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カスタマーサクセス実行戦略のまとめ

構成

1 ) 書籍概要
2 ) 書籍の結論(ひとことでいうと)
3 ) 具体の内容
4 ) 読むまえとあとの個人的な心情の変化(B→A)
5 ) 明日からの業務に活かせること

■ 書籍概要

著:山田ひさのり
Sansan株式会社カスタマーサクセス部シニアカスタマーマーケティングマネージャー。ゲームプログラマー→web開発→SIerのキャリアのあとにsansanに入社。sansanのカスタマーサクセス部で、全体戦略の立案と既存顧客とのエンゲージメント強化を担当。

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実年齢不明の独身貴族(推測)

本書はSansanでのカスタマーサクセスをモデルとして、先進国アメリカのカスタマーサクセスのベストプラクティスと後進国日本の架け橋となるような書籍である。非常に読みやすく実例も多いため、カスタマーサクセスの最初の一冊目としておすすめな本だと感じた。(洋書とか日本語訳もわかりにくいし理論先行で無理!って人はおすすめ)

構成としては、
 ・カスタマーサクセスってなに?
 ・カスタマーサクセスどういう戦略でやるの?
 ・具体的に必要なテクノロジーは?
 ・具体的に必要な人や組織は?
 ・カスタマーサクセスの未来ってどうなる?
 ・カスタマーサクセス成功している他の企業例は?
という6部構成になっている。

■ 書籍の結論(ひとことでいうと)

カスタマーサクセスってそもそもなに?どうやってやるの?という疑問を一発で解消してくれる一冊だった。Gainsight社のブルーブックこと「カスタマーサクセス」の重要なところを掻い摘んで、Sansanでの成功モデルを具体例としながら解説していってくれる。

カスタマーサクセスの全体像をざっくり教えてくれながら、
うちではこんな感じでやってるよって実例を交えて教えてくれる!

でも!この組織やヘルススコアの算出方法などに正解はなく、各社の文化や各サービスによってカスタマイズがいるから、結局正解創りを促される

とはいえ、基礎の基礎と全体のロードマップを体系的に知れる!

■ 具体の内容

本書の内容がわかりやすかったため、本書の章立てに合わせて記載していく。(カスタマーサクセスの実例は省略)

A: カスタマーサクセスってなに?
B: カスタマーサクセスどういう戦略でやるの?
C: 具体的に必要なテクノロジーは?
D: 具体的に必要な人や組織は?

▶A カスタマーサクセスってなに?

カスタマーサクセスもカスタマーサポートも略語はCS。正直なにが違うのかわからない....納品部隊のひとつ?電話のオペレーターの人?そう思う人も多いかもしれない。

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上図にあるように、そもそも従来のカスタマーサポートとは異なり、カスタマーサクセスはSaaSによってデータがリアルタイムでとれることから、顧客からの問い合わせを待ってサポートしにいく体制ではなく、そもそもの問題を発生させず、顧客がサービス価値をスムーズに最大限発揮できるようにする「攻めの仕事」である。

サブスクリプションモデルによって、この顧客体験価値の最大化が非常に重要になるため、カスタマーサクセスの重要性が同時に大きくなっている。

そんなカスタマーサクセス部隊は具体的にどんな役割を担うのかというと下記の4つに集約される。

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▶B カスタマーサクセスどういう戦略でやるの?

前提理解が進んだところで、具体的な戦略についてみていく。一口にカスタマーサクセスといっても、抽象的なので、ステージに合わせてその戦略が体系化されている。

自社のカスタマーサクセスの成熟度合いに応じたアプローチ方法をまとめたのが下記である。(CSの巨人Gainsight社が提唱しているCS Elements)

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元素記号っぽくて理系院生時代を思い出す

phase01 :INSIGHTS & ACTIONS
場当たり的なカスタマーサクセスを繰り返すことで、顧客に共通しておきる事象をフレーム化し対応している状態。(多くの日本企業がココ)

phase02:OUTCOMES
自社のサービス(手法やツール)が蓄積されることで、顧客をサクセスできている状態。カスタマーサクセスが明確に事業成果にヒットしている状態。

phase03:TRANSFORM
全顧客に対して自社の考案したカスタマーサクセスの方法論を用いて、関係構築→サクセスまでのフローが確率できている状態。自分たちのカスタマーサクセスの成功パターンを明確に持てている状態。

※LMGの場合は、phase01の状態か...?!
 Cv:360° Customer View → 顧客情報の集約(CRMの整備)
 Lf:Lifecycle Manegement → 顧客のライフサイクルを定義・管理
 Ch:Customer Health → 顧客の健康状態を数値化(ヘルススコア)
 Cx:Experience Manegement →顧客体験のサーベイ調査(NPS)


