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3.業界・企業研究

WHY:なぜ業界・企業研究が必要なのか

「業界(企業)研究しないといけないよな~。でもめんどくさい」
こう思っている就活生の方も多いのではないでしょうか?

そもそもなぜ業界分析は必要なのでしょうか?
皆さんの中には「業界研究って本当に必要なの?」と思っている方もいるかもしれません。実際、業界研究をしないと絶対に志望企業から内定がもらえないというわけではありません。ただし入社に向けた志望動機を強くするためにも、業界研究は非常に重要になります。

まず就職活動を始めるまでは、世の中にどのような業界や企業があって何を行っているのか、具体的にイメージを持てる人はどれくらいいるでしょうか。日本だけでも企業数は約420万社あり、うち大企業は約1.2万社(0.3 %)しかなく、更にCMや日常生活で知ることのできる一般消費者向け企業(B to C企業)はそのうち約20%しかないと言われています。単純計算でも日本の企業の約99.8%のことを知らない状態で就活生は就職活動を始めます。だからこそ、まずは「世の中にはどのような業界が存在するのか」ということを知るところから始めていきます。ただし、すべての業界や企業をすべて知ることは不可能に近いので、一定絞り込みながら業界研究を進めることが重要です。

そもそも仕事とは、「だれかの問題を解決もしくは願望を実現する行為」であり、その対価としてお金をいただいています。
(当たり前のことではありますが、就活をしているとついつい「どんな成長ができるのか」「どれだけ給与がもらえるのか」ばかりを意識してしまって、大上段のビジネスの前提を忘れてしまいがちです。)

そのため、各業界が「誰に/  何を / どうやって」価値提供することで、報酬を得ているのかというビジネスモデルを知り、自己分析の結果と合わせて共感性の高い業界をピックアップして業界研究を深めていくことをおススメします。また志望業界が定まったのち、同業界内で企業比較をしていくことがも重要です。自分が興味を持った企業が業界内でどのような立ち位置(ポジション)にいて、どんな特徴(競合優位性)をもっているのかを調べることも重要です。 これにより、深い志望動機をもって就職活動に取り組むことが可能になります。

また面接対策という点でいくと、特に「メーカー」「証券」「銀行」「商社」「広告」「インフラ」「(全業界で)業界3位以下の企業」を受ける場合は、業界研究の重要性が増します。

・日系メーカー、インフラなど
→志望動機や『業務の理解度』が重視されることが多い

・証券、金融、商社、広告
→業務内容が一見すると分かりづらいため、業界研究をしないと「入社後やりたいこと」「強い志望動機」が語りづらい

・業界No.3以下の企業
→内定辞退を恐れ、「業界1位・2位の企業ではなく、なぜうちなのか」がしつこく聞かれることが多い

(ソース:ワンキャリアより)

WHAT:なにを知ることが重要か

業界・企業分析で特に知るべきことは下記2点です。

① 「誰に/  何を / どうやって」価値提供することで、報酬を得ている
 【ビジネスモデル】なのか
②志望企業の業界における【ポジショニング】【競合優位性】はなにか

①:
★どんな意義を意識した仕事かを捉えられる
ビジネスモデルを知ることで、自分の人生における1/3の時間を占める仕事によって「誰に/  何を / どうやって」価値提供することで成り立つビジネスなのかをイメージし働き方を決めていくことができます。長期的な働きがいの最大化を考えたときに、「金銭報酬や市場価値向上」だけではコミットメントを強く長く保ち続けることが難しくなるケースが多くあります。なるべく具体的に「誰のどんな課題解決を行っていくのか」をイメージしミスマッチを避けることが重要です。

例えば、広告代理店の場合は、「商品サービスの売り上げを向上させたい企業に対して、広告・イベントを提供することで課題解決」を行っています。そういった業界への志望動機として「退屈な日々を過ごす人々をワクワクさせる仕事がしたい」と思って入社してしまうと、一般消費者への課題解決よりも、商品サービスを売り出したい企業への課題解決がビジネスモデル上、優先されてしまうため、志望動機とは異なった仕事の進め方がする可能性が多くなり、ミスマッチになってしまうことがあります。この場合は、むしろエンタメやゲーム業界の方が高いマッチングとなるでしょう。

「誰に/  何を / どうやって」価値提供することで、報酬を得ている【ビジネスモデル】なのかを知ることで、ミスマッチを防ぎ、自分が最も働く意味を感じる業界選びができます。

<思考メモ>
誰に:
対象としている顧客はだれか
何を:顧客に提供しているサービスや商品・機能は何か
どのように:コアになる技術やリソース・独自性はどのようなものか

★キャリア成長を意識して仕事を捉えられる
また、この「誰に/  何を / どうやって」を知ることで、セカンドキャリアを見通したときに、どの要素が自分のキャリア形成に向けて繋がるのかを認識することができます。

>誰に:顧客特性。思考例として下記があります。
「法人 ⇔ 個人」「経営者 ⇔ 担当者」「特定地域 ⇔ 地域全般」「特定業界 ⇔ 業界全般」「エンドユーザー ⇔ 社内メンバー」「一般層 ⇔ 富裕層」「若者 ⇔ 老人」「男性 ⇔ 女性」etc...

