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何が論点なのか。

元々都内某所の市役所で勤務して、医療費助成制度の運用をしていたからこそ分かるのですが、健康保険に関係する人材には相当な事務レベルの差があります。

高額療養費の制度を説明しても理解してもらえない

割と普通でした。
計算式を説明してもうちはこれで決めましたから!
と、給付システムの誤りが分からないなんてこと日常茶飯事でした。

流石に組合健保の場合はあまり大きなミスと言うのは、、
いやありました。

どこの組合健保は伏せますが、特定の業種が集まった組合健保さんで明らかに支給決定の計算式が違うにも関わらず、「他のレセプトが未着なので計算できません!」
「他のレセプトが来たときに計算すればいいですよね!」

あとは出生児の名前が違う、生年月日が違う、記号番号が違うなんてことも、まあまあありました。
原則のルールではそもそも保険証の写しをいただけない場合審査が行えず(当時は)、なぜか組合健保にこちらからお願いしたりしていました。

ああ、こんなこともありましたわ。

詳細は伏せますが、とある共済組合から若干特殊な理由でお子さんの資格喪失証明書が発行され、「職場で、国保に加入してくれと言われた」と窓口に相談に来られました。

は?子どもだけが国保?
働くことのできない子どもだけで、国保に加入?
どうやって納税すんのよ。

他にも共済組合の組合員として被扶養者認定できる人がいる(ご家族)にも関わらず、

人事労務の担当者からは、
「育休中は扶養認定できません。」
「共済組合としては、扶養認否の条件に扶養手当の支給要件がありそれを満たしていないから扶養認否する義理はない。」
とバッサリ。

あまりにも自信に満ちた回答でしたので、法令と例規を全てひっくり返して確認。
出先の方だったので本庁にも確認。

やはり育休中なことや、扶養手当が未支給であることだけを理由に扶養を拒否することはできないことが判明。

再度出先機関に説明しましたが、
「うちはそんなルール知りません!」
と開き直られていましたorz

結局は本庁側から出先機関に必要な書類等を連携していただき無事、ご家族の扶養となり共済組合の被扶養者証が交付されました。

でもそんなもん。

直接医療費助成の業務は3年経験しましたが、本当にいろいろなことがありましたし、色々な団体様の状況がありました。

今回のマイナンバーと本人ではない情報が紐付けされてしまうのは、全て特定個人情報の取扱い事業者側の不適切な事務によるものです。
マンパワーが足りない、人を割けないというのは理由になりません。

それだけ機微な情報を取り扱うからです。

正直、マイナンバー制度🪪が始まった頃に入庁したこともありかなり翻弄されていましたが、まさかこのタイミングでこういう状況になるとは想定外でした。

ただ、以前にも書きましたがマイナンバー制度の1番の欠陥とも言える分散管理がこの問題を引き起こしているのも事実です。

マイナンバー制度は導入される当時、かなり反対派の勢力も強く一元化されたデータベースというのは存在しません。

ある意味で言えば特定の誰かを12桁の番号で表しているのがマイナンバー制度です。
そこには名前もフリガナも生年月日もありません。

しかし、市役所の実務上一般的には基幹システムがあり、そこにある住民基本台帳のデータを
バッチ処理などで夜間処理をし各々のシステムに連携させるというシステム構築がなされています。
だからこそ、各々のシステムで生年月日や氏名、住所といった複数のキーで個人を特定することができます。
し、万が一バッチ処理に問題があったとしても基幹システムを確認することでなにが相違しているのか確認ができます。

それがマイナンバーでは出来ないように設計されました。

例えば、Aさんの正しいマイナンバーが123456789012
で、
Bさんの正しいマイナンバーが
098765432109
だったとして。

特定個人情報の取扱事業者でAさんの情報に対して、
098765432109
と情報連携してしまえばBさんのマイナンバーカード🪪でAさんの情報が照会されてしまいます。

つーかな。

もっと闇深い話させていただくと、東京都の医療費助成制度の基本設計は義務教育就学児には通院1回に対して自己負担200円を窓口で徴収しその差額を自治体に請求することとなっていました。

が、23区は独自財源で自己負担を0円としているため、23区にある医療機関から全額請求されていたことが何度もありました。

兄弟で医療証の受給者番号がテレコになってデータが来ていたこともありました。

人間のやることです。
数字だけの管理には一定のミスが生じてしまうのを完全に防ぐことは無理だと僕は思います。
僕自身も致命的なミスはなかったものの、しょっちゅう所得の桁を間違えたりしていました。

見直すべきなのは、マイナンバー制度の情報の分散管理と入力ミスが分かるような仕組みを、どうしたら安全性を確保しつつ構築できるのか。
だと思います。

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