嵐の大野智さん芸能活動休止に思うこと

「嵐」が2020年一杯でグループとしての活動を休止し、大野智さんは芸能活動自体を休止することが発表されました。長年のファンにとってはショックが大きいことでしょう。できれば続けて欲しいと願うのは当然でしょう。

では私はと言うと、決して今まで嵐のファンだったわけでもないのに、このニュースに触れて、嵐というグループと大野さんへの好感度が急上昇しました。俄然応援したい気持ちが高まってきました。(活動休止すると言ってるのに、今更かよ…と言われそうですが)

何事も始まりがあり、終わりがあります。特に社会性の伴うことを始めた時、やめるという判断には、大きな決断が伴います。それは個人レベルの問題だけではなく、誰かを巻き込んでいる活動だからです。大野さんの場合、同じ嵐のメンバー、ジャニーズ関係者、番組スタッフ、番組スポンサー、そして世界中のファンなどなどです。

「何事も、始めることより、続けることの方が難しい。そして、続けること以上に、やめることは難しい」というのが、従来から抱いている私なりの考えです。

嵐というグループの活動を休止することで、いったい世の中にどれほど大きな影響があるのか、大野さんも他のメンバーも、重々承知していることでしょう。途方もない数の人々がショックを受け、混乱をきたし、関係各所がてんやわんやになることは想像できるはずです。

決断するまでに、どれほどの葛藤があり、どれほど心を悩ませたことか…それは想像を絶するものです。その辺の一般人が会社や仕事をやめるのとはスケールが違います。いや、きっと大野さんは「自分だけが特別な人間だ」なんて言わないのでしょう。けれど、想像するだけで気が遠くなります。

だって、もう20年にもわたって、敷かれたレールの上を走り続け、名実ともに国民的な人気を獲得したグループなのです。その活動を休止することを望む人間なんて、どこにいるでしょうか。世の中の誰も望んでいないことを、彼本人だけが望んでいるのです。世界中のファンが失望するであろう道を、あえて選択するのです。

だからこそ、メンバー同士の話し合いには長い時間をかけたのでしょうし、活動を休止するまでにもたっぷり長い期間を用意したのでしょう。そして、グループを維持することより、メンバー個人の思いを尊重するという決断に至った嵐というグループのメンバー、その思いも素晴らしいと思いました。

今から10年くらい前でしょうか。私は暗澹たる気分になることが多く、脚本家という仕事をやめることばかり考えていました。これ以上続けられない。もう限界がきた。どこかで区切りをつけなければ…。そんなことばかり考え、ウンウン唸りながら仕事を続けていました。今抱えている仕事を全部やめてしまおう、とまで考え、周囲に宣言したことさえありました。

ところが、そこまでしたのに、結果的に「やめる」という決断を下すことはできなかったのです。優柔不断だったのでしょう。いや、それ以上に、書くという行為以上の何かを見つけることができなかったのかもしれません。今お世話になっている仕事関係者の皆さんとのつながりを絶ってまで、やりたいことは見つかりませんでした。そのことを今では後悔していません。しばらく脚本家を続けているうちに、そこまで気負わず、もう少しゆったりした気持ちで執筆を続けていけるようになったのです。

なぜ活動を休止するのか、それに触れた大野さんのコメントです。

「自由な生活というか、この世界を一度離れてみて、今まで見れなかった景色を見てみたい。普通の生活をこの世界に入って経験してない」

ずっと嵐として人生を過ごしてきた彼にとって、芸能活動を離れた世界こそが未知の世界であり、憧れであり、魅力なのかもしれません。それを知らないまま一生を終えるなんて、耐えられないのかもしれません。その思いは、この程度の人間である私にも、痛いほどわかります。

何事も、始めることより、続けることの方が難しい。そして、続けること以上に、やめることは難しい。

それでも芸能活動を休止するという決断を下した大野さんの、芸能人としてではない1人の人間としてのこれからを応援したいと思います。

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脚本家 小林雄次

代表作「ウルトラマン」シリーズ 「牙狼<GARO>」「美少女戦士セーラームーンCrystal」「天才てれびくんYOU」「スマイルプリキュア!」「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」「ベイビーステップ」など。著作「脚本家という生き方」ほか多数。映像と出版の世界で執筆活動中。
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