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法制審議会家族法制部会第27回会議議事録読む1~北村幹事・窪田委員・池田委員・赤石委員

じわじわきてる

今週は議事録読んでいく

法制審議会
家族法制部会
第27回会議 議事録
第1 日 時  令和5年6月6日(火)  自 午後1時30分
                     至 午後5時25分
第2 場 所  法務省20階第1会議室

第3 議 題  家族法制の見直しに関する要綱案の取りまとめに向けた検討(4)
 
第4 議 事  (次のとおり)
 
議        事

6月は2回開催されたので、前半ね

○大村部会長 それでは、予定した時刻になりましたので、法制審議会家族法制部会の第27回会議を開会いたします。
 本日は御多忙の中、御出席を頂きましてありがとうございます。
 本日も前回までと同様、ウェブ会議の方法を併用した開催になりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、まず本日の会議の配布資料の確認をさせていただきます。本日は部会資料27が配布されていますが、この資料は前回会議で積み残しとなった部会資料26と関連するところがありますので、その資料の内容も含めて事務当局から御説明をお願いしたいと思います。

資料説明から

○北村幹事

 事務当局でございます。お手元の資料について御確認いただきたいと思います。本日の会議資料として部会資料27をお配りしております。部会長からも御説明がありましたけれども、本日は部会資料26の前回の積み残しの部分から御議論いただくことになるかと思います。部会資料26のゴシックの3の親権者の変更の部分と、今回の部会資料27につきましては密接に関連する事項がございますので、その内容も含めて御説明をさせていただきます。
 部会資料27では、部会資料25、部会資料26に引き続いて、父母の離婚後の親権者に関する規律を取り上げております。部会のこれまでの議論では、離婚後の父母双方を親権者とすることができるものとするということで民法第819条の見直しをするにしても、この場面での親権者の定めについての父母の合意形成過程に何らかの問題があるケースも想定されるということで、この合意の適正性を確保したり、また、不適正な合意がされてしまった場合にこれを是正したりするための方策が必要ではないかといった御指摘を頂きました。
 この問題については、部会資料26の親権者の変更の仕組みのところでも少し記載をしておりましたけれども、部会資料27では離婚後の親権者の変更の仕組みも含めて、考えられる方策を取り上げているところでございます。
 部会資料27では、まずゴシックの1(1)で、離婚後の父母双方を親権者とするか、その一方を親権者とするかを父母の合意により定めるということを提示しており、その上で(2)①では、この合意について第三者がこれを確認するという仕組みを提示しております。これは、離婚の前の段階で中立的な第三者を関与させることで、その合意の適正性を確保するということを目指すものですが、これを必須のものとするかどうか、つまり、この第三者の確認を受けない限り協議離婚することはできないというところまで規律するかについては、慎重な御意見もあろうかと思います。また、このような手続を設けるのであれば、第三者としてどのような者を想定するかや、この第三者が何を確認するかなどを含めて検討する必要があると思いますので、この点も含めて御意見を頂きたいと思います。
 次に、ゴシックの1(2)②では、離婚の届出後に親権者に関する定めを是正するための仕組みを提示しています。協議離婚の際の親権者の定めを是正する方策としては、親権者の変更の手続を使うことも考えられますが、部会のこれまでの議論では、ハードルが高いとの御指摘もあったように思います。そこで、今回の資料では、離婚の際の親権者に関する合意の形成過程が適正であることが客観的に担保されていないような場合には、離婚後にこれを改めて定め直すことを家庭裁判所に求めることができるようにするとともに、その合意の形成過程の適正性が客観的に担保されているような場合には、そのことを考慮して慎重に判断するという枠組みを試みに提示してみました。
 さらに、ゴシックの1(3)では、離婚すること自体は合意しているものの、離婚後の親権者をどう定めるかについて争いがある場面に対応する仕組みとして、父母が家庭裁判所に対して離婚後の親権者を定めることを求める手続を提示しております。
 部会資料27のゴシックの2では、裁判離婚の場合の手続を取り上げております。裁判離婚の場面では、裁判所が離婚請求を認容する判決において親権者の定めをすることが想定されますが、その際の裁判所の判断枠組みをどのように整理し、規律するかが論点となろうかと思います。例えば、裁判所が子の利益を考慮して判断すべきという考え方があろうかと思いますが、この場面での子の利益の捉え方については様々な御意見や価値観があろうかと思いまして、父母双方を親権者とすることが子の利益の観点から望ましいのはどのような場合か、逆に父母の一方のみを親権者とすることが子の利益の観点から望ましいのはどのような場合かについて、御意見を頂きたいと思います。
 部会資料27の内容の説明は以上になりますけれども、部会資料26と27、先ほど申しましたように若干内容が重複するところがありますので、その関係について付け加えて御説明させていただきたいと思います。
 前回会議の際にお配りした部会資料26では、ゴシックの3の親権者変更についての(注2)及び(注3)で、①父母双方を親権者とするか、その一方を親権者にするかについて父母間に争いが生じた場合に、どのような要件や基準で判断するかという論点や、②の協議上の離婚の際の親権者の定めについて、父母の合意に瑕疵があることが事後的に判明した場面に対応するため、親権者の変更の仕組みを活用してはどうかという論点を記載しておりました。ただ、これらの論点については、先ほど申しましたように、ただいま説明させていただいた部会資料27において、若干内容を変更した上で改めて記載をしております。特に、協議離婚の際の親権者の定めについての合意形成過程の瑕疵を是正する仕組みについては、部会資料27のゴシックの1のところで取り上げております。そのため、本日の会議での御議論の中では、部会資料26のゴシックの3に付された(注2)や(注3)に関する論点については、部会資料27についての御議論の中で御発言いただけますと幸いです。
 部会資料の説明は以上になります。
 なお、前回会議と同様、本日もパブリック・コメントに寄せられた意見をコピーしてつづったファイルを会議室に御用意しております。個人情報等のマスキング作業ができた範囲のもののみでありますけれども、委員、幹事の皆様が会議の前後や休憩時間等に御参照いただくことができるように備え付けております。
 今回もウェブ会議を併用していることから、御発言に当たっては冒頭でお名のりいただきますようお願い申し上げます。
○大村部会長 ありがとうございました。先ほども触れましたように、前回の部会資料26の積み残し分がありますので、本日はまずこれにつきまして御意見を頂いた後、ただいま御説明のあった部会資料27についての検討に入りたいと考えております。大まかな進行についてですけれども、この資料の区切りに対応する形で、全体を四つに区切って御議論いただきたいと思っております。
 まず、前回会議では部会資料26のゴシックの「2 監護者の定めの要否及び監護者が指定されている場合の親権行使」についての検討の途中、赤石委員から窪田委員への御質問を頂いたというところまでで中断し、窪田委員の御発言を先送りにさせていただきました。また、池田委員から、父母双方が親権者となる場合の親権行使の在り方に関連して、部会資料26の補足説明5に記載されている子の居所の指定変更に関する論点について御発言の御希望があると承っております。そこで、まずこれらの点につきまして御発言を頂き、部会資料26のゴシックの2、補足説明5までの論点につきまして、関連の御発言があれば承るということにしたいと思います。
 ここまでを一つの区切りといたしまして、その後、二つ目の区切りといたしまして、部会資料26のうち残っている「3 離婚後の親権者の定めの変更の仕組み」という部分について御意見を頂きたいと思っております。ただ、これは、先ほど事務当局からお話がありましたけれども、部会資料27の1の方で議論すべき事柄も多いと思いますので、部会資料26の3につきましては、親権者の変更に固有の問題についてだけここで御意見を頂き、残りについては部会資料27の1の方で御意見を頂戴できればと思っております。
 部会資料26を終わった辺りで少し休憩を挟みまして、その後は部会資料27の1の協議離婚の場合についてまず御議論を頂き、最後に四つ目になりますけれども、部会資料27の2の裁判離婚の場合について御意見を頂きたいと思っております。限られた時間の中で、たくさんの論点がございますので、進行への御協力を頂ければ幸いに存じます。
 では、まず26の積み残し部分につきまして、窪田委員、それから池田委員の順番で御発言を頂きたいと思います。