>何を:商品特性。思考例として下記があります。
「有形 ⇔ 無形」「定量 ⇔ 定性」「パッケージ ⇔ ノンパッケージ」「消費財 ⇔ 生産財」「耐久品 ⇔ 消耗剤」「大型 ⇔ 小型」「実用品 ⇔ 嗜好品」「高額 ⇔ 低額」etc...

>どのように:形態特性。思考例として下記があります。
「定型 ⇔ 非定型」「固定 ⇔ 新規」「PULL型 ⇔ PUSH型」「対面 ⇔ 非対面」「個別対応 ⇔ マス対応」「個人プレー ⇔ チームプレー」「インバウンド ⇔ アウトバンド」「プロセス課金 ⇔ 結果課金」etc...

働き始めると、「こんなことをやっていて何になるんだろう」「本当に自分の成長につながっているのか」という疑念を感じ自分の仕事をネガテイブに感じてしまうこともあるかもしれません。そのため実際に仕事を始めたときに「将来のなりたい姿」に向けて全てが合致していなかったとしても、どの要素は活かせしていけそうかを事前に因数分解し認識することで、キャリア成長を意識した意思決定につながります。

②:
企業のポジショニングと競合優位性を知ることで、面接時に「なぜ他の企業ではなく志望しているのか」をしっかりと伝えることができます。特に競合優位性は企業側が意図して遂行していく今後の戦略が反映されている可能性が高いものなので、その戦略の方針への共感性の高さを示すことで、将来的に企業の中核を担う期待をかけられやすくなります。

HOW:どうやって分析するのか

◆ビジネスモデルを知る
下記の参考サイトなどを見ることで各業界理解がはかどります。サイト全体を眺めてしまうと情報過多になりすぎてしまうため「誰の / どんな問題を / どうやって解決する」ことで成り立つビジネスモデルなのかに絞ってまずは情報インプットすると良いでしょう。
 参考URL:https://unistyleinc.com/columns/698

◆競合優位性と企業の特徴を知る
ここでは実際に企業の競合優位性や特徴を考えるうえで活用していただきたいフレームワークをお伝えしていければと思います。情報を闇雲にインプットするだけでは情報整理が追い付かず、情報の渦に飲み込まれてしまうリスクがあるため、短い時間で濃い情報を得るためにも、フレームを用いて必要な情報を絞り込みながら整理して、競合優位性と特徴を理解するのが望ましいです。

>企業情報インプットソース
 ・業界毎のまとめサイト(例:~~~~)
 ・企業ごとの採用HPや説明会動画
 ・企業版口コミサイト(例:オープンワーク:URL~~~~~)
 ・OB訪問

 またリンク・アイの業界企業理解が進む経営者登壇イベント「Leaders」などに参加して経営者の視界から業界情報の生の声を拾うこともおすすめです。URL:~~~~~~


★3C分析(競合優位性を理解する)
 
3C分析とは、Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)という3つの「C」について分析する方法で、実際に企業側が「競合優位性」を事業計画やマーケティング戦略で決定する際などに用いられます。その会社の強みは何か? 顧客は何を求めているのか? 競合は? それを踏まえての、対象企業の現状や対策状況は? などを比較してみます。これらを比較することで、強みや魅力が何なのか、よりわかりやすく抽出することができます。

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たとえば、3C分析によって、下記のように「とある食品メーカー」に関するデータを分けて競合優位性を考えることができます。

Customer(市場や顧客)
・業界全体でのシェアは、約30兆円に及ぶ・自社製品「冷凍食品」や「時短食品」のニーズが高まっている
・自社製品「即席めん」市場は、ほぼ横ばい
Competitor(競合環境)
・他社よりも、自社商品の知名度が高いので、ブランド力があるといえる
・商品単価が安いので、多くの人の支持を集めている
Company(自社環境)
・昔からの商品に会社が依存しているので、新しい商品開発が苦手
・海外進出に後れをとっている

以上のことから、新ビジネスの開発・海外シェア獲得のための戦略などを今後行うことで競合優位性を高めていきたいと考えていると導きだすことができます。

3C分析を使うと、企業の強みと弱みから競合優位性を客観的に導き出すことができるため、「なぜ他社ではなく自社なのか」を論理的に伝えられるようになります。

★4P分析(企業特徴を理解する)
企業が人を惹きつける「企業の魅力因子」を4つにまとめたものを「4P」と呼び、企業の魅力(特徴)を整理するのに、非常に有用です。

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・Philosophy(理念/目標):
 どんなビジョンや目標を持っている会社なのか?
・People(人/風土):
 どんな社員と働けるのか? どんな組織風土なのか?
・Profession(仕事/事業):
 どんな業務があるのか? どんな事業なのか?
・Privilege(制度/待遇):
 どんな制度があるのか? どんな待遇があるのか?

これはアメリカの心理学者「レオン・フェスティンガー」により提唱された「集団凝集性理論」に基づくもので、この4Pによって企業側も採用メッセージを整理し説明会などで魅力を伝えているため、就活生にとってもこのフレームを使って企業情報を整理し、特徴を掴むと良いでしょう。またこのフレームは自己分析の企業を選ぶ軸づくりをするときにも有用です。

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