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法制審議会家族法制部会第36回会議議事録読む6~棚村委員・落合委員・北村幹事・原田委員

新年度以降の展開を模索しつつ

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議事録読みを進めよう

○棚村委員

 これまでの附帯決議については、事務当局から御説明があったとおりだと思います。それで、今回の離婚後のこどもの養育の在り方に対する民事法制の見直しについては度々、支援とか運用する家裁での体制、これを強化すべきだという御意見がありましたので、私自身も内容については賛成いたします。ただ、法制審の部会でこれを附帯決議という形でどこまでできるかというのは、水野委員がおっしゃったような、少し疑問があり慎重に対応する必要があると思います。
 むしろこれまでは、どちらかというと衆議院とか参議院という国会の場で法律案みたいなものを審議したときに、それにはかなり自由な形で御意見あるいは検討事項が示されるということがあります。例えば、2011年の親権及び未成年後見なんかの民法の一部改正のとき、特に親権停止制度とかが提案されて改正されたときですけれども、このところでは、親権停止制度についてもそうですけれども、離婚後の共同親権とか親子交流とか、そういうことについてきちんと見直しをするとともに支援の体制を強化するというようなことが定められています。割合と国会の議論とか審議ですと、非常にいろいろな注文を付けて、人的な、物的な体制の強化、いろいろな手当てについても責任を最終的に負っているところですので、割合とそういう意味では出しやすいのだろうと思います。
 法制審の部会での附帯決議ですけれども、例えば直近で、先ほど出てきた会社法の一部改正、特にコーポレートガバナンスというか企業統治に関する改正が行われたときに附帯決議が確かに出されていますけれども、この附帯決議は、要綱案でかなり具体的な規律で足りなかったところですね、例えば株主総会の資料の電子提供に関する規律なのですけれども、これに伴って金融商品取引所の規則で上場企業に対してできるだけ株主が提案をしやすいように3週間程度の期間を持つべきであるとの附帯決議が第1個目です。それから、第2個目の附帯決議の内容は、正に株式会社の代表者の住所の登記情報について、戒能先生なんかも詳しいかもしれませんけれども、DV法に伴うような情報の公開に対する危険がある場合には、非公開措置をとれるようにすべきだとか、それから電子通信回線法に基づく登記情報についても非開示にするとか要綱案の決議に伴って少し漏れていたり、対応をしなければいけないような具体的な詳細なことについて附帯決議をしているわけです。
 つまり、この要綱案を本部会で、今回のものもそうですけれども、取りまとめるに当たって、実際にそれが成立をしたときに整備しなければいけない細かい具体的な内容についての附帯決議が法制審の親委員会でされているというのを考えますと、今回の意見書で盛り込まれて、私たちが考えているものは、どちらかというと具体的な要綱案が成立をしたりした場合に、人的、物的な様々な体制をきちんとしてもらうことによって目的を達成できるようにお願いをしたいという内容かと思っています。そうすると、法制審の部会でもう少し、ある意味で絞り込んだようなものが漏れているとか、これがないと実際に要綱案を提出したとしても不都合が生ずるみたいな話について盛り込まれるということが割合と多いのだと思うのです。ですから、これも含めてですけれども、事務当局に精査をしていただいて、これまでの附帯決議の内容とか、やってきたことも参照して、どこまで部会として、附帯決議としてこういうような関係する機関へのお願いとかそういうようなことについて可能なのか、できるのかどうかということを精査していただいて、取りまとめをしていただけると有り難いなと思います。
 ですから、この部会で別立てにこれを提案するために議決をするということが本当にできるのか、今の段階でできるのかどうかということや、どこまでを盛り込めて、どこから先はむしろ国会とかそういうところで責任を負って実現のための先ほど言いました環境整備とか支援の強化ということでやっていただけるかということを検討した上で、出来る限り前向きに御検討するようお願いしたいと考えています。つまり、基本的な意見書の内容そのものについては賛同したいと思うのですが、これを附帯決議にするかどうかということと、どんな内容を盛り込むべきかということについては、事務当局に検討していただいて御提案を頂きたいということです。
○大村部会長 ありがとうございました。棚村委員の御発言も基本的には前の水野委員の御発言と同趣旨であると理解を致しました。その上で、附帯決議ということで国会の衆参両院で行われているようなものを一方で視野に入れ、他方でこれまで法制審で行われている先例を考慮に入れて、その幅の中で何が可能かということを事務当局の方で精査してほしいという御要望として承りました。
 次に落合委員、それから原田委員という順番で伺いたいと思います。

