見出し画像

HighScope(ハイスコープ) - 早期療育最前線 -

昨年9月に、最先端療育現場の視察のためアメリカへ行ってきました。いくつか回ってきたのですが、今回はHighScope(ハイスコープ)についてご紹介します。

HighScopeは、デトロイト近郊にあるイプシランティ市にある教育機関です。ノーベル経済学賞を受賞したジェームス・J・ヘックマン氏が、教育の経済効果を測るために活用したことで有名です。このヘックマン氏の論文では、幼児教育の経済効果は年利10%もあると見積もられ、幼児教育の重要性が一気に脚光をあびました。HighScopeは、現在、アメリカ合衆国以外に、22カ国拠点があり、全世界的に広がってきています。残念なのは、日本にはまだ正式な支部がないことです。そのため、今回引率頂いた子どもの発達科学研究所さんがその設立準備室を旗揚げし、現在、日本での設立を実現すべく準備を進めています。

HighScopeの特長は、構造化された環境の中で、子どもたちが主体的に学びを得る仕組みがあることです。以下は、HighScopeの全体像が分かる図です。この図の中心には、"アクティブ・ラーニング"という文字が添えられていて、HighScopeがこれを一番大切にしていることが伝わってきます。HighScopeの対象は、主に未就学児です。

無題

HighScopeの学びの環境は、以下図のように作られています。教室を複数のエリアに分けて、それぞれのエリアは別々の機能を持っています。例えば、トイエリアには、たくさんオモチャが配置されていますし、図書エリアには本、ハウスエリアにはキッチングッズ、ブロックエリアにはつみき、アートエリアには絵の具、と言ったようにそれぞれのブロックに合わせて様々な教材が配置されています。感覚刺激を与える教材も多数あり、HighScopeで使われる教材は、1教材1機能というよりも、1教材多機能というものが多いことも特長です。

無題

画像7

無題

登園から降園までの時間は、細かく区切られています。外遊び、小集団活動、大集団活動、プランニングタイム、振り返り、昼食、昼寝と言った内容を時間を区切って実行していきます。その日の時間割は、子どもたちにも分かりやすいように教室に掲示されています(下の写真参照)。時間が長いプログラムは、横幅が長くなっていて、見た目にも分かりやすい工夫がされています。

無題

先生たちは、主体的に行動する子どもたちに対して、示唆的に関わっていきます。ティーチングというよりもファシリテーションするような感じです。答えを与えるのではなくて、色んなヒントを与えて気づかせていくというようなアプローチです。HighScopeでは、子どものどこを見てどのように関わっていくかということについてもテキストが作られていて、それを使って先生は学ぶことができます。

無題

先生たちは、子ども一人ひとりに合わせた個別支援計画を立てて、子どもと関わります。HighScopeには重要発達指標という指標があるので、それを意識しながら子どもと関わり、成長を促すことになります。

HighScopeには、アセスメントツールも揃っています。面白いのは、子どものアセスメントツールのみならず、先生のアセスメントツールもあることです。先生の能力が十分に備わっているかどうかについて、このアセスメントツールを使って確認することができます。

無題

HighScopeの視察をさせて頂き感じることは、世界にはたくさんの素晴らしい実践があります。子どもたちの未来のためにも、この実践を日本にも持ち込みたいです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?