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【父のいない】当直の夜、妻と子どもたち #26.子どものこころ専門医の失敗子育て

私の職業は医者なので、当直業務があります。
朝出勤して、そのまま病院に泊まって、翌日も普通に仕事をして、夕方に帰るのが、一連の流れです。

小児科は、救急外来と病棟を含めて、月8回。
精神科は、月5回。
家族は、父のいない夜を過ごします。



登場人物

私 30代 子どものこころ専門医 小児科医 精神科医
妻 30代 保健師
長男 小学5年生
長女 小学2年生



当直中の父


当直の過ごし方は、基本的にはずっと仕事をしています。
残業と同じです。

普段、患者様にはお見せしませんが、医者は、診察の時間と同じくらい、カルテをまとめたり、書類を作成する時間がかかります。

カルテをまとめるのは、他の医師や看護師に情報を伝えたり、自分自身で治療経過を振り返るためです。

書類は、診断書、意見書など、特に行政サービスを利用するときに必要となります。
なるべく早く仕上げるべきなのは、医者はみんなわかっていますが、日中は患者様の診察や治療で、ほとんど時間いっぱいです。
そのため必然的に、当直の時間中に書き上げ、それでも間に合わないものを残業して作ることになります。

そういった作業の合間で、救急外来に呼ばれたり、病棟に呼ばれたりして、患者様の対応をします。
「当直中に内職するつもりだったのに、全くできなかった」は、当直あるあるです。

ビジネスホテルのような作りの当直室に泊まります。
普段よりも遅い時間に眠って、夜中に起こされることもしばしばです。


当直の日の家族


赤ん坊の頃は、父はいなくて当たり前と思っていたかもしれません。
物心がついてからは、父が当直であることを知ると、泣きます。

長女が泣く横で、

長男「なんで当直なの!」と大泣き。

そのため、私は自分が当直であることを伝えるのをやめました。

私が当直の日は、妻が迎えに行きます。
車は私が出勤で使っているので、必然、歩いてのお迎えになります。

夕方で、疲れて眠いところで、母が迎えに来る。
父が当直であることを察する。
そして、長女が大泣きします。そんな長女を連れて帰る妻。

長男はそのときは泣かないまでも、夜寝る前に

長男「なんで、当直なの。」

しくしく泣き始めます。

そして、寝静まった後、妻から電話が入り、その有様を聞きます。
もちろん、心は痛いです。しかし、私にはどうすることもできません。

妻「当直って伝えておいてよ。」


前もって伝えると、伝えた日から、当直の日まで毎晩泣きます。

長女「〇曜日、なんで当直なの!?」

何でと言われても、仕事だからとしか答えられません。

でも、子どもたちは答えがほしいわけではありません。
慰めるしかありません。



子どもの成長


そんな子どもたちですが、ごく最近から、泣かなくなりました。

長女「パパ、明日の夜会おうね。当直頑張ってきてね。」

と言ってくれるようになりました。

長男「夜、テレビ電話できる?」

私「仕事で呼ばれなければできるよ。」


これまでは、夜電話すると、子どもたちが泣いてしまうので、できませんでした。

ようやく、家族一同、落ち着いて当直の夜を過ごせるようになりました。
耐え抜いてくれた妻と、成長してくれた子どもたちに感謝です。

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