見出し画像

シン・長田を彩るプレイヤー(番外編)~下町芸術祭で長田の魅力をシン発見!~(後編)

2023年11月3日(金祝)~19日(日)の17日間で開催された「下町芸術祭2023 COMMONS HACK」。
私たち「KOBE007」もツアー企画者として参加させていただきました。
前編ではツアーの様子と、ツアーの対象作品の9つうち4つのレポートをお届けしました!
後編である今回の記事では前編で紹介しきれなかった作品を紹介していきます。

前編はこちらから〈https://note.com/kobe_nagata_ward/n/n61be408e8eb3


⑤ 「下町の風と共に」


アーティスト:シュウさん
会場:多文化共生ガーデン

こちらは環境を取り入れたインスタレーション作品です。
作者であるシュウさんは「インスタレーション=総合アート」の実践や、「芸術は人の繋がりによって生まれる。」ということの実践に力を入れているアーティストです。
多文化共生ガーデンは住宅がひしめく中にある畑で、お年寄りから外国の方まで多様な交流を生む場所になっています。
その場所に、毛糸を巻き付けた太い針金が自生しているかのように建てられていました。

タイトルである「下町の風と共に」の通り、まちの風景にすんなりと溶け込み、近くの港から吹く海風に、草木と共に揺られています。
多文化共生ガーデンという多様な人々が交わる場所だからこそ、アートと日常も交わり溶け込むことができたのだと感じました。


⑥ 「遡及空間」


アーティスト:中村 岳(なかむら たけし)さん
会場:二葉じぞう広場(まちなか防災空地)

彫刻でなく、空中に自由に絵を描きたいという思いのもと、まるで建物のような装置を作り、仮想空間的な迷宮を作り上げられました。
地面には黒板があり、参加者とともに完成させる作品となっています。

自分も参加できるのは新鮮で楽しい作品でした!
「空に自由に絵を描きたい」というコンセプトのもと制作されているため、のびのびとした無邪気な雰囲気があります。
黒板の落書きもキャラクターの顔や計算式など鑑賞者思い思いの筆跡が残されており、この作品の持つ自由な作風を際立てていました。


⑦ 「猫屋敷」


アーティスト:玉置 哲也(たまき てつや)さん 
会場:閑居 永門(かんきょえいもん)

作者が偏愛するを題材とした写真を展示している作品群です。
実際に長田にいる猫を撮影した写真もありました。
写真の他にも、猫柄の服や箱など小さな部屋が猫に埋め尽くされていました。
被写体である猫たちは長田のまちをうろうろしているため、モデルを探すのも楽しそうですね。

薄暗い照明の中浮かび上がる猫の目は、愛らしさの中に少しの不気味さを含んでおり心惹かれる作品でした。
白と黒のみで切り取られた写真は、まちで出くわす猫たちよりも生命を色濃く感じ、気圧されるほど迫力がありました。


⑧ 「symbiotic garden」


アーティスト:宮嵜 浩(みやざき ひろし)さん
会場:atelier KOMA

多文化共生」をテーマとして、パルダリウムの手法を用いたインスタレーション作品です。
パルダリウムとは、水槽等を用いて陸地と水辺両方に生息する動植物を取り入れた飼育環境を再現するものです。
魅力的で愛らしい雑多な地区である長田の持つ多文化の溶け合いを表現するため、長田区やベトナム、韓国などに由来のある植物を、家に見立てた空間に栽培されていました。

ダイニングやトイレなど生活空間の中に多様な植物が存在しており、植物たちと共存しているであろう住人の存在が漂ってくる作品でした。
「多文化共生」というのは、人間が人間同士を受け入れ合うだけでなく、人間が人間以外と共に生きていくことに繋がっていくのではということを感じられました。


⑨ 「house」


アーティスト:ワタナベ モモコさん 
会場:オルタナティブスペースJSR

家の二面性を表現した作品です。
家の内側は住人のプライベート空間、外側は街との共有空間という分け方ができます。
家の住人がその家を作るのか、街が中の住人のキャラクターを決定するのか、その曖昧さを表現されました。
通常家の中にあるはずの机やカレンダーは外に浮いており、家の外にある自転車や洗濯物は家の中に置かれていました。


家の外にあるランドセルや家具からは、小学生の子どもがいる暖かい家族の生活が見えてきます。一方で、家の中にある無骨なシティサイクルや洗濯物から若者の人生が垣間見えます。
家の内側にしかないと思っていた「生活感」ですが、普段は外側にあるはずのものたちからも感じることができました。

プライベート空間は「家の内側にあり常に守られているもの」ではなく、まちと連続した壁の外側にも存在しておりその境界はあやふやであるということを実感しました。


おわりに


以上、前後編あわせて9つの作品をご紹介していきました。
ただ制作物を作るのではなく、「空間」を作り上げている作品ばかりでした。
一方的に鑑賞するだけではなく、自分自身も空間に存在することで、より作者のメッセージや作品のパワーを感じることができました。

また、全ての作品が「長田、下町ならでは」を意識していたため、9つの作品の体験を通して9つの視点から見た長田の姿を発見できました。
普段何気なく過ごしている長田のまちが持つ魅力を再認識できる下町芸術祭。
次回開催の際にはどんな長田の姿をシン発見できるのか楽しみです!

(編集/あみてぃ)