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「議席譲渡」による朝木直子東村山市議会議員選挙当選人の豹変する態度 ~宇留嶋瑞郎著「民主主義汚染 東村山市議と日本の暗黒」を読む 2~

朝木直子東村山市議会議員選挙当選人の豹変と有権者に対する姿勢

 平成7年4月23日、東村山市議会議員選挙が執行され、政治グループ「草の根」に所属する朝木明代さんが2622票を獲得して二期連続トップ当選し、朝木直子さんが1926票を獲得して4位当選しました。「民主主義汚染 東村山市議と日本の暗黒」ではその様子を次のように触れています。

 当選が決まった二三日夜、同市議選で二六二二票を獲得、二期連続トップ当選を果たした母親の朝木明代(五〇=当時)とともに記者会見に臨んだ直子が、「親子でやりにくいこともありますが、若い世代の代表としてかんばります」と笑顔で抱負を語り、『朝日新聞』四月二四日付朝刊では「母娘当選、ガンバります」の見出しで好意的に取り上げたばかりだったからだ。

宇留嶋瑞郎著「民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒」

 その朝木直子東村山市議会議員選挙当選人(当時)は、東村山市議会議員選挙管理委員会で当選証書を受け取った直後に口頭で当選の辞退を申し入れることになります。そして、「民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒」の冒頭部分に描かれる朝木直子東村山市議会議員選挙当選人の「当選返上」記者会見へと至ることになるのです。

 九五年四月二六日午後、西武新宿線東村山駅近くにある政治グループ「草の根」の事務所では奇妙な内容の記者会見が開かれていた。三日前の四月二三日に行われた東村山市議選で、一九二六票を集め四位当選したはずの朝木直子(二七=当時)が、実は当選を返上するというのである。地元の記者たちは驚いた。

宇留嶋瑞郎著「民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒」

 朝木直子東村山市議会議員選挙当選人の記者会見は異例ずくめのものでした。

 記者会見が始まった四月二六日午後二時。「草の根」事務所には、朝木母娘と次点で落選した矢野穂積、それに直子の選挙事務長だった小坂渉孝(六一=当時)らが顔をそろえた。
ー なぜ当選を辞退したのか。
直子 矢野さんは、これまで八年間、毎回市議会を傍聴するなど、私よりも議会について精通しており議員として適格。繰り上げ当選してもらうために辞退することにした。
ー 投票してくれた人を裏切ることになるとは思わないか。
直子 思わない。私への票はすべて、私個人ではなく「草の根」の政策に共感して入れてくれたものと考えている。選挙活動では私の人格、能力はわからないはず。市民は公約でしか判断できないと思う。選挙戦でも政策を訴えただけで、自分をPRしたことはまったくない。
矢野 われわれは、議員は個人ではなくグループの一員として議会を改革するものと考えている。
ー 法的にはクリアできても、疑問を感じる人が多いのではないか。
矢野 当初は三人当選するはずだった。私が次点になったのは偶然のこと。われわれの政策を実現するためには、次善の策とはいえ、こうするしかない。形式的な面だけからみるのではなく実態を見てほしい。われわれは有権者の期待に応えられると思う。

宇留嶋瑞郎著「民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒」

 朝木直子東村山市議会議員選挙当選人の「私への票はすべて、私個人ではなく『草の根』の政策に共感して入れてくれたものと考えている。選挙活動では私の人格、能力はわからないはず。市民は公約でしか判断できないと思う。」や、矢野穂積さんの「当初は三人当選するはずだった。私が次点になったのは偶然のこと。」には、有権者がそれぞれの立場や意見をもとになされた一票をとことん馬鹿にするような姿勢が透けて見えます。
 この姿勢は、選挙公報にもあらわれています。平成27年4月26日執行の東村山市議会議員選挙の朝木直子候補の選挙公報にはこうあります。

草の根2名当選のため、諏訪町、久米川町、秋津長、青葉町の方は朝木尚子に投票を。(その他の地域の方は矢野ほづみへ。殺害事件究明の「東村山の闇」Ⅰ・Ⅱ(新刊)もお読み下さい。

平成27年4月26日執行東村山市議会議員選挙選挙公報

 それに呼応する形で矢野穂積候補の選挙公報は次のようになっていました。

草の根2名当選のため、多摩湖町・野口町・廻田町・美住町・富士見町・栄町・萩山長・本町・恩多町の方は矢野ほづみに投票を。(その他の地域の方は朝木直子へ。殺害事件究明の「東村山の闇」Ⅰ・Ⅱ(新刊)もお読みください。)

