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神戸の野鳥 07月~08月の見どころ

 この季節、ぜひ見ておきたいものを中心に紹介します。
 7月に入りニイニイゼミが鳴き始めました。蚊も多くなり、鳥見には一番厳しい時期を迎えています。工夫をして少しでも快適にフィールドで楽しみましょう。

■標高の高いところへ行こう
 暑くなってきたら涼しいところへ行きましょう。市内でいえば六甲山地の標高が高いところ。900mを超える場所は、単純計算で市街地よりも5℃以上気温が低いことになります。市街地から山の近い神戸市ならではの利点です。
 六甲山地の高標高地にしか生息しない種がいます。ミソサザイは市内全域に冬鳥として渡来しますが、高標高地では夏期にも生息し、繁殖した記録もあります。また、カッコウやコルリの夏期生息の記録などもあり、今後、思わぬ種が記録されるかもしれません。

■日差しの強い日は森へ行こう
 直射日光下は気温があがり、熱中症の危険性も高くなります。そんな日は森の中で探鳥しましょう。水の流れのある谷筋がおススメです。ただ、蚊も多いので対策は怠りなく

■海もおもしろい
 夏の海岸はコアジサシをメインに「夏らしい」鳥たちを観察できます。早朝や夕方など、すごしやすい時間帯に出かければ快適です。
 8月中旬からはシギ・チドリの秋の渡りが始まります。市内には生息に適した干潟はありませんが、砂浜や堤防上などで観察できるかもしれません。距離が遠い場合多いので望遠鏡があると識別に便利です。


 

■繁殖はほぼ終了、幼鳥~若鳥たちを観察しよう
 巣を離れてからも親鳥の世話をうけていた子供たちは、いよいよ独り立ちを迎えます。幼鳥の羽(幼羽)、最初の換羽を終えた若者の羽(第1回冬羽)は成鳥と模様や色が違う場合も多く、種の同定が難しいこともあります。しっかり観察してみましょう。

■タカに注目
 初夏から夏…この時期に生息しているということは繁殖している可能性が高いということになります
 タカの仲間(ハヤブサの仲間を含む)は神戸市より冷涼な地域、言い換えると北方の地域、もしくは標高の高い地域で繁殖するものが多く、以前は市内で繁殖するのは留鳥のトビ、夏鳥のサシバ、ハチクマだけでした(ハヤブサはも少数あり)。ところがこの何年か、新しい繁殖確認が相次いでいます。今現在、繁殖を確認している(もしくは可能性が高い)タカ類は、トビ、ハチクマ、サシバ、ノスリ、ツミ、ミサゴ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、なんと8種類もいるのです。夏だから面白いタカはいないと思わずに、上空を注意して見てください。新しい発見があるかもしれません。

■田園地域では
 神戸には多くはありませんが、アシ原ではオオヨシキリが元気にさえずっています。もう少し草丈が低いところではセッカ。暑い時期に元気な2種です。
 西区の休耕田や池畔には淡水性のシギ・チドリがやってきます。田んぼや池の状態は毎年違うので、こまめにまわってみましょう。
 ※田園地域を車でまわるときは、農作業をしている方や地元の方へ最大限の配慮をしていただけたらと思います。皆の道だといってしまうのは簡単ですが、トラブルにならないことがこれからも長く楽しむことにつながると思います。最近の野鳥観察者やカメラマンの増加、めずらしい鳥が出た場所への集まり方は強烈で、悪い評判が広まることを心配しています。

■ツバメのねぐら入り
 7月後半から8月初旬にかけてぜひ見たいのが「ツバメのねぐら入り」。
暮れかかるアシ原に乱舞するようすは感動ものです。市内には大きなアシ原がなく、おすすめは加古川下流のアシ原。必見です。

■8月後半から秋の渡りが始まります
 8月中旬になると秋の渡りが始まります。小鳥で早いのはエゾムシクイとコルリ。ムシクイ類の識別は難しいですが、エゾムシクイは「ピッ」という地鳴きが特徴。うまく写真が撮れれば羽衣からも識別が可能です。コルリは谷筋を中心に見られますが、真っ青のオス成鳥の割合はわずかです。
 ウメやサクラの林にはトケン類(カッコウの仲間)がモンクロシャチホコなどの幼虫を目当てにやってきます。警戒心の強い仲間ですが、この時期は比較的観察しやすいのが特徴です。


 


  
 


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