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人間と生物の親和性を高めるバイオミメティクス

私の目標は、バイオミメティクスで人間と生物の親和性を高めることだ。
「バイオミメティクス」とは、自然界の生物学的なプロセスや構造から学び、それを人工的な技術やデザインに応用するという学術的なアプローチのことを指す。日本語で、「生物模倣」ともいう。

生物が、何億年もの月日を経て発展させてきた優れた機能や特性を模倣することで、効率的で持続可能な解決策を見出すことができる。

たとえば、蓮の葉の撥水効果を模倣したヨーグルトの蓋や、オナモミの実の形状を模倣したマジックテープなどが有名だ。
私は、これらの社会実装を加速し、バイオミメティクスがより生活に溶け込むようにしていきたい。

バイオミメティクスは、生命科学×産業×生物多様性であると言えると思う。なぜ「生物多様性」という観点で、バイオミメティクスが関連すると考えているのか。それは、特殊な機構をもっている生物が、絶滅に危機に瀕している場合も多いからである。その生物から着想を得た構造や特性が社会に実装されたという事実は、その生物を保護する啓発として十分な理由になると考える。多様な生物が存在するからこそ、技術が進歩すると言うことが出来る。

次に、バイオミメティクスのアイデアの出発点について書きたい。
現在、環境汚染やエネルギー問題、食糧問題などの社会問題が顕著になってきている。これを生物のデザインから模倣して解決できないかということを研究していきたい。

また、自分の専門分野を実用思考で進めていくという方法もある。私は、クマムシとネオンテトラを研究しているので、これらを例に挙げてみる。クマムシであれば、その乾眠能力を臓器移植の輸送の際の長期保存へ応用できないか、ネオンテトラであれば、その特殊な運動性虹色素胞を構造色を特徴とする製品へ応用できないか考察することが出来る。

ネオンテトラの虹色素胞

このように、「社会問題」、「自分の専門分野」を出発点として考え、バイオミメティクスを進めていきたい。これは、ビジネスをスタートするときと少し似ている気もする。
SDGsの重要性が叫ばれる今、本当の意味で持続可能な解決策を探すバイオミメティクスは、社会問題を解決する方法として、注目されていくだろう。

そして、私は生物模倣に特化した研究分野があってもいいと思っている。現在、生物模倣のみに特化した研究室などは、日本ではあまり見当たらない。

また、バイオミメティクスが、しばしば工学のみの分野として語られるのは、私としては不服である。生化学や生理学、遺伝子学、生態学などの様々な分野のアプローチ方法として、バイオミメティクスはあっていいと思う。

私の目標は、生物模倣を研究する研究室を20代で開くことである。新たな知見や技術によって、人間と生物を本当の意味で近づけていきたい。



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