鈴木宗男参議院議員の訪露
鈴木宗男参議院議員が訪露して外務次官のルデンコ氏らと会談したようです。
鈴木宗男衆議院議員(当時)がロシア外交に積極的に乗り出した当時、北方領土問題については末次一郎さんの四島一括返還論の主張に共鳴した外務官僚がロシア外交の主要なポストを占めていましたが、鈴木宗男衆議院議員は、東郷和彦欧亜局長(当時)、佐藤優外務省主任分析官(当時)らと組んで歯舞、色丹の二島先行返還論を主張し、駐日ロシア大使のいる席で末次一郎さんを面罵した場面もありました。その結果、ポツダム宣言受入後に宣戦布告して樺太や千島を強奪したロシアに対して圧倒的に優位に進めていた北方領土返還交渉は、一部すら返還が不可能ともいえる段階まで後退しました。
このときの鈴木宗男衆議院議員は選挙に弱く、北方領土の返還という結果を求めて焦った結果、二島先行返還論を主張するようになったと私は考えていましたが、その後のロシアのウクライナ武力侵略に対する見解や対露外交に対する持論などを見て単なる親露派であるとの結論に至っています。
鈴木宗男参議院議員は訪露によって効果的が外交をなすことができたのか
ただ、鈴木宗男参議院議員がどのようなイデオロギーや思想信条に基づいて行動しようとも結果を出せばよいわけですが、その結果もかなり怪しいものであると言わざるを得ません。
鈴木宗男参議院議員が会ったロシア高官であるルデンコ氏は「外務次官」という表現がなされているものの、ロシアの外務担当部門に外務次官は少なくとも6人以上おり、ルデンコ氏のポストは日本の外務省ではアジア担当の外務審議官かアジア局長クラスであると考えてよいでしょう。ルデンコ氏の氏名とポストが代表して挙げられていることから、鈴木宗男参議院議員が会った他の人物はルデンコ氏より軽いポストの人物であると考えられます。つまり、鈴木宗男参議院議員が万難を排して会談したにしてはロシア側の会談相手のポストが軽すぎるのです。
そして、当然のようにロシア側から効果的な譲歩や提案を引き出すこともできませんでした。鈴木宗男参議院議員は何をしにロシアまで行ったのかというのが今回の訪露の印象です。