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神戸の野鳥 09月~10月の見どころ

 9月、鳥たちは本格的に渡りの時期を迎えます。ざっくりと言って秋の渡りは8月中旬から11月、前半は夏鳥たちの渡去、後半は冬鳥たちの渡来、旅鳥たちは期間を通して通過していきます。秋の渡りの鳥たちは、さえずらず動きも目立たないですが、巣立った若鳥たちが混じり、個体数としては春よりも多くなります。漠然と探すのではなく、見つけるコツを知っていれば出会う確率があがりますので頭に入れておきましょう。
 今シーズンは記録的な暑さで、9月に入ってもしばらくは最高気温が30℃を超える日が続くと予想されています。暑さに負けず鳥見を楽しんでもらいたいと思いますが、熱中症には十二分にご注意ください。

■まだまだ暑いので、暑さを避けて鳥見をしよう

 では具体的にどんな見方があるの?ってことですが

・涼しいところへ行く
 市内でいえば六甲山地の標高が高いところ。900mを超える場所は、単純計算で市街地よりも5℃以上気温が低いことになります。市街地から山の近い神戸市ならではの利点です。
 六甲山地の高標高地にしか生息しない種がいます。ミソサザイは市内全域に冬鳥として渡来しますが、高標高地では夏期にも生息し、繁殖した記録もあります。また、カッコウやコルリの夏期生息の記録などもあり、今後、思わぬ種が記録されるかもしれません。

・涼しい時間帯に見る
 ずばり早朝です。早く寝て早く起きる。午前6時には明るくなり、十分鳥見が可能です。早朝は鳥たちの動きも活発で楽しめます。

・森の中で見る
 直射日光下は気温が上がり、熱中症の危険性も高くなります。そんな日は森の中で探鳥しましょう。水の流れのある谷筋がおススメです。まだまだ蚊も多いので対策は怠りなく。

・こまめに涼みながら見る
 体温にせまる気温の中に長時間いることは危険です。特に田園地域、ため池、川沿い、海辺など日差しを遮るものがない場所で長時間の鳥見はさけたほうが無難です。車を利用出来る場合は、短時間の観察と車内での休憩を繰り返すことで、熱中症のリスクを減らしながら観察が可能です。

■秋の渡り本番

 8月の後半から渡りは始まっています。小鳥類ではエゾムシクイとコルリ。9月上旬まではチャンスがあるので意識しておいてください。
 ウメやサクラの林にはトケン類(カッコウの仲間)がモンクロシャチホコなどの幼虫を目当てにやってきます。警戒心の強い仲間ですが、この時期は比較的観察しやすいのが特徴です。幼虫がいなくなればその木には来なくなりますが、ツツドリは10月中旬ごろまでは見るチャンスがあります。
 シギ・チドリの仲間も早くに渡ってきます。神戸市にはシギ・チドリの仲間の生息に適した干潟がなく、観察条件はよくありません。神戸市の海岸線の長田区から東は護岸もしくはテトラポットになっていて、岩礁を好むイソシギやキアシシギなどが見られます。ただ、海岸線に沿って歩けるわけではないので、船からの観察が可能なら面白い出会いがあるかもしれません。須磨区~垂水区にかけては砂浜が断続的に続くので、波打ち際等に短期間滞在する可能性があります。ただ、人が多く安心できる場所ではないので、早朝、継続して観察すれば面白いと思います。淡水を好むシギ・チドリは水のはった休耕田、池の縁などにやってきます。この時期、ため池はほぼ満水状態になっていて、居場所は多くありません。また、適した環境の休耕田はいつもあるわけではなく、こまめに回ってみるしかありません。

■秋の渡り観察のコツその1 

 ずばり「木の実」です。9月にはいると秋の木の実が実り始めます。まず注目すべき木はアカメガシワ。黒いつやっとした実が出ていれば食べごろ。最初はメジロやコゲラ、地付きのオオルリ、キビタキ、コサメビタキなどがやってきます。まず姿を見せるのが旅鳥のエゾビタキ。大型のツグミの仲間もやってきます。中下旬にはマミジロ、繁殖している個体もいるクロツグミも食べに来ます。その他、キツツキ類、ソウシチョウなど多くの鳥たちが集まるこの木、9月の大注目ポイントです。そして、9月中には食べつくされてしまいます。低地にある木は熟すのが早く、渡りのヒタキ類が来る前に無くなってしまうこともあります。摩耶山など六甲山地の高い所へ行けば熟すのが遅く、タイミングのいい木が見つかるでしょう。
 同じころ多くの実をつけるのがクマノミズキやミズキ。六甲山地ではクマノミズキの方をよく見ます。紫色に熟せば食べごろで、アカメガシワほどではありませんが、多くの鳥たちが集まっていることがあります。
 10月中旬以降の注目の木はカラスザンショウ。10月下旬から黒くツヤのある種子がはじけて食べごろになります。ちょうどこの時期渡ってくるのがムギマキ。マミチャジナイや冬鳥のシロハラも食べに来ます。実がなくなる初冬までいろいろな鳥たちが訪れるのでぜひチェックしてください。

■秋の渡り観察のコツその2 

 注目したいもうひとつは「カラ類の混群」です。繁殖を終えたエナガやシジュウカラは森やその周りを群れをつくって行動します。この群れにわたり途中の鳥たちが加わって行動していることがよくあります。ムシクイの仲間、時にはサンコウチョウやコルリなどもいることがあります。群れの中心ではなく、周辺で動いていたり、群れに遅れてついていくような動きをします。カラの混群に出会ったらチャンスです。探してみましょう。

■タカの渡りは最高のロマン!!!

 9月中旬からはタカの渡りの季節です。六甲山地の東から南北が開けた場所で観察してみましょう。日差し対策やサングラスがあると長時間の観察が楽です。神戸でのピークは9月下旬、条件の良い日にはサシバをメインに1日に2,000羽を超えるタカが明石海峡を越えて渡っていきます。詳しくは「神戸の野鳥」の記述を参考にしてください。

 タカ渡りの記録が日々更新されていくサイトがあり、大いに参考になるので見てみてください。

タカの渡り全国ネットワーク


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