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資本主義の父は何を思うか

大河ドラマ「青天を衝け」が始まり、いよいよ渋沢人気も高まることと思います。
我が郷土・埼玉の偉人であるため、誠に誇らしい気分です。
ドラマを見ましたが、使われている方言が祖母が使っていた言葉と同じであるため、懐かしさも感じています。

さて、渋沢栄一と言えば、『論語と算盤』という著書が有名ですが、この一見相反する二つを一致させていこうとするのが渋沢栄一の思想です。
一致、というよりイメージとしては、「双方を高めつつもうまくバランスさせていくことが重要」と言いたかったと私は解釈しています。
道徳と経済、両方を高めつつもどちらか一方に偏り過ぎるのではなく、絶えず一番良いポイントで均衡させていくことを心掛けるということです。
渋沢栄一が尊敬していたと言われる二宮尊徳は、水車の譬えとして、以下のようなことを言っています。

「水車は水に浸かっている部分は川の流れと同じ方向に動いているが、水面から離れると逆方向に動いている。水車は水に浸かり過ぎても動かないし、逆に水面に上げ過ぎてもこれまた動かない。」

これで何が言いたいのかといえば、要するに物事は中庸(調和の取れている状態)が大事だということです。
自然の原理(天道)に従って種を蒔き、自然の原理に逆らって雑草を除去する、これが農業(人道)であって、農業とは自然の原理に従いつつも逆らう、この二つの相反するようなことを同時に行っていって初めて成り立つ、ということです。
種を蒔きまくっても雑草を除去しなければ作物は育たず、逆に雑草を除去するだけでも今度は種を蒔かなければ作物は育たないのです。
『論語と算盤』もそのことが言いたい、と私は解釈しています。

これは脱炭素社会や持続可能な社会実現にも言える、というのが私の持論です。
現在日本では『論語と算盤』の算盤部分、つまりは技術革新や産業育成の部分には力を入れていこうとしています。
それはそれで重要なのですが、それだけでは不十分なのです。
算盤部分が高まるのであれば、それと同時に論語部分、つまり国民のマインドも同時に高めていかなければ、バランスが取れないのです。
技術革新への大きな期待は、ともすれば「政府や大企業が何とかしてくれるだろう」という甘えや依存を生み出してしまう恐れがあります。
技術革新だけでは不十分で国民側のマインドも重要であるということを絶えず発信していかなければならないのです。
マインドの大きな変化は世の中を大きく動かす力があります。
私たち一人ひとりがそのことを自覚していくべきです。

と、渋沢翁も天から言っていると思っています。

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