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法制審議会家族法制部会第34回会議議事録読む5~戒能委員・赤石委員

夫婦別姓も話題になっているところ

それよりも、これはハイライト!!議事録読む

○大村部会長 それでは、再開したいと思います。
 引き続き部会資料34-1について御意見を頂戴し、できれば部会資料34-2に入りたいと思っております。
 それで、休憩の前に、先ほど赤石委員と戒能委員に後で残りの部分について御意見を頂きますと申し上げておきました。それから、池田委員から御発言があるのではないかという予告もありましたので、まず、このお三方に御発言を頂いて、更に御発言があれば伺うということで進みたいと思います。時間もだんだん押してきているようですので、戒能委員と赤石委員にはコンパクトな形で御発言を頂ければと思います。

しょっぱなから、コンパクト要請

○戒能委員

 発言の機会をまたいただきまして、本当にありがとうございます。先ほど委員から、これは部会長のまとめで、ルールの設定について、やはり英米法系と大陸法系という問題がある。日本の民法は大陸法系と整理できるのでしょうか、当事者の合意にまず任せて、合意ができなければ裁判所の判断で、その裁判所の判断も様々な事情を一切合切考慮してというような、そういう仕組みでずっとやってきたわけなのですが、やはり心配されているのは、運用がどうかというところだと思うのです。条文を読むなどということは市民はあまりないかもしれないですが、見たときに、これは自分のケースはどうなるのだろうかということを普通は考えるわけです。そのときに専門家がきちんと説明できるのかということです。
 ですから、抽象性から来る運用の危惧という問題をどうクリアするかということで、せっかく新しい家族法制を構築していこうという、しかも対立があるという場面、領域ですので、ここはせめて合意できるところは、運用の面で少しそういう枠を突破できるような工夫ができないものだろうかと、どういうことかというのを今すぐに私は提案できませんけれども、考えたいと思っておりまして、そういうことをまず申し上げたいと思います。それから、最後の方の議論で監護の分掌ですが、事項の分掌なのか期間の分掌なのかというようなところも含めて、これは紛争が頻発するのではないかと、皆さんこれも危惧されていらっしゃると。
 そこについても、今日頂いた参考資料のオーストラリアで、明確には分からないのですが、2ページ目の最後のところに、長期化する対立した訴訟がもたらす悪影響からどうやってこどもを守るか、その際に強大な権限の付与というのは、どこになのかということが、大きな問題になっているらしいということが分かります。ですから、その点についても、リーガルハラスメントという用語も前に出てきましたけれども、それは費用負担の問題、時間の問題、それから精神的負担の問題、それがこどもに与える影響の問題、きちんと議論をして対応策を明示しないといけないと、先ほどの議論とオーストラリアの改正法を見て感じました。
 それで、早く終われという、なるべく短くということなのですが、ゴシックの2の方で、6ページから7ページのところなのですが、修正案も出ておりましたが、(6)で基本的に少し疑問に思っている点だけ申し上げます。これは、裁判所が親権者を父母双方にするか、一方とするかを判断する場合の考慮事項を書いているわけなのですが、ここでも一切の事情とまとめておりますけれども、後見的機能を持つ家庭裁判所が判断基準をもってそれぞれのケースで判断をしていくということが可能なのかどうかということをお聞きしたいのが1点と、それから、もしそれが可能だとするならば、そういう判断基準を規定するのであればということなのですけれども、子育て、養育に関しては、濃度の濃い、薄いはあるにせよ、親の一定の考え方に基づいて子育てというのは行われているのではないかと思うわけです。何か判断しなければならないときに、どういう自分の価値観に基づいて判断をしていくかということになると思うのと、送られてきた札幌弁護士会の意見書にも書いてあったことなのですけれども、極めて個人的な問題で価値観の問題に国家権力の介入という問題につながらないのかということです。
 そうすると、こういう父母と子の関係とか父母の関係とかというのは、少しこれもよく分からない記述です。特に、父母と子の関係と書くのであれば、子の安全と安心、先ほども申し上げましたようなこと、子の最善の利益を確保することを中心としてとか、そういう文言を入れた方がいいのではないかと考えます。ただ、それは家庭裁判所がそういう判断ができるという仮定に立った上での話でありまして、そういう判断をするというふうにここで持って行くのかどうかということは議論になると思っております。
 それから、先ほど修正案も原田委員から出ておりましたが、またということ以降ですね、これはやはり、ほかのところもそうなのですが、DVとか児童虐待を明確に、落合委員が言ったように、条文上も記述した方がいいと考えております。ただし、これも危惧なのですけれども、本当に共同親権が不適切であるケースを全て判断して除外できるかどうかということは、どうなのかという疑問を持っております。ですから、一つは提案としては、DVとかチャイルドアビューズは明確に単独親権にするということをきちんと規定する。運用上、適切な判断が現在されているのだろうかと、ニュートラルフラットと言われていますけれども、その辺りの危惧が大きいのではないかと思っております。
