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6.グループディスカッション

WHY:GDってなぜあるの?

一般的にグループディスカッション(=GD)は、選考序盤~中盤において、大量にある学生からのエントリーから企業側が振るいかけを行い、その後のフローに進む学生を選抜するためにあります。
企業側からすると、1対1の面接よりも、1対複数のGDの方が効率良く学生を見極めることができるため、選考の序盤~中盤に実施されます。

この点でいくとESと同じではありますが、ESだけの経験の記載だけでは測れない「コミュニケーション能力」「ロジカルシンキング能力」を見極めるために企業側はGDを実施します。言い換えると「仲間と協働し、課題を解決する能力を持っているか」が見極められるポイントになります。

ここでは、上記2つの能力にポイントを絞って解説をしていきます。
どんな能力なのかを具体的に説明した後に、それを実際にGDで発揮するための方法もお伝えしていきます。

WHAT:GDでは何の能力が必要なの?

上記で述べたようにディスカッションを通して仲間と協働し、課題を解決するためには以下の2つの能力が必要です。

➀論理的思考力(ロジカルシンキング力)
➁コミュニケーション力

自分の頭で物事を論理的に考察し、それを仲間と気持ちよく意見交換することでより良いアウトプットを導くことができます。

それでは具体的に、この2つの能力がどういう能力なのか解説していきます。

① 論理的思考能力(ロジカルシンキング力)
論理的思考能力とは、物事を体系的に整理し筋道を立てて、矛盾なく考える力のことを指します。
もう少し具体的にすると、グループディスカッションにおいては

a.漏れなくダブりなく考える
b.根拠をもって主張する

a.漏れなくダブりなく考える
MECE(ミーシー)という言葉を聞いたことはありますか?
これは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字をとった言葉で、漏れなくダブりなくという意味を持ちます。
つまり、必要な要素を網羅しつつ、重複しないようにする考え方です。
これによって、全体的な視点から必要な要素を分類し、問題に対して正しくアプローチすることができます。主張に説得力を持たせるためには、MECEを意識しなければなりません。

b.根拠をもって主張する
さて、漏れなくダブりなく考えた後、グループディスカッションにおいて
様々なアイデアや意見が出るかと思います。それらの意見の中でも、どれが最も適切なものなのか。特にグループディスカッションでは、それを選ぶのが難しいです。みんな、自分の意見を通したくて水掛け論になることもしばしばあります。
そんな時に、適切な根拠をもってみんなの意見をまとめ上げる能力が求められます。

② コミュニケーション力
ここは、論理的思考能力よりはイメージが付きやすいかもしれません。
仲間と上手く協働するために、気持ちのいいコミュニケーションを取ることが大切です。
コミュニケーションは常にSpeaker(話し手)とListener(聞き手)によって構成されます。自分がGood Speakerであるか、Good Listenerであるかを意識することが重要です。
Good Speakerとは、ListenerをSpeakerにする人のことです。つまり、話を分かりやすく伝え、相手に振ることで議論を進めます。
Good Listenerとは、Speakerをよりアクティブにする人のことです。つまり、リアクションを上手にとって議論を活発にします。

HOW:GDはどうしたら上手くできるの?

GDにて、求められる①ロジカルシンキング力と②コミュニケーション力に沿ってご説明していきます。

① ロジカルシンキング力

a.漏れなくダブりなく考えるために...
 MECEに考えるためのコツもいくつかご紹介します。

■ フレームワークを用いて要素分解する

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上記のような有名なフレームワークがありますが、分析する課題に応じて適切なフレームワークを用いることで漏れなくダブりなく思考することができます。

例えば人がモノを買うという消費活動は、

Attention(注意)
Interest(関心)
Desire(欲求)
Memory(記憶)
Action(行動)

に分けられると言われています。
「AIDMAの法則」と言われる有名なフレームワークですが、このようにステップに分けることで漏れなくダブりなく思考することができます。

■ 時系列にステップを分ける

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上図のように、時間やプロセスに分けて思考することは日常でも意識しやすいフレームだと思います。

■ 対象概念で分けて捉える
例えばメリットとデメリット、量と質、などのように対象的な概念を考えて
思考を分ていくことにより漏れやダブりをなくすこともできます。

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b.根拠をもって主張するために....
ここでは、様々な案がでるGDにおいて一つに絞りこむ際に有用なDecision Analysisと呼ばれる最適案を決定するプロセスをご紹介します。

DA法(意思決定マトリクス法)は3つのステップに分けられます。

1.選択肢を一覧にする
2.選択基準を決める
3.選択基準にごとに各選択肢を評価する
4. 合計値が最大のものを最適案として決定する

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左側の行に場にでている選択肢や意見を記入し、上部の列に自分たちが大事にしていきたい評価項目を決め記入していきます(新規性、売上、実現性など)。その後、それぞれのアイデアに対して各項目で点数化していき、一番合計点が高いアイデアを採用していきます。

