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【第3回】小林農産、これからの取り組み

(1)これからの取り組みについて

 前回のnoteでは小林農産や日本の里山の様子、その課題についてお話ししました。
 里山の維持には、里山管理者の高齢化や、人手不足など様々な課題があります。小林農産の里山も例外ではありません。現在は近所の方に週2日来てもらったり、シルバーさんに週1日で草取りをお願いしたりして管理を行っています。

 私はこのような課題を下記の2つの取り組みで解決していきたいと考えています。
①パートナー企業と連携した里山維持管理の仕組みの構築
②農福連携による里山維持の仕組みの構築
上記の2つです。
具体的にはどのようなことに取り組んでいくのか、詳しくお話をします。

(2)パートナー企業と連携した里山維持管理の仕組みの構築(里山維持サブスクリプション)

 まず一つ目は「パートナー企業と連携した里山維持管理システムの構築」です。
これは健康経営の一環として里山体験を取り入れてくれるパートナー企業を募り、その協賛金をもとに里山管理を委託できるようにするという仕組みです。
 小林農産では企業へ健康経営の取り組みの一環として、里山体験を取り入れていただけるように企画も行っています。パートナー企業の社員の方とそのご家族に自然豊かな里山で非日常を体験してリフレッシュしてもらい、毎日を元気に過ごすためのエネルギーを自然の中でチャージしてほしいと私は思っています。

 もちろん、協賛金をいただいているので、パートナー企業の方の里山体験は無料。一ヶ月に利用できる人数、回数は決まっていますが、好きなタイミングで体験してもらうことが可能です。私は「里山維持サブスクリプション」と呼んでいます。
 
 企業様にとっては社員の心や体の健康を守ることができ、活力をもって仕事に取り組んでもらえる、社員の方は自然の中で心も体もリフレッシュできる、小林農産は管理を委託することで人手不足を解消できる。それぞれにメリットがあります。
この取組みを倉敷から岡山県内、全国へと広げることが出来れば、里山の持続的な維持管理が可能になると思うのです。

 また、里山維持活動への協賛はESG投資の観点からも企業様のメリットになります。
ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮している企業を重視・選別して行う投資のことです。企業の財務情報だけではなく、環境や社会に配慮した取り組みをしているかなども投資の観点に加えられています。
 里山を維持し、次の世代に残す活動に協賛をしていることは、こういった観点からもポイントになるのではないでしょうか?

(3)農福連携による里山維持ビジネスモデルの構築

 そして二つ目は「農福連携による里山維持ビジネスモデルの構築」です。皆さんも「農福連携」という言葉を聞いたことがあると思います。少し前から注目されている農福連携は、里山の維持活動にも生かすことができるのではないかと思っています。

 そもそも里山というのは人が生活を営む場所です。そこには農地や果樹もあります。
実際の小林農産の里山維持活動を考えてみると、草取りに始まり果樹の世話、野草や草花の手入れ、実りの収穫など、まさに農業そのものなのです。

 これまで4回、お付き合いのある福祉施設の方に来ていただき、収穫の手伝いをしてもらっています。収穫した果実は福祉施設の方にジェラートに加工して販売もしてもらっていました。里山のお手伝いをしてもらうことで福祉施設の方には仕事を提供でき、小林農産は人手不足の解消につながる。この取り組みも輪がますます広がっていけば、里山の恵みを活用しながら、里山の課題を解決する糸口になるのでないかと考えています。

 ただ、小林農産の農福連携にも考えるべき課題はあります。それは頼める仕事を見出すことです。広大な農地で同じ作物を育てていれば作業も同じでいいのですが、小林農産は里山です。多様な野草や果物のお世話になるため、作業は多様になります。また、季節によって作業内容や作業量も異なってきます。農福連携した里山維持活動を行っていくために、実際に取り組みを進める中でこれらの課題も一つずつクリアしていきたいと思っています。

 私は「持続的な里山の維持活動」を可能にするシステムやビジネスモデルの構築を推進させることで、全国の里山で同じような悩みや課題を抱える方たちのモデルケースになりたい、と考えています。取り組みを広げ、全国の耕作放棄地を豊かな里山に戻していきたいと思っています。

 また、このような里山維持の取り組みはSDGsにもつながっていきます。
里山維持の活動はSDGs15「陸の豊かさを守ろう」と結び付きます。里山には多様な動植物がいます。豊かな自然があります。里山を守り次の世代へつないでいくことは陸の豊かさを守っていくことなのです。
さらに農福連携で里山維持活動を行うこともSDGs3「すべての人に健康と福祉を」やSDGs8「働きがいも、経済成長も」に結びつきます。現在、福祉分野では多くの障害者が働く場所の不足で「働きたくても、働けない」状況にあります。里山での仕事を障害者の方へお願いすることで、福祉の分野が抱える問題の解決の一助になるのではと考えます。

次回は実際の里山体験の様子を紹介します。よろしければご覧ください。