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藤井風を支えるチーム風、いや河津さんについて語らせてほしい

藤井風ファンになって、きっと誰もが思うことがある。

チーム風の藤井風を支えるチームプレイが凄すぎやしないか?てか、ワイルドダンディマネージャー(WDM)河津さん、敏腕過ぎんか?ということである。

前回の投稿(どうか藤井風について語らせてほしい)の最後にチーム風について触れたが、それを率いる河津さんは単なるマネージャーではなく、各MVやライブBlu-rayにも一部記載がある通りで、マネージャーというよりプロデューサーの色が強い。そして、藤井風氏本人のSNSや公式アプリにまあタレント並みにイケ散らかした顔出すわ、良いコメント出すわ出すわで、藤井風ファンから心底愛されている。 

公式アプリで河津氏本人が語っているように、デビュー前、多数の企業から藤井風氏には声がかかっていた。散々話が行ってる中、本人は最終の検討段階に入っていたのだろうか。河津さんが声をかけた時には「もうすでに音楽業界の色々な方からお声がけいただいているので、これ以上の連絡は結構です」と一度断られている。

が、当時河津氏がマネージャーを担当していたSHISHAMO 宮崎氏から「いやいや、諦めないで」的に諭され、再度アタックし、何度も里庄を訪れたそうだ。 

その結果、河津氏は「『出会いの運というか縁』って本当に大切だな」と、契約に至った経緯を締め括っている。

で、だ。 

じゃあ、なぜ。数多のエージェントから声がかかっていた藤井風氏が、これから始まる自分の音楽人生すべてを捧げるのを、最終的にDGエージェントに決めたのか?いや、河津さんの手を取ったのか?そこはずっと気になっていた。その決め手はなんだったのか? 

ちなみにDGエージェントが抱えているアーティストは及川光博氏ほか数組のみ。ディスクガレージの関連会社で、ご存知の通り母体はエージェント業務がメインではなく、イベント/コンサートの企画・制作・運営が主な領域だ。想像の域だが、ディスクガレージはメイン業務の中で築かれたアーティストとの関係や、ベテランスタッフ個人の意志でやりたいエージェント業務を、DGエージェントとして分けてやっているのではないか。もしそうなら、河津氏は母体のディスクガレージにとって相当信頼の置ける重要な人材であると言える。 

リサーチしたところによると、河津氏はコンサートプロモーターとして音楽業界に従事してきた傍ら、VIVA LA ROCKの立ち上げにも主催者・鹿野氏のサブ的要員として従事し、「ライブは数年先の『先を読む力』が重要」と、その能力を研ぎしまして来たようだ。

河津氏のプロモーターとして注目すべきところは、そのイベントやフェスの収益や成功だけを考ていない点だ。開催される地域で、そのフェスがどう成長していくのか数年先を見据え、その地域の地方創生をどう一緒に作り上げていけるのか?どうやったら地元の人たちから愛されるフェスになるか?その土地の未来ある子供たちが〝音楽を愛せる”イベントになるか?を考えて構築されている。

フェス開催だけの視点に留まらず、そのフェスを開催することによって生まれる音楽ファンの育成、音楽人の育成、音楽業界の未来を常に考え続けているというのは、河津さんのあらゆるインタビューや業界向け講義で語られる言葉の端々から強く感じる「意志」だ。 

自分もエンタメ業界で年に数回講師をしているが、本業ではない講師をやるのは正直その準備に結構な労力がかかるし、その割にギャランティが良い仕事では決してない。では、なぜやるのか?自分が積んできた経験や知見、考えを、この業界を将来支えてくれる未来の人たちに伝える義務と責任があると思っているし、それがゆくゆくは未来の文化を支える事に繋がると信じてやっていたりする。 河津さんの講義の内容を見ると、近しい思いなのではと勝手に想像している。 

そんな人が、藤井風の心を掴んだ。DGエージェントというか、河津さんと一緒に、プロとしての音楽人生を始めようと決意した。 

もう、納得しかない。 

グッズがすぐ売り切れてしまい生産数が少ないとファンから声が挙がったとき。藤井風公式アプリで河津さんはこう語った。 

 「我々はみなさまが思っている以上に少人数でこの風プロジェクトを運営しております。」 「なぜ、少人数なのか?と、聞かれたら、風と風通しの良い意思疎通の取れたチームでいたいからです。」 「風がフラっと倉庫へやってきてグッズ発送の手伝いをする。」「我々は、そういったことのできるチームでいたいのです。」

現状とこれから想定されるファンの規模を考えると、この発言をすること自体、結構な覚悟と思いがあったのではと想像する。この発言を受けて、単にビジネス面だけ捉え「いや、この規模はアレコレ外注して、それぞれが本業に徹するのが誰にとってもベストでしょ」と、誰が言えるだろうか。効率化/マネタイズ/ビジネス面を何より求められ評価されるこの世の中で、この河津さんの個を思いやる気持ち、それを通せる社風が、正直うらやましく、眩しいくらいだ。

