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法制審議会家族法制部会第37回会議議事録読む5~赤石委員・大石委員・竹内委員・大村部会長

いよいよフィナーレ
記念すべき折に、陳情デビュー(?)

国際的にあの有名なあの事件も節目

今日はこれくらいにして、議事録読み切っちゃおう!

○赤石委員 

ありがとうございます。赤石です。これまで21年の3月からですかね、3年間振り返り、要綱案が、私は反対ですけれども、取りまとめられたということでございます。それを振り返って、改めて思うことを述べさせていただきます。
 まず、やはり要綱案を立法する、その立法事実があったのかということは、ずっと疑念を持っておりました。そもそも父母の協力関係は単独親権下でも、できる者はできているので、そこに制度で介在するということがどういう意味を持っているのか、また、離婚後こどもと会えないと訴えている親御さんの事例が、今までもヒアリングを幾つも受けましたが、果たして共同親権制度の導入で解決する問題だったのだろうか、もしかしたら裁判所の迅速な運用とか、違うところで救われたというのはないか等々、思っているところです。
 第2に、やはりこどもたちの視点というのが欠けていると思いました。いろいろなお子さんたちが声を上げてくださっていますけれども、やはりこどもの声をきちんと聴き届けるというところが、少し旧態依然というか、そういうふうになっていたかと思います。この要綱案のデメリットとメリットを考えますと、私はデメリットの方が激しく多く、そして、メリットは法定養育費やそのほかの制度等あるとは思いますけれども、それに比べて非常にデメリットの方が大きい案であると思っております。本当にそのように言わなければいけないのは残念ですけれども、そうなっているかと思います。
 一つは、DVや虐待事例は離婚後の親権を決めるときには排除して、そういう場合には単独親権になるのだという第2の2(1)キですかね、その辺りで議論されたことは一歩前進であったと思いますけれども、やはり懸念はずっと募っているわけです。この人たちは本当に離婚時に、離婚前にDVがあったことを証明することが皆さんできるのだろうか、これから大量に出てくる親権変更の手続において証明する書類を持っているのだろうか、そういう危惧はもう毎日表明されておりますし、こどもの立場でもう本当に、お母さんと逃げた後も父親がストーカーのように付きまとってきて、お母さんの職場や自分の学校にやってきたというような事例があって、非常につらい思いをしたというようなことを言っておられる方もいました。
 一方で、無関心や音信不通ケースというのも大きな塊でいるのですけれども、こちらについても議論がとても足りなかったと思います。例えば、共同親権者が本当に関心を持っていないようなケースで、果たして黙示的な合意とかそういうのだけで処理され得るのでしょうかということが、また、そういう方たちはあるときにはこどもに関心を持つのですよ、彼女に振られたとかですね、あるときには全然、知らん顔しているのですね、こういうすごく波のある人間関係を共同親権制度ということで縛ることが果たしていいのだろうかということを思ったりしております。それから、長い間、共同親権で成人になるまで続くだけの体制ができているのだろうかというようなことも思いました。監護者の指定を一律にしないというところも、ずっと私どもは言い続けたわけなのですけれども、それはしませんというような御対応で終わりました。とても残念に思います。このように、メリットとデメリットを考えると、デメリットの方が膨大であると思っておりますので、私は反対させていただきました。