平成27年4月26日執行東村山市議会議員選挙選挙公報

 地方議会議員選挙などで公明党や日本共産党の候補者の票割りが巧みであると評価されることがあるのをしばしば耳にしています。これは、候補者となる者の地盤となる地域とそれ以外の地域での票読みによって候補者調整を行って多くの候補者を議会に送り込むことを指しますが、このような公明党や日本共産党ですら、有権者に対してある地域の有権者はA候補に投票、別の地域の有権者はB候補に投票などと有権者にお願いすることはありません。朝木直子東村山市議会議員選挙当選人から矢野穂積さんへの議席譲渡から現在に至るまで、彼らが有権者を馬鹿にしている姿勢は一貫しているといえます。幸いにも令和5年の統一地方選挙では草の根市民クラブの候補者は一人となる見込みなので、このような票割りで苦労することはなくなりました。

アリバイ工作を認めたも同然の供述をなした朝木明代東村山市議会議員(当時)

 その後、トップ当選した朝木明代東村山市議会議員(当時)は、東村山駅前のブティックで万引きし、矢野穂積さんとびっくりドンキーのレジジャーナルと利用したアリバイ工作ともいえる行為をなし、万引き捜査の2回目の事情聴取で証拠して提出したレジジャーナルが矢野穂積さんと朝木明代東村山市議会議員の従前の供述と食い違っていることを捜査員に指摘されることになりました。

ー もうこれぐらいでいいだろう。頃合いを見はからっていたいた捜査員が、しばらくして明代の供述をさえぎった。
ー 「このレシートは他人のものですね。正しいレシートを出しなさい」
 明代は、一瞬沈黙し、やがて答えた。
明代「私はどうなるんでしょうか」
ー 「地検に送致します」
明代「私にはアリバイがあるのに、おかしいではないですか。犯人ではないのに・・・」
 明代はいいつのったが、この日の供述がどんな意味合いを持つことになるか、まだ気づいていなかった。捜査員は明代の言い分にまったく動じる気配もなくこういった。
ー 「残念ですが、捜査の結果とあなたのアリバイ供述には食い違いがあります。書類を地検に送致しますから、調書にサインしてください」
 調書にサインを求められたとき、二回目の事情聴取で主張していたアリバイがすでに崩されていたらしいことにおそらく明代はハッと気がついた。だが、そうとも知らず自分は、ジャーナルのコピーを正式な証拠として提出してしまった上、すでにうそだと見破られているアリバイを、延々と、しかも微に入り細に入りしゃべってしまった。
 私の推理だが、明代はこのとき、ようやく事態を理解したのではないか。
(略)
「調書にサインしてください」 ー と係官。だが、瀬戸際に立たされた明代はサインしようとしなかった。が、そのかわりに、何が脳裏を横切ったのか、彼女は非現実的な願望を係官に向け口に出した。それは本来なら、いってはならない言葉だった。
明代「ちょ、ちょっと待ってください。今日の調書はなかったことにしてください・・・」
(略)
 さすがに、明代は自分が口走ったことに、もっと決定的な意味が含まれていることにすぐ気がついたのだろう。つまり、「なかったことにしてください」というのは、二回にわたって自ら得々としてしゃべったアリバイ供述のすべてが、虚偽であるということを自白したようなものなのだ。明代は内心の動揺を見透かされまいと、「お店のことはもう一度確認させてください」と必死にその場を取り繕った。そして、明代は調書にサインしないまま、取調室を飛び出していったのだ。

宇留嶋瑞郎著「民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒」

 朝木明代東村山市議会議員のこの発言は、びっくりドンキーでのレジジャーナルを用いたアリバイ証言のすべてがアリバイ工作であったことを認めてしまったようなもので、取調室を飛び出した朝木明代さんは、信頼する矢野穂積さんに善後策を相談しに行ったものと思われます。しかしながら、矢野穂積さんは、若くクリーンなイメージで当選した朝木直子さんの有権者からの信頼を台無しにすることをわかっていながら朝木直子さんに議席譲渡という奇策を進めたほどの自己中心的な人物ですから、アリバイ工作によって自らの身にすら危険が迫っていることを察知して朝木明代東村山市議会議員をひどくなじって責め立てたのではないでしょうか。朝木明代東村山市議会議員が自殺を考えた原因として、ブティックでの万引きを挙げる方は多いと思いますが、この日の取調べの状況を報告したであろう朝木明代東村山市議会議員と矢野穂積さんとの打合せで朝木明代東村山市議会議員がパニックになったことも十分考えられるのではないでしょうか。