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「グリーン成長戦略」に感じていたモヤモヤの正体

なぜ、これ程までに世界が脱炭素に動いたかが良くわかる記事です。
この記事の中で、「緑の成長」の問題点を以下の通り指摘しています。

英ケンブリッジ大学の2人の研究者は、「緑の成長」の問題点を5つ挙げている。経済成長のペースを上回るほどの資源の効率利用は実現しない、技術の進化を過大評価している、環境関連のビジネスが生み出す利益はそう大きくない、環境にやさしい消費も消費であることに変わりはない、炭素税や補助金の効果は不透明――といった内容だ(Five reasons 'green growth' won't save the planet)。

特に「技術の進化を過大評価している」という点、昨年末に策定された「グリーン成長戦略」に当てはまると思います。
かねてより指摘している通り、「グリーン成長戦略」は技術革新に偏重しており、「新しい秘術が開発されれば万事解決!」とも読み取れるような内容となっています。
これに対し、ずっと何かモヤモヤしたものを感じていましたが、先日、とある話を聞く機会があり、このモヤモヤの正体がようやく分かったような気がしました。
その内容というのが、世の中に存在する問題には大きく分けると2種類あり、その2つとは「技術的問題」「適応課題」であるということです。
前者は技術や経験で解決できる問題であり、後者はそれだけでは解決できず、当事者が変化に適応できなけば前に進まない課題であり、さらに適応課題は問題が何なのかすら明確ではない、ということです。

具体的な事例としては、仮にテレワーク導入企業を検討している企業があるとします。
これが技術的問題であれば、各種ツールを用意するだけで解決できます。
しかし、ツールを用意しただけではなかなか浸透しない、あるいはパフォーマンスが落ちてしまった、といった場合には適応課題であるということが推測されます。
例えば、テレワークを実施する当事者の中に「やはり、リアルのコミュニケーションの中でしか、良い仕事はできない。」といった考え方が根強ければ、その部分を丁寧に変えていかなければテレワーク移行はうまくいくはずがありません。

脱炭素社会の実現は、人類がこれまで経験したことのない大きな課題です。
何が正解かは誰もわからないことであり、また社会経済のあり方そのものを変革させなければ解決できない課題でもあります。
その意味で、脱炭素はまさに適応課題であると思います。
にもかかわらず、「グリーン成長戦略」では技術的課題のごとく捉えられているという、これが私のモヤモヤの正体だと分かりました。
適応課題であるということは、単純に電源が再生可能エネルギーに変わったとか車がEVになったとかだけでは、解決できないということです。
再生可能エネルギーだからと言って、無駄にエネルギーを使うようでは本末転倒です。
脱炭素社会とは、持続可能な社会の一つの姿であると思いますが、このような社会の実現のためには、社会全体のあり方の変化、要するにこれまでの常識からの脱却が必要です。
つまりは当事者である私たち一人ひとりのあり方や行動にも変革が求められているのです。

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