② 顧客の企業規模に対してフェーズを分けたの下記である。

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どこからはhigh touchで、どこからはtech touchで対応するのかの区切りをいれておくことで、優先順位と難易度の高い顧客から順に確実にサクセスを促していく。この定義とシステム創りが重要。

③ 顧客のライフサイクルに対してもフェーズを分けたのが下記である。

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要は、
  「導入 → 活用 → 更新 → 解約」
の4つである。
この中でもっとも重要なのが導入(Onboarding)である。

Onboardingは他のフローに比べてもっとも工数がかかる(かけなければいけない)フローなので、ここをいかに効率的にtechを織りまぜながら生産性をあげられるかが重要となる。sansanでは、オウンドメディアを用いて対応している(sansan inovation Navi)

▶C 具体的に必要なテクノロジーは?

効果的にカスタマーサクセスを促すために、サブスクリプションだからこその蓄積されていく大量のアクティビティデータを使わない手はないこれらをノンテックでやるのは非生産的なので、テクノロジーの導入が推奨される。

CSツールが必要な11個の要素

1. 顧客マスター管理
  CRM管理
2. プロダクト利用状況の可視化
  CRM⇆アクティビティログの統合
3. ROIの可視化
  NPSや顧客インタビュー
4. 顧客情報の収集・レポート
  LinkedIn
5. カスタマーフィードバックの受付
  ↓に包括
6. カスタマーコミュニティ
  オンラインコミュニティ
7. データ統合の仕組み
  admiとアクティビティログとSFAの統合
8. ヘルススコアのモニタリング
  少なくとも毎週見れる仕組み創り
9. カスタマーサクセスマネージャーのワークフロー管理
  CS CTA
10. カスタマーサクセスマネジメント
  プロフィットセンターとしてのダッシュボード
11. ナレッジベースとデリバリーシステム
  マーケティングオートメーション、オウンドメディア

なんかいろいろ多いな...

シンプルにすると要は...

1: とにかくデータを統合して基盤をつくれ
2: 顧客の声と状態をヒアリングし、データ入力できる仕組みをつくれ
3: CS担当者による管理も仕組み化せよ

この3つ!

Salesforce, Gainsight, Pardotをどれだけ駆使できるかが肝。

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sansanの例→完全なGainsightの中央集権国家

※ 国産のCSツールもたくさんある。参考まとめサイト↓
https://product-senses.mazrica.com/senseslab/tool-reviews/customer-success-tool

▶D 具体的に必要な人や組織は?

山田さんいわく下記のような特性を持った人がCSの適性ありとのこと。

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LMの人は結構合いそうな予感🤔


また、CSのサクセスを支援するCS Opsというポジションもある。
◆ CS Opsの役割
 ・CSが有利に戦えるための武器をつくる
   ex: Onboardingのマニュアル動画, 自動配信メール, 顧客成功事例記事
 ・その武器を顧客に届けるための仕組みをつくる
   ex: オウンドメディア、MA


■ 読むまえとあとの個人的な心情の変化(B→A)

「PDGって何者? → CSのTechドリブン屋!」

なんとなくインプットは受けたものの、その役割定義にしっくりきていなかったPDGの存在意義が明確になりました。サブスクリプションモデルの普及によってカスタマーサクセスの重要性が大きく増大した。そのカスタマーサクセスの効果を最大化するためには、カスタマーサクセスを個社最適に再定義しフェーズごとに分けて、仕組みを作るのが大切。しかもその仕組みをつくって運用するためには、テクノロジーの導入(データ蓄積と解析)が不可欠。だからBD室にあるんだ!

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カスタマーサクセスの全社推進をTechnologyドリブンでやろう
 →この意味がわかるようになった一冊

「CSってサブポジ → CSが全てを牽引する」

これまでのビジネスだと(特にLMだと)アカウンタやコンサルが花形業務だったが、これからのデータドリブンな経営戦略やプロダクト中心の経営戦略に転換していく中でいくと、いかに顧客データを収集してプロダクトや顧客価値に還元できるかが肝になる。だからこそ、CS中心の組織体制になってもおかしくない。PLG戦略のようにプロダクトの中でリードやアップセル、クロスセルを狙うことも可能になっていく。

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■ 明日からの業務に活かせること

1.カスタマーサクセスのLMの現在地を正しく知る。
2. どんなCSツールを使っているのかを知る。

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