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面会交流支援を考える2

つづき 課題克服に向けて の中身をつづる

1.ふりかえり

面会交流をするといっても、まず、同居親と別居親という立場の違うふたりの親が、面会交流をすることを取り決め、その取り決めどおりに履行する、ということに細かく分析できることを指摘してきた。

取り決めまでは、裁判所を介して、あるいは、弁護士のサポートをそれぞれ得ながらたどり着くことができる。法曹が関わるのはここまで、とも言える。

取り決めが硬直的であれば、間接強制を執行される場合もあるし、そういう条件を満たしていなくても、誠実協議義務違反や履行義務の不履行については、損害賠償義務を負いかねない元となるので、取り決め自体は、法律行為であろう。

しかし、取り決めの内容に従って、履行することそのものは、必ずしも法的な行為とは限らず、法曹も関与しない。実際、関与することはあるけども、「これって、弁護士の仕事じゃないよね」、的な語られ方をする実情を分析していく。

2.面会交流~連絡調整

まず、いつ、どこで、行うかが決まっていなければならない。

これを包括的に取り決めて置く場合もあれば、都度取り決めることもある。

前者であれば、

毎月第〇曜日〇時から〇時、受渡場所、〇〇駅

この場合、機械的にその日を待つだけで足りる。ただし、体調不良等の緊急の連絡が必要な場合はある。

後者になると、都度、お互いの都合を調整したり、行き先を踏まえて、待ち合わせ場所を検討する場合がある。事前の連絡調整が煩雑になりうる。つい、余計な連絡事項や感情を盛り込んでしまったら、調整自体が難航しかねない。

そこで、後者に関して、適切かつ円滑に、面会交流実施に関する具体的日時の取り決めをするための、連絡調整支援がある。

3.面会交流~受渡

いざ、いつ、どこで面会交流を開始するかが決まった後は、実際に、当日、当該場所にて開始することになる。開始するには、そこに、お子さんと別居親が会うことから始まる。

お子さんが小学生以上であれば、ある程度集合場所に自ら訪れることができるかもしれない。しかし、未就学児だったり幼かったり、場所によっては、そこに子どもだけでは訪れることができない場合があるから、約束の場所に、お子さんを連れてくるということが、面会交流開始の要素となる。

このお子さんを連れてきて、別居親に会わせることを、同居親自らができる場合もあるが、親同士の顔合わせがNGなことがある。黙って受け渡せば済むかもしれないところを、ついいろいろな意見がこぼれては、不愉快な感情をお互いに覚えかねない。両親のそんな感情にお子さんが触れること自体も慎重にありたい。

そこで、面会交流開始場所にお子さんを連れてくることを、同居親に代わって行うという受渡支援がある。

お子さんを同居親から、別居親に受け渡すのだ。また、帰りも約束の時間に、別居親がお子さんを連れてくるので、お子さんを預かり、同居親に受け渡す。開始時と終了時に、親から親へお子さんを安全に受け渡すことが、受渡支援の中身である。

これを弁護士がすることがある。

同居親からお子さんを預かり、同居親と別居親が接触しない程度の距離を移動し、面会交流開始場所にてお子さんを別居親に託す。終了時は、その逆。

数分から数十分の間になろうが、お子さんと支援者だけの時間がある。

上記、面会交流に関する包括的な取り決めが、裁判所において協議が行われたり、弁護士が関与するゆえに、受渡も弁護士が行う場合があるものの、お子さんを預かり、受け渡すという行為そのものは、弁護士の本来的仕事に含まれるものではないというのも自然な発想であろう。そもそも担わない弁護士もいれば、高額な日当を要求する場合もある。

お子さんを安全に預かり親から親へ受け渡すという業務に近いのは、託児業者ではないだろうか。預かる親と渡す親が必ず違うという意味では、特殊かもしれないが、親から託児を受ける意味では、託児業者、保育士の業務に近い。受渡しそのものを事実行為として行い、それ以外の連絡調整は一切行わないように徹底すると、保育士の専門スキルだけ発揮して、お子さんと打ち解けリラックスした状態での面会交流開始に繋ぐ大事な役目を全うできるものと評価できる。

これを保育士やベビーシッターが担えることになれば、一挙に支援者が増えるだろう。

4.面会交流~立ち会う

受渡しさえ済めば、面会交流は別居親と子どもたちだけののびのびした時間を気ままに過ごせる場合がある。親子が親子らしく過ごせるのであれば、最善だろう。

しかし、現実には、この面会交流に第三者が立ち会う場合がある。

なぜ立ち会いが必要とされるか、連れ去りや、同居親の悪口を吹き込まれるのではないか、子に危害を与えかねないおそれ、諸々の説明がなされてはいる。

幼い子の世話の仕方に悩みがある場合、単純なサポートになることもある。遊び方をアドバイスしたり、ふだん別居している親子が打ち解けていく仕掛けをしてフォローするなど、ポジティブな役割も期待できる。それこそ、保育のプロたちがアドバイスをすることで、より充実した面会交流が叶うことも期待できる。

立ち会うという目的を超えて、共にスポーツや、いろいろな文化的体験を親子で得る機会となれば、親子の交流を見守りながら、普段なかなかできない体験になることもあるだろう。

面会交流のあり方は、今後幅広く柔軟に飛躍していく可能性を秘めていると考えている。

たとえば、出張カメラマンは、お子さんの記念撮影をするときに、笑顔がこぼれる仕掛けをテクニックとしてもっているから、面会交流に立ち会いながら、ほぐし、ついでに、記念撮影もして思い出に刻み、親子をサポートするという面会交流と記念撮影のコラボもあり得るだろう。

面会交流が、親子がのびのびと交流する時間であることはもちろんのこととして、しかし、だからといって、いつも親子二人っきりで過ごさなければならないものとも違うはずだ。

より楽しく、文化的で有意義な時間へと面会交流を充実させるために、各業界がおのおのの得意を発揮することで、面白い時間になりうるのだ。

ただ、現実の立ち会い支援は、まだ、面会交流専門業者が独占しており、立ち会い型のため、面会交流場所や時間が制約される場合もあるというのだ。

立ち会い型であるがゆえに、まるで監視されているような思いを覚え、次第に面会交流自体がつまらないものとなってしまい、潰える例も聞く。

5.面会交流支援のあり方を考える

以上を踏まえ、面会交流は、連絡調整をして日時場所を決め、受渡によって開始・終了し、立ち会いの有無や在り方によって、内容が幅広くありうるという実情が見えてきた。

弁護士が立ち会うには、法律事務所の会議室で短時間という場合があり、幼いお子さんにとって楽しいものになるのか限界が想像しやすい。

保育園等の託児機関が、休日に場所として提供している例があり、保育士が立ち会えば、普段子どもたちが遊びやすい空間で、保育のプロに見守られながら、普段子どものケアに不慣れな別居親でも、安心安全の交流が実現するだろう。託児機関の進出を期待したい。

これまで、面会交流支援業者やそのスタッフがどこまで保育のプロであるかはわからないが、受渡・立ち会い支援が、子どもと接触する活動であることに注目し、保育のプロとしてのスキルを満たすかどうかを公的に認証するなどして、支援者の充実や質の向上を期待したい。

そして、実は、最も支援者の専門的スキルが要求されるのは、連絡調整の在り方ではないか。

検討したい。

つづく

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