見出し画像

法制審議会家族法制部会第7回議事録11~石綿幹事・杉山幹事・池田委員

一週間後は議事録読もうのウェビナー!

たぶん今週中には読み終える予定


○石綿幹事 

石綿でございます。
 私も第2の点について検討するということについては賛成いたします。その上で2点,お願いと意見です。
 1点目は,10ページ,ウの子の年齢に着目した規律を設ける方向を検討するということには賛成します。その方向性で検討していく場合に,子どもの意見の尊重と子の年齢の関係性について,資料で整理していただいたように,現在の法状況を見ると,15歳というのが一つの年齢区分になるかと思いますが,さらに15歳未満についてどのように細分化していくことができるのか,必要があるのかということを,この場で議論する必要があると思います。
 その上でお願いです。それを検討する際に,例えば,現在家庭裁判所の調査官調査等において,子の年齢に応じて子どもの意見,意思,態度のようなものをどのように考慮しているのか,あるいはどのように考慮するかという指針のようなものもあれば,次回以降でも構わないので,御紹介いただくことはできないのかというお願いです。例えば,親権者,監護者の決定について,おおむね10歳以上の子については,その意思が尊重されていいというような裁判官の方の論文を目にしたこともあるのですが,実態はどうなっているのかというようなことです。11ページの(注6)で発達心理学の知見の収集の必要性についての指摘もあるところですが,既に家庭裁判所で一定の運用や検討の蓄積があるかと思いますので,可能であれば御紹介いただきたいというのが1点目です。
 2点目は,子どもの意思について,現在資料7の9ページでは,子どもの利益の判断の考慮要素の一つと整理されていて,私自身も,位置付けるとすれば,そのようになるのではないかと考えておりますが,ただ,子どもの意思,意向と子の利益が必ずしも一致しない場面もあるのではないかと思っております。したがいまして,11ページのア②で示されているように,子の意見を尊重することができる規律を設ける際には,その内容や年齢について,注意深く検討していく必要があるのではないか,これも,12ページの(注1)で指摘されていることと重なるかもしれませんが,重ねて指摘させていただきます。
○大村部会長 ありがとうございました。2点御指摘を頂きました。
 1点目は年齢についてで,15歳というところに一つ線が引けるとして,ほかの線を引くとしたらどこなのかということを考える必要があるだろう。それとの関連で,家裁での取扱いについて教えていただければ有り難いという御要望がありました。この御要望については,また事務当局と裁判所の方とで打ち合わせていただいて,何か出していただけるようであれば,次回以降にお願いできればと思います。
 それから,子どもの意見の位置付けについて,子の利益の中で考慮するという位置付けを示されているけれども,子どもの意見と子どもの利益というのが,当然に同じ方向を向いているというわけではないので,その辺りについて慎重に整理する必要があるのではないかという御意見を頂いたと理解をいたしました。
 よろしいでしょうか,それで。

○杉山幹事

 幹事の杉山です。
 既に出された意見と重複するところもございますが,2点ほど申し上げたいと思います。
 1点目は,子の意思とか意見の聴取に関するところでありまして,3ページから4ページ目辺りにあるように,人訴法や家事事件手続法において,15歳を基準にして,それ以上であれば子の陳述を聴取し,それ以下の子どもも含めて,子の意思を把握することになっています。これは,裁判手続を前提としているものでありますが,実体法の場面でも似たような規律を作っていくことは必要であろうかと思います。もちろん,誰が子の意見を聞くか,ないしは意思を把握するのかという問題は,先ほどから出ているように検討すべきであると思いますけれども,方向性としては,手続法で既に考えられていたものを,実体法上反映させていくことがよいと思います。
 ただ,石綿幹事がおっしゃったとおり,手続法では取りあえず15歳を基準に線を引いて,それ以上であれば意見を陳述することができるであろうということを前提としているかと思います。一般論として,年齢が高くなればなるほど,自己の意見を言うことができて,それを尊重すべき度合いは強くなっていくと思うのですが,果たして全ての事項について,15歳を基準に考えることが適当であるのかについて,この際考え直してみるのがいいのではないかと思います。
 これが1点目でありまして,2点目でありますけれども,これは,今津委員が先ほど指摘された,10ページの⑤のところです。前回も申し上げましたように,面会交流などについて,子の幼少期に債務名義を作成したとしても,子どもが成長するにしたがって,実態と合わないので強制執行がうまくいかないことがあるのなば,一旦債務名義が作成された後も,もう少し長期的なスパンで子どもの意見ないしは意思を反映させて,執行手続を調整していくことが必要であろうかと思います。もちろん,債務名義が家事手続で作成された審判であれば,そちらを変更することもできるのですけれども,より簡素に執行手続の中で子どもの意思を反映させつつ,迅速に調整ができるような手続を作っていくのが望ましいと思います。
 ただ,その際の問題として,人的リソースとして,家庭裁判所では調査官がいるので,子どもの意思とか意見などをうまく把握することができると思うんですけれども,執行裁判所はそのような仕組みができていないので,執行裁判所の方に専門家を置くか,あるいは執行裁判所と家庭裁判所をうまく連携を図るなどしていく必要性はあるのであろうかと思います。いずれにしても,広い視点で検討した方がよいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。杉山幹事も基本的な方向については賛成だということを前提に,手続法で行われている子どもの意見の反映というのを,実体法にも及ぼしていくということがいいのではないかという御意見だったかと思います。ただ,15歳という年齢については見直す余地があるのではないかということが一つ。先ほど今津幹事からも御指摘があった執行の場面について考えるというのがもう一つ。その際に,執行手続の中で子どもの意思,意見を取り入れるということが望ましいと思われるが,それに伴う制度上の問題点というのもあるので,そこを考える必要もあるという御指摘を頂いたと思います。
 池田委員のあと,原田委員,窪田委員という順番で御発言を頂ければと思います。

