加わってきます。
では、具体的に何がイベントをミルシムとするのか?これについてはまだまだ日本国内では個人によって意見が大きく分かれる議題ではあります。小林の見解としてミルシムたるものの本質的な要素は、

  1. 部隊を編成し、指揮関係をはっきりとせせている。

  2. 実際の軍が使用する戦術および戦技を使用し部隊として戦う。

  3. 事前にTLP(Troop Leading Procedures)などの計画および決心プロセスを踏むこと。

なのではないかなと思っています。
以下でそれぞれについても少し細かく書いていきます。

部隊を編成し、指揮関係をはっきりとさせている。

指揮関係については実際の軍においては階級はざっくりと兵、下士官、士官(Other ranks, NCO, Officers)に区分でき、階級によってそれぞれ役割があります。
士官は自部隊が行う作戦全体を広い目で見て要所要所で決心(決断)をするのが大まかな仕事です。
下士官の任務はどんなに優秀な士官であったとしても人間の頭の中のスペースは限られているので士官が決心することに専念できるようにサポートすること。
の役割は上官から言い渡された任務をこなせるように個人の戦技を磨き、装備を使えるように手入れをし、体力をつけることです。
ミルシムでは実際訓練を受けているわけではないオタクが集まるのでもちろん完璧にはこなすことはできませんが自分の役割を意識してその中で何が自分でできるかを考えることがミルシムを楽しむ方法の一つだと思います。

イベントの規模感によっては分隊長が最高階級の人になる場合もありますがこのような時は兵と下士官階級だけで行うことも十分にありえます。その場合は上級下士官(CNCO)と下級下士官(JNCO)に分けて考えてもいいかもしれません。

実際の軍が使用する戦術および戦技を使用し部隊として戦う。

これに関しては指揮関係にも繋がってきますが、戦術と戦技の違いを理解して実施してみることがミルシムを楽しむ大きなコツだと思います。戦技とは例えば分隊で作戦を行うときに相互躍進を行うとか、攻撃の時はLシェイプを取るとか、さらに細かいところでは接敵をした時の対応や森の中の歩き方まで部隊や個人として指示をされなくても半ば自動的に行えるようにする動きのことで、戦術は部隊運用や全体の作戦で指揮官が企図を持って指示するものです。このように各々に割り振られた階級によって何を意識していればいいのかがわかります。例えば二等兵役でMG(機関銃手)を担当した場合気にするべきことはMG運用における戦技(位置取り、射撃精度、銃および装備品の管理手入れ)を磨き、命令を受けたときに指揮官の企図に沿って正しく動けることだけでいいのです。そして下士官役で参加した場合は個人の戦技の習熟はもちろん、分隊員が時間通りに準備を進めているのか、分隊員がしっかりと水や食料を摂っているのか、部隊として正しく動けているかなど現場レベルで解決できることは極力吸収し、士官役の人がしっかりと広い視野を維持できるように支援する、そして士官役で参加する人は上級部隊(統裁部もしくはHICOM(上級隣接部隊))から降りてきた任務を手持ちの部隊でどのように達成するのかというのが戦術につながります。

事前にTLPなどの計画および決心プロセスを踏むこと。

ミルシムイベントでは基本的に統裁部の方から任務と作戦計画に資す情報部隊長に事前に渡され、作戦の計画をイベント当日の前から行うことを期待されるという点においてサバゲやリエナクトとだいぶ違うところではないかと思います。これについてはまた別な記事で書ければいいなって思っているので細かいところまでは触れませんが、軍で実際に行われている作戦計画のプロセスを模して計画を立てるのもミルシムの大きな醍醐味の一つだと思います。

Type Two Fun

ここまで細々と書きましたがミルシムイベントで一番重要なのは楽しむことです。英語には Type Two Funというフレーズがあるのですが、定義としては「その場では楽しいとは思わないが、後で思い返して見ると一生心に残る楽しい思い出になる」ことを指します。ミルシムはまさにType Two Funであると思います。辛い状況をうまく乗り越えたときに感じる高揚感や努力してまとめ上げた作戦をうまく実行できたときに感じる達成感は他では感じられません。また一緒に戦った分隊、小隊の隊員は戦友です、辛い経験の共有ほど人間を近づけるものはありません。ミルシムに参加したことがないけど興味のある人にこそミルシムイベントに参加して欲しいと思っています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?