事務局説明

○窪田委員

 前回の会議からの持ち越しになっておりました、赤石委員からの御質問に対して簡単にお答えをさせていただきたいと思います。赤石委員からの御質問の趣旨は、常に監護者を指定しても問題はないのではないかというものであったと理解しておりますが、それを前提として2点発言させていただきます。
 第1に、赤石委員の質問は、原田委員と私とのやり取りを踏まえてのものだったと認識しておりますが、そこでの私の発言は、監護者を定めなくても実際の監護に当たる親権者に日常的な事項についての監護が認められるのであれば、監護者を定めなくても対応は可能なのではないかというものでした。したがって、監護者を定めてもやっていけるという御質問とはややずれがあるのではないかと考えております。
 第2に、監護者を定めることに問題がないかは、監護者を定めることによって監護者の権限あるいは監護者とされなかった親権者の権限がどのようなものとなるかという規律を踏まえて検討されるべきものであると考えております。その点で、現時点で監護者を定めても問題がないかについては、直ちにはお答えできないと思います。
 以上、簡単ですが、前回の積み残しということでお答えさせていただきました。
○大村部会長 ありがとうございました。窪田委員から御回答を頂きました。関連の御発言があれば、後で頂きたいと思いますので、引き続き池田委員の方からお願いを致します。