 それから、3番目の3のゴシックで、監護者指定の問題です。13ページ以降ですが、これは補足説明の14ページですね、監護者の定めをしないことにより不都合が生じ得るケースがあるとの指摘があるけれども、全ての事案において監護者の定めを必須としなければならないかどうかという議論なのだとしていますが、やはり不都合が生じるケースこそきちんと事前に審議しておくべきだと思っております。
 どういう不都合が生じるかというのは今までも出ておりますから、省略を致しますけれども、実際にここもまた紛争を裁判所の判断に委ねるとなると、適切な必要な医療が不可能になったり、遅れてしまって、それが子の利益を著しく害するということも、現場の方々は、医療の現場の方々、それから学校とか行政とか、危惧されると思います。ですから、その辺の議論の方が重要だと思っております。必須としないではなくて、それは必須とすると修正していただきたいと考えております。
 それから、あまり議論が出ていないところですけれども、同じ3のところで、たたき台の3(4)ですが、ここはあまり議論しなくてもいいのでしょうか。それで、監護をすべき者の行為を妨げない限度で監護者ではない側の親権者が日常の行為を行うことができるというところなのですけれども、それがこの補足説明の文章では、15ページの上の方にこれをまとめて言い換えているのですが、④というところで、監護者ではない親権者が監護者の身上監護を不当に妨害することができないものとされているとまとめているのですが、このまとめで正しいのかということが疑問であります。同居親としては、その判断を誰がするのかとか、もしそういう妨害行為があったら同居親は何ができるのかとか、相手方にどういうことが法的な行為として必要とされるのかとか、制裁措置があるのかとか、そういうことがはっきりしないというところで、不当に妨害することができないとまとめることの可否が疑問であります。少しその辺は説明をしてほしいと思っております。
○大村部会長 戒能委員、大分長くなっていますので。
○戒能委員 大分長くなっているということですけれども、でも、あまり急がせないでほしいと思います。
○大村部会長 すでに、十数分に及んでいますよ。
○戒能委員 それで、この一文の効果というものを同居親というものの立場から考えると、大変大きいのではないかと、安定した一貫した養育が不安定になってしまうのではないか、それが子にも影響を与えるのではないかということを危惧するということです。
 一応ここで終わって、また別の機会に。
○大村部会長 全部おっしゃってください。ただ、短くお願いいたします
○戒能委員 分かりました。どうも申し訳ございません。
 それで、これはゴシックのところには直接関わりないのかもしれませんが、補足説明の文章で大変気になっているところがありまして、15ページの記述です。不当に妨害することができない、のすぐ下の方なのですが、父母の責任に差を設けるとか、父母の一方が優先的な地位を獲得することになるなど、こういう表現がふさわしいかどうかというのは是非御検討願いたい。ここにもやはり子の利益が最大の目標である、優先事項であるという考え方がきちんと入っているのかという疑念や、疑問が生じるということを申し上げて、終わりにしたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。最初におっしゃっていただきましたけれども、民法に規定を置いたときに、その運用がどうなるのかということが問題になるということで、それをできるだけ明確にするような努力をしたいということを全体的な御意見としておっしゃったと理解を致しました。そして、具体的なこととしては2と3がありますけれども、2については(6)について御意見をおっしゃったかと思います。その中で2(6)については、家庭裁判所にこういう判断ができるのかということをおっしゃったかと思いますが、親権者の指定及び変更ということ自体は現に家庭裁判所はやっていますので、一定の場合に家庭裁判所が判断するというのは難しいのではないか、こういう御意見として受け止めさせていただきました。書き方としては、(注2)に出ていることをどうするかということとも関わるのですけれども、やはり具体的な基準を(6)の中に書き込むということで、先ほどの運用上の懸念を払拭するというような方向で考えたいという方向の御意見として承りました。それから、3(1)については、これは原田委員と同じ方向の結論だと理解を致しました。そして、ここに挙がっておりませんけれども、3(4)について補足説明の説明が十分ではないのではないかということで、工夫をしてほしい、併せて15ページのその下のところに出てくる説明についても見直しが必要なのではないか、こういった御意見を頂いたと理解を致しました。ありがとうございます。

長!

