天気の子のメッセージ性、感想(ネタバレあり)

映画から感じたメッセージ性は2つ

1つは、例え世間から笑われるようなことであったり、何かを失うかもしれないような恐怖心があっても、自分の信じた道を突き進んで大丈夫、行けよ、ってゆうこと

2つ目は、混沌とした生きにくい、理不尽で希望も見えない現代社会の中でも、諦めなくていい、何度でもやり直しがきくし、何かを犠牲にしたとしても、進んだ先に何かはあるから、大丈夫、止まる必要なんてないんだよ

ってこと。止まるな、行けよ、の原動力を色んな形の「愛」ってテーマを覗かせながら見せている?


このメッセージ性の伏線を回収する場面はあまりにも多い、とゆーよりは、全編通して一貫してこのメッセージを貫いてる感じだから説明が難しいけど、

理不尽な現代社会の縮図として、東京と風俗街を舞台にしていて、とにかく今が嫌で上京という行動をしたけど、働く場所もなくてネカフェで過ごして、食べる物もままならない、風俗街で殴られるし、拾った銃でお尋ね者になる16歳の青年、

小汚い事務所で何かを諦めたような姿や態度、仕事は減っていく、大好きな奥さんを亡くして、最愛の娘には合わせてもらえない境遇、たまたま会った青年を、突き進みたいと思っていた過去の自分と重ね合わせて事務所に置いたけど、誘拐犯として警察にまで狙われてしまう社長「多分K&Sコーポレーションは奥さんと自分の頭文字で、2人で立ち上げた希望やったんかな?」、

親を亡くし、幼い弟と二人暮し、年齢を誤魔化しながら一家を養うために仕事をしていたけど、それすらもクビになり、水商売にも手を出してしまうような15歳の女の子、

細かく言うと、就活全く受からず、やりたくもないことを一般社会に合わして取り繕ったような感じで、御社が第1志望です!を繰り返す描写とか、猫に寄り添う孤独感とか、児童相談所がさらいに来るから逃げる描写とか、どこも泊めてくれないシーンとか、タバコ吸うようなイメージで娘に会わせないって言われたり、理不尽な絶望をいっぱい描いていて、


でも大丈夫だから行けよって背中を押すメッセージでは、怪しい名刺に電話して希望の光が見えたり、風俗街で殴られるかもしれないのに陽菜の手を引いて逃げたり、行くあてもないのに家を捨てて3人で逃げたり、警察相手に自分の潔白を説明せず逃げ続けたり殴っちゃったり、バイクで逃亡犯と一緒に逃げたり、消えるとわかっていても天気を願ったり、バカにされながらも違法に線路走ったり、雨が降るとわかってても陽菜を連れ戻しに鳥居をくぐったり、説得しに来た社長が何かに突き動かされて警察を殴って行かせるシーンとか、挙げたらキリないけど、大体のキャラクターが自分の意思で突き進んだシーンにはリスクとか恐怖が伴っていて、


でも謹慎期間はあっただろうけど3年後ピカピカのオフィスで忙しそうにしてる社長の姿は、大人になると色んなものを諦めながら生きざるを得ない大人達に、大人になるな、大丈夫、ってメッセージを与えてるし、雨は降り続いてるけど2人は再開できたこととかは、だいたいの映画って苦難を乗り越えて全てのが解決するハッピーエンドだけど、あえて正解でも不正解でもない状態にすることで、答えがなくてもいいんだから行けよって、正解主義で生きてきた日本の人達にとっては、本当にこのままでいいの?って疑問を投げかけてる気がする。から最後まで考えさせられる状態で終わる。

で、彼らを突き動かしてる原動力は何かしらの愛情があって、好きな人を想うこと、亡くした人を想うこと、娘とか兄弟愛とか大切な人を想うこと、知らない人を喜ばせることとか、愛情ってテーマを持たせてる。人を想うことは強いんだよって。


で、挿入歌の歌詞を照らし合わせると、

叶わぬと知っていながら 重力が眠りにつく 1000年に一度の今日 太陽の死角に立ち 僕らこの星を出よう 彼が目を覚ました時 連れ戻せない場所へ 「せーの」で大地を蹴って ここではない星へ 行こう もう少しで運命の向こう もう少しで文明の向こう もう少しで運命の向こう もう少しで 夢に僕らで帆を張って 来るべき日のために夜を超え いざ期待だけ満タンで あとはどうにかなるさと 肩を組んだ

怖くないわけない でも止まんない

ピンチの先回りしたって
僕らじゃしょうがない
僕らの恋が言う 声が言う 「行け」と言う


とか


風が僕らの前で急に舵を切ったのを感じた午後 今ならどんな無茶も世界記録も利き手と逆で出せるような 気がしたんだ 本気でしたんだ 「なんとかなるさ」と「あとどれくらい?」と「大丈夫かな僕ら」の間を 振り子のように行ったり来たりしては 手を強く掴んだ いっそこの夢のど真ん中で派手に使い果たしてみようよ 笑われないくらいの愛で 変えられるくらいの世界ならば はじめから用などない 僕には必要ない 神様早く次を僕にくれよ みっともないくらいの声で ありえないくらいのこの気持ちを 僕に叫ばせてよ(叫ばせてよ)腐らせないでよ(捨てないでよ)

とか、

エンディングは


何も持たずに生まれ堕ちた僕
永遠の隙間でのたうち回ってる
諦めた者と賢い者だけが 勝者の時代に 
どこで息を吸う
支配者も神も 
どこか他人顔 だけど本当は分かっているはず 勇気や希望や絆とかの魔法 使い道もなく オトナは眼を背ける それでもあの日の 君が今もまだ 僕の全正義のど真ん中にいる 世界が背中を向けてもまだなお 立ち向かう君が今もここにいる

愛にできることはまだあるかい
僕にできることはまだあるかい


とか、




一貫して、「答えはないけど、先は見えないけど、ゴールはないかもだけど、間違えかもだけど、大丈夫、行ける、まだやれる」って応援されてるメッセージ性を感じて、めちゃくちゃ本筋に合っていて考え尽くされている気がする。

多分10代の子とかは、混沌とした社会を感じていて、親や学校が教えることと時代の流れが合っていないことに疑問を感じたり、未来に向けて明るいニュースがなかったり、生まれた環境を憎んだりとかで、希望が少ないかもしれないけど、自分の意思を強く持って進んで大丈夫ってメッセージを持たせてる気がして10代くらいの子の気持ちで見てたけど、途中から色んなものを諦めてきた大人に向けて、まだやれるし、大丈夫ってゆーメッセージを急に感じさせられてそっちの方向にグイッと引き寄せられるような不思議な感情の持っていかれ方をして、

で、見終わった後は、どこかで自然と体裁を取り繕って生きてたり、世間体を気にしたり、できない理由を見つけたりで、諦めてきたことの多さに気付かされて、まだやれるし、大丈夫、いける!って後押しされてる気持ちにさせられる映画。


恐らく表面的なストーリーだけを見ると展開もまとまりがなくて、色々散らばってるように見えるし、散らばったものをあんまり回収しないし、あえて何エンドかわからないようにしてるはずだから「??」ってなるかもしれないけど、 メッセージ性の観点で見ると終始、歌も含めて一貫して2時間同じことを言い続けているから、そこに気付いたりそっちに感情を持っていかれると無駄がないメッセージ性なんだって思いながら見れるのかもしれない映画。

控えめに言って、最高でした!

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