このように、意見が割れた時は、全員で全ての案を可視化できるようなものを作成し、整理して優先順位をつけていくことで合理的に根拠のある最適案を選び発表することができます。

② コミュニケーション能力

複数人で同時にコミュニケーションを行う上で大切になるのは、「視界の個別性」を理解したうえで、「言葉の定義」を決め、メンバー全員が同じ視界や角度・距離感で議題を捉えて進められる環境をつくることです。

例えば「新入社員が活躍するためにはどうすればよいか」というだった場合に、すぐに議論に入ってしまうと、"活躍"と一口に言っても、「社会人何年目時点なのか、どんな仕事ができている状態なのか」などの前提が、GDメンバー個々人によって異なります。そのため、議題における前提を互いにすり合わせた上で、同じ視界で議論を進める環境を作れるかが重要になります。

■ 言葉の定義の考え方(5W1H)
言葉の定義を決める際に有用なフレームワークとして「5W1H」が挙げられます。

When(いつ)
Where(どこで)
Who(誰が)
What(何を)
Whom (誰に)
How much (どれくらいの基準で)

先ほどの例を引用し、「新入社員が活躍するためにはどうすればよいか」という場合でいくと

When:入社何ヶ月時点での活躍なのか「期間」を設定する
Where:どのような業界の会社か設定する
Who:だれの視点で考えるかを設定する(社長や人事 or 学生など)
What:どんな仕事で活躍するのかを設定する(営業など)
Whom:どんな新入社員か設定する(人付き合いが苦手な性格など)
How much:どれくらいの基準を満たすことを活躍とするのかを設定する(社内の営業利益率No.1など)

のような観点から議題を定義づけしてから、議論に入っていくと「そもそもの前提がずれていて、議論が噛み合わない」という事態を避けることができるでしょう。

ここでの定義とは、「社会一般的な定義」ではなく、あくまで「GDメンバー間の統一認識」なので、5W1Hのフレームを使ってそのメンバーならではのディスカッションを進めてみてください。この定義決めをするだけでも、そのメンバーからしか生まれない個性ある議論になるはずです。

■ わかりやすい伝え方(3S)
GDでは時間制限の元、議論をしていく必要があります。そんな中で要点がはっきりしない意見を長くだらだらと話されてしまったら、同じメンバーとして非常に困ってしまいますよね?限られた時間で議論をする際には「3S:Simple(シンプル), Short(ショート), Straight(ストレート)」を意識して発信することをおすすめします。要は、「簡単に短く言いたいことをまっすぐに伝える」ことが重要です。

では、そんな3Sの伝えかたをするために、どういう順序立てで話すのがいいのかというと、「PREP」というフレームを活用しましょう。

★ PREP法
PREP法とは、プレゼンテーションやビジネス文書をわかりやすく簡潔に伝えるためのフレームワークで、以下の4要素から成り立っています。

P=Point(結論)
R=Reason(理由)
E=Example(事例、具体例)
P=Point(結論を繰り返す)

最初に結論を伝え、次にその理由を説明、例で理由を補強し、最後に結論を再度提示するという順番です。
一番大事な点は、「結論を最初に述べること」です。
一般的に、聞き手側の集中力が最も強いのが開始直後の30秒程度と言われています。そのためこの順番で話すことで、最も伝えるべき「結論」が相手に伝わり、説得力がある説明となります。

「私は、バナナが好きである」という結論を簡易な例として紹介すると。

結論:私はバナナが好きです
理由:美味しいことに加えて、身体にも良いからです
例:朝食に食べられたり、隙間時間にバナナジュースとして食べることもできるので、毎日欠かさずに食べられ健康促進に繋がります。
結論:そのため、私はバナナが好きです

となります。
この方法はGD内での自分の意見の発信でももちろん有用ですが、GD後の発表や面接での質疑応答でも活用できるので、無意識でも使いこなせるように、まずは意識的に取り組んでみることをおすすめします。

☝️ここがポイント

✔︎ 場数を踏んで血肉化しよう
ここまでいくつかのフレームを取り上げてきましたが、「知っていること」と「できること」では天と地ほどの差があります。GDや面接のようなコミュニケーション活動はどこまでいっても「生もの」ですので、状況がコロコロと変わる中でフレームワークを思い出しながら、使うことは限りなく難しいでしょう。場数を踏んで状況に合わせて柔軟にフレームワークを自然と使い分けられるようになることが大切です。

✔︎ ホワイトボードやチャット機能を活用しよう
様々な認識や意見をもった複数人と視界を揃えて、短い時間で議論を収束させることは非常に難しいことです。言葉のみの聴覚情報だけでは空中戦が続き泥沼にハマることもよくあります。人が最も情報獲得を行う視覚情報を用いるためにも、ホワイトボードやチャット機能を用いて、議論を進めていくことで、地に足のついた議論が可能になります。またGD後の発表の際にも選考官にわかりやすく伝えることができるようになる可能性が高いです。

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