○赤石委員

 ありがとうございます。しんぐるまざあす・ふぉーらむの赤石でございます。2の父母の離婚後の親権者の定めについての論点整理のところから意見を言わせていただきます。その前に、先ほど黙示的な同意についての期限がどのくらいなのかというのは、できれば少し御示唆を頂けると大変有り難いです。これは事務局への質問です。
 意見の方を述べさせていただきます。この論点整理の中で、認知した場合においても、親権は母が行うものとするが、父母の協議で父母の双方又は父を親権者と定めることができるという(3)についての規定がございます。ここについてそれほど議論がないまま進んできてしまっていることに本当に反省をしておりまして、私どもひとり親の会員さんが1万人ぐらいいらっしゃることになってしまっているわけですけれども、多分10%以上、未婚のひとり親の方がいらっしゃると思うのですが、この方たちの意向というのを現段階のところで聴かないといけないということを、なかなかできなかったので、皆さんにお伝えもできなかった。中間試案のときに未婚のひとり親のところもあったのですが、それほど注目されていないので、皆さん分かっていらっしゃらないのではないかという危惧があって、本当に緊急に意向を聴いて、今頃出しているのは本当に申し訳ありません。
 ただ、そうはいっても認知の後に共同親権になることができる規定を設けるか、設けないかとかいうことはこどもの身分関係にとても大きな影響があり、例えば、非嫡出子差別の撤廃についてずっとこの何十年進んできたわけですけれども、ものすごく大きなテーマとしてやってきたのと同じような事項がここにさらっと入ってしまっているということが、いいのかどうかが非常に不安になったので、お伝えします。ごめんなさい、言い訳が長くて。更なる実態の把握というのは必要だと思います。私どもの調査の結果は配っていただいております。ありがとうございます。
 それで、結論だけ述べさせていただきますが、要するに認知の手続の後、共同親権を望む方と望まない方がいらっしゃいました。それから、法定養育費についてはやはり、まだ分からないという方がすごく多かったと思いますけれども、期待されている方ももちろんいらっしゃいました。ただ、認知の手続の後に申立てによって共同親権が裁判所で決まることができることについて、認知という手続が一方の側だけでできることから、父の確定が一方の手続でできるような後に、その共同親権の申立てができることになることについて、やはり問題を感じている方がいらっしゃる。認知が一方的にできるという制度を改めた後に、やはりこういうものがあるべきではないかというような議論があったことをお伝えしておいた方がいいし、今までのいろいろ論文を見ても、そこを指摘されている方はいらしたように見受けられました。日本の認知制度は、母の合意なくても任意認知はできるというところが、やはり気になるところでございます。あと、認知した後、法定養育費がほぼ自動的に決まるということについては、その制度により認知を避ける父親側が出てくる可能性があるわけで、これをどう考えるのかということも議論がなかったので、やはり議論しておくべき必要があると思います。
 それから、お付合いをしている間にDV被害を受けたりストーカー被害を受けているような、そういう関係性の中で一方的に妊娠をさせられて、認知をされてしまい、共同親権まで持ち込まれたというようなことが起こらないとは限らないので、やはり暴力被害の拡大の可能性というのは、レアケースではあっても考える必要があるのかなと思いました。
 それから、一般的にやはり強制認知までされている方というのはすごく少なくて、でもいらっしゃったのですけれども、非常に大変であるという記述もあったので、やはり知識の周知とともに法的な手続についての支援というのが手厚く必要ではないかと思いました。離婚前後の法律手続の支援というのを無料でやっているような機関もあるのですけれども、ここに明示的に未婚のひとり親とかいうのが対象であると書かれていないようなケースもあるので、しかし、強制認知を求めて、更に養育費を求めるという手続はかなり大変であるというのは書かれていたので、是非その辺りのインフラ整備と一緒にやはり議論すべきであると思っていて、私はこれを全く議論しないままこのたたき台が決まってしまうような方向というのは非常に罪責感を感じますので、皆さんにも是非御意見を頂きたいと思っております、ということがあります。
 その上で、この論点整理のほかの意見なのですけれども、子の意思というところで先ほどいろいろな御議論があったかと思います。時代というのは、やはりこども家庭庁ができ、こども基本法ができ、年齢や発達の程度に応じて意見の尊重、最善の利益を優先して考慮されるということはこども基本法にもある、この時代にやはり子の意思というのを何らかの形で私は書き込むべきである、自分のことを自分で決めたいという、このことを尊重すべきであるとは思いますが、過度にそのことで何か不都合があるというのは、なかなか想像はできないのですけれども、あれば、そこは配慮しつつ、入れていく方向ではないかと思います。
