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読書の秋、名物医学書改訂の秋。

去る10月27日から11月9日は読書週間だそうです。
そして、本といえば医学書も熱い!
本好き総合診療専攻医が、ぜひとも紹介したいのは、名物医学書2冊が改訂されたことです
でも、実際どこが変わったのか、そもそもどんな本なのか、このnoteでまとめてみます。

<注意>
いずれも医学書院からの出版ですが、純然たる個人のおすすめという趣旨での投稿であり、開示すべきCOIはありません(念の為)。


内科レジデントの鉄則

最新版:第4版・2023年10月10日発売
対象:初期研修医から内科レジデント向け

そもそも、どんな医学書か→初期研修のバイブル!

初期研修医ほぼ全員が持っている本かと思います。それ故にここに書いてある知識は、全研修医の共通認識となりうる存在です。初期研修2年間で最低限身につけておくべき内科的知識は、ここにあります。この本に書いてあること<鉄則>をマスターすることを、初期研修2年間の目標に据えて良いと思います。その知識は何科に行っても、必ず役に立つものになるはずです。

Ⅰ 病棟当直編は、救急外来にもそのまま役立つような、症候別の対応方法が、Ⅱ 入院編は、入院理由としてよくみられる疾患についての対応方法がまとまっています。Ⅲ 病棟管理編は、輸液や栄養、抗菌薬の使い方など、病棟デビューして即「先生、どうしますか?」とコメディカルから指示を仰がれるものばかり。困ったらまず何をすればいいのか、まずはこの本を開いてみるといいかもしれません。
2023年10月10日に第4版にアップデートしています。

最新版、どこが変わった?

目次を見ると、入院編の疾患別対応、病棟管理編が充実したことがわかります。改訂版での新規項目は以下の通りです。
Ⅰ 病棟当直編
・頭痛
Ⅱ 入院編
・尿路感染症
・細菌性髄膜炎
・消化管出血
・関節痛・関節炎
・甲状腺
Ⅲ 病棟管理編
・血算
・輸液
・便秘・下痢

それだけ研修医から内科レジデントまで、対応が求められるのは多岐にわたるということですね。全部完璧にできるようになるのは大変かもしれませんが、出会った順など優先順位をつけて、必要なものからクリアしていくのが良さそうですね。


内科外来マニュアル

最新版:第3版・2023年9月25日発売
対象:外来研修中の研修医から、内科外来をもつ全ての医師まで

そもそも、どんな医学書か→外来診療のバイブル!

一般内科外来・家庭医外来をもつ医師にとって、外来のバイブル的な存在の本です。病棟とは異なり、外来は患者さんの話を聞き、診察し、アセスメントし、方針を決める(帰していいのか、処方はどうするのか、フォローはどうするのか)という作業を限られた外来枠でこなさなければなりません・・・。そんな外来の前には、きちんとこの本などで予習しておくと良いでしょう。
前半は患者さんのよくある主訴ごとに挙げるべき鑑別疾患と、診断のために必要な考え方、とるべき問診と身体所見、オーダーすべき検査がまとまっています。見開きで一覧になっていてわかりやすいです。一覧の後にはフローチャート含め、鑑別疾患の想起ポイントについて詳しい解説がなされています。また、後半は高血圧や糖尿病など、common diseaseごとのマネジメントが最新のエビデンスに沿って載っています。内科外来で筆者がいつも使っている一冊です。
2023年9月25日に第3版にアップデートしています。

総合診療専攻医からみた、改訂版の推しポイント

継続外来編
・代表的降圧薬や経口糖尿病薬の比較表がわかりやすくなった。
・脂質異常症、早速吹田スコアから久山町スコアに変更になっていた。
初診外来編
・新章「その他の神経学的症状」「よくある眼・耳・口のプロブレム」が、今までの外来の「時々聞かれるけど、これどうしよう」に手が届く内容
例えば、「しゃっくりがとまらないのですがどうしたら良いですか」は、P296「吃逆(しゃっくり)」(「その他の神経学的症状」)にまとまっていますし、緊急性に乏しい「喉が詰まった感じがする」は、P496「嚥下困難の鑑別」(「よくある眼・耳・口のプロブレム」)にまとまっています。


医師としてのレベルアップには、良き医学書の存在は欠かせません。


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