 また、議論の進め方についてもとても残念です。確かに私は法律家でありませんし、法学部も出ていないので、本当に適切な表現をするというのが大変難しくて、御迷惑を掛けたかと思います。しかし、私が質問を投げ掛けても、半分も事務局からのお答えは頂けなかったと思っております。それは例えば、DVがあった場合に急迫の事情というのを拡大解釈して、DVがあった場合にはお子さんと逃げることは認められて、居所指定権がそのときに単独で認められ得るとしても、その後に被害側が安全に監護者指定を獲得して、刑法のこどもの誘拐罪などに怯えずに暮らせる手順を教えてください、少し戒能委員がおっしゃっていることに近いことかもしれないのですけれども、そこの整合性がないですよ、ないというか、もっと教えてくださいと申し上げましたけれども、それはもうこの案に書いてありますみたいな御対応であったり、それから、パブリック・コメントの暫定版に果たして本当に共同親権制度を導入しないとデメリットが非常に多い方は事例がありましたかと4月の時点で聞いたと思います。明確な答えはありませんでした、私の記憶では。全部そうではないですかとも非公式に言われました。そんなことはありません。
 それと併せて、パブリック・コメントの手続の不備として、全貌を委員が読めなかったということです。8,000通のうち団体が九十何通ですから、七千九百何通が個人の方、その中のパブリック・コメントのまとめにはごく少数の、100か200ですかね、書いてあるだけです。私はこれについては、なくていいのだというような、そこまで読む必要はないという方もいらしたのですが、やはり運用を考えれば、そこで安心・安全な制度を作らなければいけないわけですから、当然ながらそれを全部読んで、この人はこれだったら救われるのだという制度を作らなければいけなかったのではないかと思います。
 私は本当に稚拙な発言が多かったかとは思いますし、御迷惑を掛けたこともあるかもしれませんが、ひとり親とこどもたちを支援する側として、会員はうちのNPOでも1万人以上、またサポート団体全体ではそれの倍ぐらいの会員さんのお声を聴いているわけです。お答えがなかったり、つまりは法律に明るい方の意見の方が取り入れられ、あるいは別居親の側の意見が取り入れられた運用ではなかったかという疑念を持っております。ここまで言ってしまって申し訳ありません。こういう法制審議会の運用と、それから、委員さんがそれを、私は知らないですよ、推進派がとても強力だから、まあ少し妥協しましょうみたいなところでまとめてしまっていたのだとしたら、とても残念なことです。なので今回、附帯決議も、意見書は出させていただいたのですが、少し不十分なところがあって、大変御努力いただいたことはありがとうございます。消えたパブコメ問題は、今後の日本の司法あるいは日本の行政において、こういう手続が容認されることを審議会として認めたのだということになるのは、私はとても恐れております。そんなことで、この要綱案の評価と、取りまとめの経緯への疑問というのをお伝えしました。
○大村部会長 ありがとうございます。赤石委員からは、3点にわたって所感ないし御意見を頂戴したかと思います。どうもありがとうございました。