にしても、37回もかけてフリートークしすぎたよね

○落合委員

 委員の落合です。今、水野委員、棚村委員の御発言を聞きながら、附帯決議というものの位置というのは結構難しいのかなと思って伺っていたのですけれども、この部会の中での議論では、法律の中で閉じない、行政と関係があるし、省庁横断的な取組がなければ、この法改正をして実現したいことは実現できないというような意見が繰り返し出てきたわけですね。それを表明する場所がどこにもないというのも、また非常に不都合なことのように思います。法学者の方というのはどうしてもやはり前例を踏襲する形で論を進められる、そういう性質の学問だと思いますし、そうあってほしいと思うのですけれども、それがもしかすると日本の制度を変わりにくくしていることと関係があるのかなと少し考えたりもいたしました。
 附帯決議を出すことに、私はこの内容にも賛成なのですけれども、もしも付けられない場合は、この部会資料の2というのが付いているほうにあります補足説明は、これは公開されないのですよね。附帯決議ができないのであれば、補足説明を付けて公開するとか、何かそういうことができるのだろうかと。附帯決議を付けるのは難しいという、こちらの経験の厚い先生方には、ではどのような形で私たちの懸念を表明できるかという代案を御提案いただきたいと思います。
 形式面はそれでして、次に内容面なのですけれども、私もこの4点、賛成しますけれども、ただ、四つ目の○のところに、先ほど少し述べました第1についての懸念を払拭するようなことを入れていただきたいと思っています。もう一つ項目を設けるのではなく、この四つ目に入れるというのは、少し無理があるかもしれませんけれども。文案として考えましたのが、「に関わる制度について」の後「父母の離婚により」の前に挿入していただきたいということです。「父母が子に関する権利の行使又は義務の履行が可能であるように、またとりわけ父母の離婚により子に不利益が生じないように」というような構成にしていただきたいと思っております。挿入する部分はもっと短くてもいいので、「父母が子の扶養等の責務を履行できるように」というようなことでもいいかなと思います。この第1のところはやはり大きな追加であると思うのです。ですから、それに関することもこの附帯決議の中に入れていただきたいと思います。
 また、先ほど石綿幹事から、私が言ったことについての修正がありました。それには感謝申し上げたいと思います。この第1を入れることで父母の責務を重くしようとしているわけではないという修正でした。私の先ほどの発言が誤解を招くといけないと思いますので、御注意いただいて非常に有り難かったと思っております。ただ、法律の専門家の方たちは、今まで実質的にこういう責務があるということで運用されてきたと御存じだと思うのですけれども、一般の人にとっては、この条文がぱっと目に見える形で出てくるというのは、やはりかなりの衝撃だと思います。それは責務を重くすることではなくて、明確にするということかもしれませんけれども、インパクトはあると思います。ですから、これを盾に取って、それを行っていないと思われる人を責める人も出てくると思います。ですから、それは親個人の責任ではなくて、社会的にサポートをして初めて親はこどもを育てられるのだということをどこかで言っておかないと、やはりこの第1は過剰な効果をもってしまうのではないかと、私は非常に危惧するのです。先ほども例も挙げましたけれども。
 それで、先ほど意見を言いましたときは、附帯決議が提案されたならば通るのかなと思って、それであれば、ここにそれを入れていただくことで何とかこの不安を解消したいと思ったのですけれども、今お話を伺ってみますと、附帯決議も付けられない可能性もあるということですから、それなら多くの人を多分驚かすことになるこの第1も、このままぽんと出してしまうのでしょうか。補足説明なり何なりで、委員の私たちすら懸念しているようなことがあるということを表明することなく、これを出すのでしょうか。非常に割り切れない思いを今持っております。
○大村部会長 ありがとうございます。落合委員からは大きく分けて2点、御発言があったと受け止めました。一つ目は、前のお二人の委員の御発言がありましたけれども、附帯決議を付けられるのか付けられないのかという形での御発言がありました。前の方々も、付けるべきではないということではなくて、付けるとしてどの範囲のことが可能なのかという、程度の問題を議論されているのではないか、必ずしも付けることに反対だという御趣旨ではないと思って伺っておりました。それにしても、付けられないとした場合にどういう対処が可能なのかということにつき、併せて落合委員の方から御発言がありましたけれども、資料の取扱いについて、北村幹事から少し御説明をお願いします。

親の責任は明確になっただけ!

○北村幹事

 繰り返しになるのですけれども、この部会におきましては、資料、補足説明として出しているもの、今回であれば部会資料35-1、35-2のうちの35-2の方になりますけれども、そのような形で従前から補足説明の部分についても公開し、また、委員から出された資料についても基本的には全て公開する、それに基づいて議論がされたことについては議事録で残っているということになりますので、将来的にも、ここでどういう議論がされたかということは、それぞれの委員のお名前が入った形で残っていくということになろうかと思います。それを踏まえて、後々裁判で判断されるとき、あるいは法解釈として積み重なっていくものだと理解しております。
○大村部会長 ありがとうございます。それから、もう1点、落合委員は実質的なことについても御意見をおっしゃっていて、それは○の1、2、3、4と赤石委員はおっしゃったのですけれども、4番目の○で書かれているところに、先ほど話題になった第1についての懸念に対応するような文言を書き込んだ方が良いのではないかと、こういうふう御提案も頂いたところであります。それも含めて、どういうものが書けるかというのを検討していただくということになろうかと思います。一応、今のような二つの方向で受け止めさせていただきたいと思います。
 原田委員、それから大石委員から手が挙がっているようなので、もう一度大石委員ということで、原田委員、大石委員の順番でお願いします。

議事録を使おう!

