見出し画像

神戸の野鳥 08月~09月の見どころ

 この季節、ぜひ見ておきたいものを中心に紹介します。
 8月、一年で最も暑い時期を迎えます。今年の夏は梅雨明けしてから最高気温35℃を超えるような酷暑か続いています。まだしばらくはこの暑さが続くようです。暑さに負けず鳥見を楽しんでもらいたいと思いますが、熱中症には十二分にご注意ください。

■暑さを避けて鳥見をしよう
 では具体的にどんな見方があるの?ってことですが
・涼しいところへ行く
 市内でいえば六甲山地の標高が高いところ。900mを超える場所は、単純計算で市街地よりも5℃以上気温が低いことになります。市街地から山の近い神戸市ならではの利点です。
 六甲山地の高標高地にしか生息しない種がいます。ミソサザイは市内全域に冬鳥として渡来しますが、高標高地では夏期にも生息し、繁殖した記録もあります。また、カッコウやコルリの夏期生息の記録などもあり、今後、思わぬ種が記録されるかもしれません。
・涼しい時間帯に見る
 ずばり早朝です。早く寝て早く起きる。午前5時には明るくなり始めていて、十分鳥見が可能です。鳥の少ない季節とはいえ、早朝は鳥たちの動きも活発で楽しめます。
・森の中で見る
 直射日光下は気温が上がり、熱中症の危険性も高くなります。そんな日は森の中で探鳥しましょう。水の流れのある谷筋がおススメです。ただ、蚊も多いので対策は怠りなく。
・こまめに涼みながら見る
 体温にせまる気温の中に長時間いることは危険です。特に夏の田園地域、ため池、川沿い、海辺など日差しを遮るものがない場所で長時間の鳥見はさけたほうが無難です。車を利用出来る場合は、短時間の観察と車内での休憩を繰り返すことで、熱中症のリスクを減らしながら観察が可能です。

■ツバメのねぐら入り
 この時期、ぜひ見たいのが「ツバメのねぐら入り」。
暮れかかるアシ原に乱舞するようすは感動ものです。市内には大きなアシ原がなく、おすすめは加古川下流のアシ原。必見です。
 今シーズン、少し異変がおきています。毎年、ツバメたちがねぐらをとっているアシ原にツバメの姿が見られないのです。手分けして調査を行っている日本野の会ひょうごの研究グループからの情報では、小規模なアシ原でねぐらが形成されているようです。

ツバメ 2021/07/30 神戸市西区岩岡町

■秋の渡りが始まっています
 数は少ないですが、もうすでに北から渡ってきたと思われる鳥たちが観察されています。小鳥類で早いのはエゾムシクイとコルリ。8月中旬に入れば、出会う可能性があります。ムシクイ類の識別は難しいですが、エゾムシクイは「ピッ」という地鳴きが特徴。うまく写真が撮れれば羽衣からも識別が可能です。コルリは谷筋を中心に見られますが、真っ青のオス成鳥の割合はわずかです。
 ウメやサクラの林にはトケン類(カッコウの仲間)がモンクロシャチホコなどの幼虫を目当てにやってきます。警戒心の強い仲間ですが、この時期は比較的観察しやすいのが特徴です。

ツツドリ 2016/08/31 神戸市西区神出町

 シギ・チドリの仲間も早くに渡ってきます。水のはった休耕田、池の縁などをさがしてみましょう。 

 9月にはいると秋の木の実が実り始めます。まず注目すべき木はアカメガシワ。黒いつやっとした実が出ていれば食べごろ。最初はメジロやコゲラ、地付きのオオルリ、キビタキ、コサメビタキなどがやってきます。上旬も後半になると姿を見せるのが旅鳥のエゾビタキ。大型のツグミの仲間もやってきます。中下旬にはマミジロ、繁殖している個体もいるクロツグミも食べに来ます。その他、キツツキ類、ソウシチョウなど多くの鳥たちが集まるこの木は9月の大注目ポイントです。そして、9月中には食べつくされてしまいます。
 同じころ多くの実をつけるのがクマノミズキやミズキ。六甲山地ではクマノミズキの方をよく見ます。紫色に熟せば食べごろで、アカメガシワほどではありませんが、多くの鳥たちが集まっていることがあります。

 9月~10月の渡り時期はどんな鳥がいても不思議ではないので、先入観をもたずチェックしていきましょう。思わぬ出会いがあるかも。

■タカの渡りは最高のロマン!!!
 9月中旬からはタカの渡りの季節です。六甲山地の東から南北が開けた場所で観察してみましょう。日差し対策やサングラスがあると長時間の観察が楽です。神戸でのピークは9月下旬、条件の良い日にはサシバをメインに1日に2,000羽を超えるタカが明石海峡を越えて渡っていきます。詳しくはまた記事にしたいと思いますが、とりあえずは「神戸の野鳥」の記述を参考にしてみてください。

また、最近は各地のタカ渡りの記録が日々更新されていくサイトがあり、大いに参考になるので見てみてください。

サシバ 2021/09/20 淡路市野島常盤


 


  
 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?