 この間も大学生の方のお話を聞いたのですけれども、ずっと別居しているけれども、父親が離婚を認めないために共同親権下で数年過ぎていて、非常にストレスがあると。高校で普通高校から通信高校に移りたいというときに、許可をもらいに父親のところに面会に行くことを父親から要求されたと、もう本当に高校の転学すら父の許可が要るということに絶望しましたというような御意見を頂いております。このように、やはりこの方が親権者の指定変更を求めたいと思ったときに、高校生になっていたらできるのか、そういった子の意思を考慮するというのは必要であると思います。
 それから、10ページから11ページの補足資料の書き振りについてお伝えしたいと思います。婚姻時は共同で親権を父と母が持っていて、それが離婚後に、例えば単独の親権になった場合には、そこでこどもの親権者が2人の状態であるというところから身分関係に変動を生じさせているという観点で、子の利益に合致するかどうかということを書かれているのですが、非常にこの書きぶりが違和感がございました。婚姻時に確かに共同親権なのですが、先ほどどなたかがおっしゃったように、その末期には親権の行使というのがもう本当に破綻しているというか、子の利益に合致していないからこそ変動が生じる必要性があると考えられるので、このような二人の共同親権者、これが一人になったら不利益ですねというような図式というのは非常に違和感がございます。先ほど言ったように、高校の転学すらうまくできないというような機能不全が生じている状況を考えるべきだと思います。だから、この書きぶりというのが許されるのかというのは、私としては反対です。
 その次に、(3)のところに、離婚時の親権者と定めについて、これは窪田委員が前回おっしゃったことなのかなと思うので、三つのパターンがあるということをおっしゃっていたかと思います。その後に、この①、②、③のうち、①と③は当事者は子の養育に責任を持って関わっていく態度を示していると考えられるというようなことが書かれております。私はこれは、親の権利としての親権の考え方を持っている人が自分の権利を主張していると見受けられるので、こういう書き振りは非常に容認できないと思っております。自分の権利が侵害されるのが嫌なので親権を調停で主張しているような方も見受けられることから、ではあなたはきちんと親権行使できるのかと聞かれると、いや、こどもの面倒は全部母親、こどもの祖母ですね、に任せます、みたいなことを平気で言って、途中で諦めるみたいな方たちの話も聞きますので、親権というのを親の権利と誤解しているような主張をされる方たちもいらっしゃるのを、単にここで責任を持って養育に関わっていく態度を示しているというだけを書かれるのは、非常に現実的なところで違和感がございます。このときに、父母の一方が子の養育に関し他の一方との共同の関係維持を強く拒絶するケースも想定されるというような形式的な解釈というのは、非常に実態と合っていないと思いましたので、少し考えていただきたいと思ったところでございます。
 その論理がずっと何か続いていて、12ページの中段ですが、父母双方の合意があることを必要とする旨の修正を求める意見については、一種の拒否権を父母の一方に付与する結果となるというようなことが書かれておりますけれども、これも非常におかしな論理であります。この拒否権という言葉は、これまでの審議会の議論の中であったのでしょうか。私は少し32回のところ検索しましたけれども、ありませんでした。もしここで新たに書き加えたのであれば、撤回していただきたいと思います。それぞれが子の利益を考えて、合意がないと運用できないということを考えての、合意を必要であると言っていることを、拒否権であるというふうな言い方をすることには非常に違和感があります。
 12ページの(4)の平穏なコミュニケーションのところですけれども、平穏なコミュニケーションを取ることができないというのは私が申し上げたところです。ただ、ここについては、そのほかに含意されているというようなことを言われているように思うので、それが明確であれば、平穏なコミュニケーションというのが条件としてあるということが言われていれば、ある程度はよいのかなと、平穏なコミュニケーションというのは親権者の定めについて父母の協議が調わない理由その他の一切の事情に含まれていると書かれておりますので、一定少し譲歩をしようかなと思ったところです。
 13ページにもその後もありますけれども、子の利益を害する事情がないにもかかわらず身分関係の変動を要求するということを、何か一方の親の全くの我がままで共同親権を拒否しているかのような書き振りは非常に、共同親権であることによってこどもをきちんと育てることができないのではないか、それはDVとか精神的な暴力も含め、あるいは意思疎通ができないとかコミュニケーションができないとか思っているひとり親の気持ちを全く踏みにじったような表現であると私は思いますので、これは撤回していただきたいと思っております。
 続いて、3について。
○大村部会長 すみません、短くお願いします

やっぱり、長!!


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