○原田委員

 委員の原田です。まず、附帯決議に関する意見書については全面的に賛成です。委員の側からこういう附帯決議については限界があるということが次々に出てきたので、何となく意外というか、やはりそこは法務省に考えていただいて、是非工夫していただきたいと思います。
 そういう意味で、是非こういうことを考えていただきたいというふうに皆さんに共有していただきたいという意味で、現在の家庭裁判所の実情を述べます。本庁が50で支部が203、出張所が77なのですけれども、裁判官がいない非常駐支部というのが44あります。出張所も一つ以外は裁判官がいません。こういう状況で月に2、3日しか裁判官が来ないとか、ひどいところは3か月に2日しかない。この2日というのは、2回ではなくて2日なのですよ。だから、3か月に1回、1泊2日で来られるという意味です。調査官がいないところはもっと多いです。調査官を本庁や大きな支部に集めて、いないところに派遣するという形をとっています。このような人員配置というのは、確かに限られた予算の中で管轄地域の人口とか事件数で配置されていると思うのですけれども、こどものことについて意見が分かれたときに裁判所で決めるとすれば、迅速性が求められるわけで、過疎地のこどもについてはなかなか決まらないということは許されないと思うのです。裁判所のパブコメに対する意見でも、親権行使の定めには時間を要するとなっています。その上に事件を受理されてから審理が始まるまでにも今の現状では時間を要するということでは、迅速な決定はなかなか難しいのではないかと思います。
 こういう人的、物的整備という言い方が、法務省と裁判所という関係で緊張関係があるとすれば、このような制度を現実的に実行していくために支障がないような体制というようなものを何らかの形で表現していただけないかなと思いますし、もちろん予算も必要です。正しくこれをやらないと、棚村委員が言われたような不都合が生じると思います。
 もう一つ、法的支援について先日、こどもが法テラスを利用できない話をしましたけれども、離婚関連事件では今でも離婚の調停、訴訟、婚姻費用分担請求、子の監護者指定、これは本案と保全、面会交流の調停審判というように、1組の当事者間で幾つもの事件が係属することが多く見られて、関連事件減額というふうにどんどん減額されて、私たちとしてはすごく苦労なのですけれども、それでも代理援助の立替金が何十万円にもなることがあります。しかも、これを3年で返すのが原則とされていて、これに加えて監護の分掌とか特定分野の親権行使者の指定とかいう事件が入ってくれば到底、貧困なひとり親は負担できません。法務省の中での担当部会が違うとは伺っていますが、これは法務省の担当でもありますし、このような支援がなければ、幾らDVや虐待を除くと法文に書いても、それが実現できないのではないかと懸念しております。是非この点も考慮いただきたいと思います。
 それから、協議離婚についても真摯に合意ができるような支援が必要で、この附帯決議の中にも統計調査みたいな話がありましたけれども、例えば共同親権と単独親権の割合とか、親権の変更の事件、共同親権下での養子縁組の状況、先取特権、一回的申立て、これは私たち弁護士でも多分、うまくいくかなと思うところがすごくあって、これが本当にこの制度でやれているのかというようなことについて十分な調査をした上で、協議離婚についてやこどもの意見表明についても、何年後かには改正を検討するというような附帯決議が入ったらいいのではないかと希望します。
○大村部会長 ありがとうございます。原田委員から、ほかの方々も皆さんそうだったわけなのですけれども、内容については賛成だということを前提に御意見を頂きました。原田委員の主要な意見は、できるだけここに書かれていることが取り込めるように事務当局として工夫をしてほしいという御要望だったと思います。その際に、法務省の管轄に属する事項とそうではない事項があるだろうという御指摘もありましたので、そうしたことも含めて、どういうことが書けるのかということについて工夫をしていただきたいという御指摘として承りました。
○原田委員 すみません、もう一つ、数年後の改正の検討の点も是非附帯に入れていただきたいと。
○大村部会長 それは附帯決議の内容についてということで承ります。ありがとうございます。
 大石委員から手が挙がっていて、そのほかに今津幹事と青竹幹事かな、手が挙がっていますので、大石委員、それから今津幹事、青竹幹事という順番で伺います。

なぜ棄権したのだろう、ってなるけど、附帯決議は賛成票だったかな

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