○池田委員

 弁護士の池田です。
 9ページから10ページにかけての②,③,④辺りについて上げたいと思います。
 まず,②のところですが,これは,子どもの意見を尊重するということの更に一歩進んだところとして,一定の事項については直接子どもの意見を反映するという内容ですけれども,これについては,やはり子どもの意見表明権と子どもの最善の利益との関係という問題との兼ね合いがあるのかなと思います。ここでは,恐らく一定年齢以上ということも想定の範囲に入れて,直接反映ということをお書きになっているのかもしれませんけれども,その場合でも,やはり子どもの最善の利益というのが最も優先して考慮されるべきものですので,一定の事項について例外なく直接反映という趣旨であれば,私は反対です。
 それから,③についてですが,これは,協議離婚制度において,子どもが忘れられた存在ではないかということを,私,前回申し上げたところでしたけれども,ここでの御提案は,それに応えていただくものとして,非常にいい御提案をいただいたなと思っています。
 この中身のところで,弁護士等の法律家が関与して,子の意見を尊重したものとなっているか確認する役割を担うということなんですけれども,どのように子どもの意見を尊重したものかを確認するかという方法については,ここでは特に示されていないわけですけれども,私としては,ここで,この関与する法律家が直接聴取をするというプロセスがあるといいなと思っています。その場合に,弁護士がそういうことできるのかとか,あるいはどの年齢以上だったらという問題は生じてくる可能性はあるかなとは思っていますけれども,やはり協議離婚の合意事項,父母の合意事項に一定の審査をしていく中での子どもの意見の聞き取りということを考えたときに,原則として,父母とも話をしている中立の法律家が子どもからも聞くということが,やはり望ましいのではないかと思います。子どもから直接話を聞いているからこそ,父母に話もして信頼をしてもらえるという関係があるんではないかと思っているからです。ただ,先ほど申しましたように,非常に小さい年齢のお子さんのことを考えたような場合まで全てカバーできるかというと,そうでもない可能性もありますので,一定の心理職あるいは福祉職との連携というのは必須になってくるかなと考えています。
 それから,10ページの④のところですけれども,一定の年齢を基準として子の意見を尊重するということですけれども,やはりこれは,子どもの権利条約12条のところでは,年齢によって制限をしないということが国連子どもの権利委員会一般的意見第12号で示されているところでして,その解釈との抵触ということが問題になるのかなと思っています。また,12条のところでは,自己の意見を形成する能力があるということが書いてあって,そこと関連して,一定の年齢という話が出てくるところもあるのかもしれませんけれども,同じく一般的意見第12号の中では,その能力を補うような形でこの条項を解釈するべきであって,制限する形で解釈していくことはいかんと書かれているところですので,その観点からも,一定の年齢で基準を設けて区切っていくというのは,望ましい方向ではないのではないかと考えています。
 それから,最後に1点,この子どもの意見の尊重ということに関して,今,家事事件手続法の中で,子どもの手続代理人制度というのがございまして,それが子どもの意見表明権を実質的に保障していく制度であると考えられますので,この資料7の検討が,恐らく次回にも続くかなと思っていますけれども,次回,それに関する資料をちょっと提出させていただいて,若干その制度についての御説明等もできればなと考えております。
○大村部会長 ありがとうございます。9ページから10ページにかけて課題として指摘されていることについて,具体的な意見を頂戴しました。9ページ,それから10ページの②,③,④というところについて御発言があったかと思いますけれども,②や④については,今のような書き方でよいかということについて,それぞれにつき一定の疑念ないし疑問をお示しいただいたと思います。③については,これを積極的に受け止めたいということで,弁護士等の法律家の関与の具体的な内容について御提案を頂いたと受け止めました。ありがとうございます。
 それで,原田委員,窪田委員,そして沖野委員,それから赤石委員と,こういう順番で進めさせていただきたいと思います。

親子に優しい世界に向かって,日々発信しています☆ サポートいただけると励みになります!!いただいたサポートは,恩送りとして,さらに強化した知恵と工夫のお届けに役立たせていただきます!