最後に全部ぶっちゃけたが、到達点が消えたパブコメ問題とは、、、
とにかく3年間お疲れ様でした
共同親権になりますね

○大石委員

 委員の大石です。ありがとうございます。佐野幹事が弁護士委員の方たちのお話をまとめられたことに賛同いたします。
 今回の要綱案ですが、法律以外の制度整備と運用の問題が非常に大きいというのは共有されている認識であるかと思います。先ほど落合委員から税制関係の問題点の提起がございましたけれども、私は第22回の会議に、雑誌に掲載した論考を資料として提出しております。その中で、扶養控除など税制の問題と、それに絡んで、僅かな養育費を支払うことによって、支払う側は大きな税負担の軽減になるのですが、受け取る側はむしろ生活水準が低下し得る、児童扶養手当の削減などとリンクされてしまって生活水準が下がり得る、また、就学支援制度などの利用も難しくなるといった様々な問題が玉突き的に生じかねないということについて問題提起させていただいておりました。
 また、この要綱案の中に出てきている法定養育費のシステム構築、これについても、新たな制度を構築するわけですので、法律にとどまらず制度構築のところにこどもの貧困をなくす上で非常に大きな期待が掛かるところではありますが、それについては是非こども家庭庁に司令塔としての役割を果たしていただきたいと考えております。今日は審議官がいらっしゃっていますけれども、是非お願いしたいところです。様々な官庁が絡む問題ですが、これをリーダーシップをとってまとめ上げていかなければ、今回の新しい要綱案の実現にはほど遠い結果となることが見えておりますので、その点は声を大にしてお願いしたいと思っています。それから、こども家庭福祉制度が創設されるわけなのですけれども、そうしたこどものソーシャルワーカーが、虐待防止だけでなくこどもの意見聴取をしたりするというような面で家裁と連携するとか、様々な面で、役所の縦割りではなく、飛び越えたような連携が行われることを強く希望いたします。
 最後は、予算の問題なのですけれども、やはりあらゆる面で家裁の役割が大きくなるということが見込まれる中で、充実した予算が配分されることを期待するのですが、そのためにほかの予算が削られるという形で行われるのでは、やはり困るわけであります。ですので、ここ描かれた新しい法制度の在り方、そしてこども真ん中社会の実現というのを実施する上には必要な経費であるという認識で、立法に当たってはそういった新たな予算措置などが行われることを強く希望しております。
○大村部会長 ありがとうございます。大石委員からは、先ほどの佐野幹事の御意見に賛成ということのほか、3点にわたって御要望ないし御意見を頂戴いたしました。
 そのほか、御発言を御希望の方はいらっしゃいませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、皆様から御発言を伺ったということにさせていただきまして、ここで法制審議会家族法制部会の調査審議を終了するということにさせていただきたいと思います。
 部会での審議を閉じるに当たりまして、事務当局を代表して民事局長から御挨拶を頂きたいと思います。
 では、竹内委員、お願いいたします。

結局反対までできなかった大石委員
目覚めてほしいわ

○竹内委員 

民事局長の竹内でございます。当部会の審議の終了に当たりまして、担当部局を代表して一言、御礼の御挨拶を申し上げます。
 当部会における審議でございますが、令和3年3月30日の第1回会議から本日まで、合計37回に及んでおりまして、この間、委員、幹事の皆様におかれましては多岐にわたる論点について充実した御審議をしていただきました。心より御礼を申し上げます。
 父母の離婚後の子の養育の在り方は、子の生活の安定ですとか心身の成長に直結する問題でありまして、子の利益の観点から大変重要な課題であると認識をしております。こうした課題について、子の利益を確保するため精力的に御審議を頂きましたことに重ねて御礼を申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。

