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次世代の補償金制度をどう機能させるか

小寺・西田の金曜ランチビュッフェ 40号(2015年6月26日発行)より

昨年7月から文化審議会著作権分科会 著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会、通称クラウド小委にて、クラウドサービスに対する著作権法の対応が議論されてきた。これまで本メルマガでも数回に渡り、その内容をお伝えしてきたところだ。

今年2月の第10回をもって2014年度の議論を終了したわけだが、権利者側と、メーカー・ネット事業者・消費者側とで話が平行線のままであり、ほぼ結論らしい結論がでないままとなっている。現行の補償金制度はすでに破綻しており、それに変わる新しい制度ができない限り、権利者が交渉のテーブルに付かないので、小委員会では今年度、新しい保証制度の議論をすることになった。一方クラウドの利用や一般権利制限条項(日本版フェアユース)の議論は、別の場を設けて議論することとなった。

その別の場にMIAUが参加できるのかどうかはわからないが、新しい制度のあり方を議論するクラウド小委員会は、引き続きMIAUが委員として出席できることになった。今年度は津田大介に代わり、小寺信良が委員として出席する。

7月13日にその第1回目が予定されている。その場でMIAUには発表の機会を頂けるということなので、現在発表資料をまとめているところだ。ここでは、コデラが考える新しい制度について、述べてみたい。ただこれがまるごとMIAUの意見として発表されるわけではなく、そちらは理事会で揉んでからということになる。

■何の対価とすべきか

現行の補償金制度が行き詰まったのは、補償金の対象となる機器の種類が増えないことがまずひとつ。もうひとつは、補償金の支払者は消費者に設定されており、ハードウェアメーカーはその徴収の協力者という位置づけだが、この協力は義務でもなく法的強制力を持たないと東芝補償金裁判で判断されたことである。

この点について権利者側は、新しい制度の骨子として、補償の対象は機器ではなく、複製機能そのものを対象にすること、支払い者は消費者ではなく、複製機能を提供している事業者とすることの2点を主張している。

この2つは複雑に関連している。これまでは複製機器、すなわちハードウェアおよびその消費メディアに補償金をかけていたわけだが、複製機能が対象になると、クラウド事業者などネット企業も対象になる。

これに関しての反論は何度も行なっているが、クラウドにしてもローカルにしても、複製行為の中身は、商業コンテンツであるとは限らない。自分で作ったエクセルやワードのデータかもしれないし、デジカメで撮った写真かもしれない。それらを自分で複製するぶんには、補償金を払う必要はない。

なにを複製しているかは、外側の他人からは観測のしようがないので、本来補償金の対象とはならない事業者まで払うことになってしまう。これは21世紀の制度設計としてはあまりにもどんぶり勘定すぎるので、もう少しターゲットを絞らないと誰も納得できないだろう。

一方で補償金の対象となる複製行為は、今後も起こりうるのか。こちらのほうが大きな問題だろうと思う。これまでクラウドサービスにも補償金が必要とされてきたのは、手持ちの音楽ファイルをクラウドに上げて、どこからでも好きな場所から聞こう、といった使い方を想定していたからだ。

だが率直に皆さんに聞こう。今どきそんな面倒くさいことするヤツ、いる?

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