監護者指定必須にしないアプローチ

○池田委員 

弁護士の池田でございます。私からは、別居の際の子の居所指定の場面での、部会資料26のゴシック体1(3)の手続に関して意見を述べたいと思います。
 部会資料26の20ページの(3)の6行目ぐらいですが、(注1)の後の辺りを読みますと、父母の一方が他方の同意を得ずに子を連れて別居した場合にも、事後的に1(3)の家裁の手続を利用することができるという想定に立っているのかなと理解されました。そこでの審理の在り方についてなのですが、仮に親権の共同行使違反といえるかどうかという要素だけによって子の引渡しを命ずるかどうかが決まるのだとすれば、それは適切ではないと考えています。
 ハーグ条約のように、別居時のプロセスに問題があれば、ともあれ一度戻すと、そこからもう一度やり直すという選択肢もなくはないわけですけれども、やはり重要なのは、実質的に父母いずれがこどもと同居して現実のお世話をするのが子の利益になるのかという点でありまして、仮に別居開始時に親権共同行使違反というものが認定されたとしても、それのみでこどもだけを戻すという判断枠組みにはならないようにすべきではないかと思います。現行法では、その審理を行っているのが正に766条類推適用による監護者指定の審判なのですが、その審理の在り方というのは、仮に1(3)の手続が創設されたとしても、なお維持されるべきではないかと考えています。
○大村部会長 ありがとうございます。窪田委員と池田委員からそれぞれ御質問についての回答と御意見を頂きました。赤石委員どうぞ。

隠れた抵抗勢力が暴かれていく・・・子の連れ去り問題・親権共同行使違反

○赤石委員

 窪田委員、ありがとうございました。日常行為が単独でなし得るということを基に議論が進んでいるのですけれども、もう一度振り返りたいと思うのですけれども、今は協議離婚の真摯な合意があった場合には共同親権であることができるといって議論されて、共同の行使の対応を、緊急行為や日常行為については単独で認められるということで、次に監護の在り方について議論をされていると思います。私もこの規定の中で悩んでいるのですけれども、この間は共同親権である場合の監護というのは今の監護者指定と概念が違うというような御発言があり、さらに武田委員からは、監護する場合は双方、相手の監護の分担については口出しをしないのだということ、お任せするというか、そういう態度がいいのではないかというような議論がされました。それはそれで成り立ち得る場合はあると思うのですけれども、4点、やはり監護者指定は一律に指定しないということでは成り立ち得ないということを少しお話ししたいと思います。
 まず1点目は、日常的な親権の行使の内容、確かに食事は何を食べるかとか、いつ食べるかとか、どのくらい量があるかとか、こういったことについては、そのこどもに残すか残さないかとか、嫌いなものを食べるようにどのくらい強く言うかとか、そのときにテレビを見ていいのかとか、そういったことに関しては単独で決めていいと私も思っております。しかし、日常行為の中に命や健康に関わる、これを何といったらいいのか分からないのですけれども、重要事項というと、また重要事項はもう一つあるのであれなのですが、重大なクリティカルな事項というのがその日常の行為の中に含まれていて、アレルギー対応ですとか、薬を飲む、飲まないとか、発達障害のお子さんが大変増えているわけですけれども、それの対応ですとか、医療的なケアの必要なこどもとか、いろいろなことで、その1回の行為で命に関わるようなことになるものがあるということがあり、それを指定しないままでいるということが非常に危険な行為になってしまうのではないか、そこの日常行為の中にある一貫した対応が必要なものについては、特に乳児からが多いと思いますけれども、乳児だけでなく幼児も小学校低学年も、いろいろな障害のこどももそうだと思いますし、大きくなった場合もあると思うのですが、こういったこどもたちを全く決めないというのはあり得るのかというのが思います。それが1点目です。
 2番目は、外部機関とのやり取りをするときに、保育園とか幼稚園とか学校とか医療機関とか保健所等々とのやり取りのときに、一体どこにお知らせが来るのか、一体どのようになるのか、こういったことが全く決めていない状況でやるのかということがあると思います。
 3点目は、これがベースかもしれないのですけれども、こどもの居所、住所を決める。各国のやり方をもう一回見たのですけれども、やはり同居親が監護者になるということが多いのだと思いますので、これに基づき、だから住所を決めるというのはやはり絶対に必要であるとすれば、交代制の監護というのはたまにはあるようですが、それでも住所地というのはどちらかに決まると思いますので、児童手当の受取うんぬん、社会保障の受取とか、そういったこともそこで決まるのだと思います。そういったときにも必要であると。
 4点目は、離婚後の親権者の定めの変更なので、また後で議論すべきということなのかもしれないのですが、真摯な合意が成り立たなくなった場合、一体双方の親権から単独親権に戻すときにどちらに戻るのかというのが紛争になりますので、この合意が成り立たなくなった場合、単独親権に戻すときにどちらかに速やかに決定するためにも、監護者が指定されているべきなのではないかと思っております。
 ですので、一律に決めないという態度がこどもにとっては非常に過酷になる、また、先ほどの4点を挙げて、やはりこの資料26の提案には私は反対でございます。やはりこどもたちの状況から考えれば、指定するということが必要なのではないかと思っております。
 続けて、前回、小粥委員が離婚後の共同親権の規律についておっしゃっていたので、少しそこに言及したいのですけれども、大丈夫ですか。
○大村部会長 どうぞ、続けてください。

一律監護者指定必須のために粘る
長いから分割
つづく

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