子どものための法改正であった


○大村部会長

 最後に、私からも一言御挨拶を申し上げます。
 民事局長からも今お話がありましたけれども、この家族法制部会は2021年3月末に開催された第1回の会議から数えまして、本日まで3年近くにわたって37回の会議を重ねてまいりました。
 前の例を振り返ってみますと、2011年に実現いたしました親権法改正についての10回、それから2018年の相続法改正の26回、2019年の特別養子法改正の10回、そして22年の実親子法改正の26回、これらに比べますと随分多くの時間を費やして審議を重ね、本日ようやく要綱案を取りまとめるに至りました。まずは熱心に御審議を頂きました皆様に御礼を申し上げます。
 部会での取りまとめに当たりましては、審議の手続の面で特徴的な点が二つございました。一つは、最後まで若干の反対意見が残ったということ、もう一つは、要綱案のほかに附帯決議を取りまとめたということでございます。いずれも民法関係の部会では異例のことでございますけれども、それぞれ理由のあることであったと受け止めております。
 部会での審議対象の中心は、離婚後の子の養育に関する問題でありましたけれども、この問題は非常に困難な問題でした。第1に、審議対象そのものの難しさというものがありました。離婚時あるいは離婚後における夫婦、父母の状況は様々であり、離婚後の子の養育につきどのような規律をすべきかは一律にはなかなか決められません。また、父母のうち子を監護する者としない者とではその置かれた状況が異なるため、どちらの観点に立って考えるかによって大きく立場が分かれます。さらに、どのような決定を行うことが子の利益の観点から望ましいか、様々な学問領域の知見に基づいて様々な見解が示されておりますけれども、それらは必ずしも一致を見ません。そのため、部会審議の初期においては委員、幹事の間での意見の隔たりが大きく、中間試案では複数の選択肢の組合せを示すということになりました。その後、本日の要綱案に至るまでの間に様々な修正、調整を重ね、できるだけ多くの委員の賛成を頂ける案を模索してまいりました。最終的に賛成を頂いた委員の中にも、個別の論点については御不満をお持ちの方もあろうかと思います。他方で反対をされた委員も、全ての提案に反対というわけではなく、今回まとまった案に対して一定の評価をしていただいた上で、なお賛成できない点が残るという御判断を示されたと理解をしております。
 第2に、審議対象の外にも難しい問題がございました。離婚後の子の養育に関する問題は、離婚の当事者のみに委ねるだけでは十分な解決ができないことが少なくなく、手続面でも実体面でも様々な支援が必要とされます。このことは審議の当初の段階から繰り返し指摘されてきたところでございますけれども、これらの問題は部会の審議対象ではないので、要綱案に含めることができません。しかしながら、委員からの附帯決議の御提案を受けまして、事務当局において他の部会の先例等を調べていただき、一定の範囲での決議が可能ということが判明したため、こちらについては、内容は全員一致とはなりませんでしたけれども、決議を行うこと自体について御異論がなく、附帯決議を取りまとめるということができました。
 採決による決定は異例なことではありますけれども、十分に議論をしてできるだけ意見を集約するという部会の伝統は実質において維持されたものと受け止めております。今後これを先例として採決による決定が濫用されるということはないものと思っております。附帯決議もまた、初めてのことではありますけれども、現代における家族法の在り方を考えますと、当事者の決定に対して様々な支援が必要とされるということは改めて強調されてよいことであろうと思います。部会の審議事項、審議経緯との関係で不可欠の点に関する決議であり、これも熟慮の上のことであったと受け止めております。
 要綱案の内容について個別に振り返ることはいたしませんけれども、最後に家族法改正全般について、二つのことを申し述べさせていただきます。
 一つは、家族法が民法の一部であることの意義についてです。民法は、個人と個人の関係として社会を捉え、家族の関係も、人格、財産、契約、責任などに係る関係とともに、この社会を構成する重要な要素として位置づけ、他の関係との調和を図りつつ規律しております。こうした基本的な規律を定めることが、これをベースに外部からの様々な支援体制を整えることにもつながります。こうした観点から見ると、養育費につき先取特権が付与されたこと、DVへの対応が具体的な形で書き込まれたこと、そして父母の相互尊重、協力への言及がなされたことなどは、市民社会における家族の在り方につき中長期的な方向性を示すものとして重要な意味を持つのだろうと受け止めております。
 もう一つは、改正の在り方についてでございます。家族法改正は少しずつ進んでおります。狭い意味での家族法、民法の親族編について申し上げますと、15年ほど前に将来の立法課題について一定の整理がなされたことがございますけれども、それらについての改正は一応、一回りしたように感じております。もちろん残された問題はたくさんありますし、本日も今後の課題として幾つかの重要な指摘がなされておりました。また、これまでの改正要綱中の提案のうちでなお実現されていないもの、あるいはその後、新しく現れた問題もございます。これらについては、次のサイクルにおいて新たな検討がされていくものと思います。難しい問題もございますけれども、そうした問題を議論するための経験を私たちは積んできており、この先の改正においてもこうした経験に基づいて、良い案を探し出すことができるものと信じております。
 最後に、意見集約の非常に難しい困難な課題に取り組み、案の取りまとめに向けて熱心に御議論を頂きました委員、幹事の皆様、また事務当局の皆様、それから関係官庁の皆様に改めて御礼を申し上げます。どうもありがとうございました
 以上をもちまして、家族法制部会の審議を終えることにいたします。
 熱心な御議論を頂きまして誠にありがとうございました。これで閉会いたします。
-了-

大村部会長 お疲れ様!!


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