藤井風氏は、自分が音楽家をやっている理由を報道ステーション(2020年9月22日放送)で、こう語っている。 

誰かがちょっといい気分で人生を送れたりするために 音楽をやっとるようなもんなんで。もうそれが、わしにとってすべて、というか。もうそれだけで、生きていけます。 

本当にピュアかつシンプルな思い。 

チーム風は、その思いを真摯に受け止め、且つソーシャル上で色んな声が挙がっているファンの声も真摯に受け止め、プロデュースと運営に活かしてくれている。 それを、河津氏が公式アプリで自分の言葉で伝えてくれているのが、胸アツなのである。

藤井風自らがグッズの即完売をTwitterで謝罪したとき。「アーティスト本人が謝ったりするのはどうなの?そんな事、本人にさせないで、謝らなくていいよ」というtweetを見かけたりするが、果たしてそうだろうか?藤井風氏本人が伝えたい思いは、どんな事でも素直に本人から伝えさせてあげたい。だって、「自分の言葉で語る」ことにこだわってるんだから。それが彼のスタイルだから。河津さんとしては、それもやらせてあげたいのではないか。

類稀なる才能を持った音楽家としての藤井風氏に、音楽にだけ専念してほしいという声が強く出ていたこともあった。そのファンの気持ちも痛いほど分かる。 分かるんだけど。

個人的に、藤井風氏は音楽だけの領域に留まらない「人間そのもの」としての底知れぬ魅力や影響力、苦しみもがいて日常を生きようとしている人たちを救う力があると思っている。 音楽家である前に、「藤井風」というひとりの人間。その彼の意志や、音楽以外のあらゆる表現を制限する、音楽家として専念してほしいと願うなんて、違うのではないか?なんせ、YouTubeを一人でやっていた時から、ユーモアを織り交ぜたパフォーマンスで視聴者を楽しませようとして来た人だ。すばらしい表現者なのだ。そんな彼の思いを尊重する姿勢を、「風通しの良い意思疎通の取れたチーム風」から感じ、勝手に共感したりしている。

こんな信頼できるマネージャーが他にいるの?河津さんを選んだ藤井風氏に、逆に感謝したい。見る目、有り過ぎだろうに!

「アーティストとして、どうあるべきか?」という概念や方法論みたいなモノが過去にはあっただろう。でも、このソーシャルメディアで自由に自己表現できる時代は、もうとっくに積み上げたものぶっ壊して身に着けたもの取っ払ってる時代だ。どんどん形を変えて進化している。

十数年前である小学生の頃からおとんにYouTubeでの自己表現を勧められ、一時中断しながらもそこに向き合い続けた藤井風氏は、「アーティストとしてあるべき姿」という固定概念に囚われる域を超えている。囚われる必要もない。

河津氏はそこの一番の理解者であり、音楽業界の定石を変えようと藤井風氏に寄り添いながら、でも何より楽しみながら(大事)、もがいていると思う。フリーライブでの決断を見ても、業界の未来を考え、批判があろうとも先陣を切って新しいチャレンジを続けなければという気概を感じる。そして、そのもがいている姿を惜しみなくファンに見せようとしてくれている。

強がりも もうええよ
汗かいてもええよ
恥かいてもええよ

<藤井風「燃えよ」より>

だったら、自分も。一緒にこの人生、もがいてみよう。そう心底思わせてくれる。

藤井風氏の魅力を追い続けると、そのバックヤードで支える人たちの熱い思いまでに心奪われてしまい、すべてが「藤井風」となる。

この藤井風氏の思いやチーム風の姿勢って、自分の人生にいおいても活きて来るような気がする。自分に問う。仕事をするって、働くって、何のため?自分がいることで、少しでも世の中に貢献するため。誰かの役に立つため。一人でも多くのひとを、笑顔にするため。

チーム風は、果敢なチャレンジで生きる力と笑顔を与えてくれる。

ファンにとって、こんな幸せなことって、ある?



追記:最後に、DGエージェントの母体である、ディスクガレージの「私たちの目指すもの」が胸アツだったので、付け加えておきます。9月4日のライブが成功することを祈って。

時代がどのように変化し、移り変わろうと人間が人間である限り変わらないもの、変えられない事があると思います。
音楽、とりわけライヴはそんな「人間らしい」営為のひとつではないでしょうか。
私たちひとりひとりの存在は小さく、はかないものかもしれません。
けれどその小さな人間が力を合わせて創りあげたライヴは、時として社会をも動かす強烈なエネルギーを発揮します。
素晴らしい感動を、私たちに与えてくれます。
私たちを惹きつけてやまない数々のエモ-ショナルなもの・・・。
私たちは、今まで通ってきたこの道を、昨日よりももっと素晴らしい未来があると信じつつ歩んでいこうと思います。
(ディスクガレージ公式サイトより)

画像:藤井風公式アプリより転載

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