CoCTRPG自キャラ小説「ワスレナツキ」

第1節「夏希」

深い、深い森を抜けて

私は小さな丘の上で仰向けになり、空を見上げていた。

途方に暮れていた。と言うやつだ。

「七月....どこ行っちゃったのさ...」

親友の七月が姿を消して1週間が経っていた。

目を閉じて、思い出す。居なくなる直前にここで七月話していたことを。

(「もし....もしさ。俺が突然いなくなったらどうする?」

「なぁに?急に。遠くに行きたくなったなら、私も連れて行ってよね?」

「いや、そうじゃなくて。なんというか...心の距離的な?」

「...あー、そっちかぁ。そうだなぁ.........」

「.......え?ナツ??寝てない?」

「んぇっ!?寝てない寝てない!!芝生が心地よくなんてなってないよ!!!」

「....寝てたでしょ?」

「あはぁ....ごめんごめん。その質問がどういう意図なのかは分かんないけどさ、七月がもし選んだことなら、それは仕方がないのかなって。」

「...そっか。」

「でも手が届くうちは抵抗するよ〜?だって唯一気兼ねなーく話せる男子だもん。偏見とかもないじゃん?」

「それはまぁ、そうだけどさ。」

「それともなぁに??自分みたいな根暗がが一緒にいたら、ナツがまた変に思われるとか思ってる?」

「うっ....」

「当たりかぁ...そろそろ私のこと信じてよぉ...いつも言ってるじゃん?緩くやってこぉ〜って。」

「...そうだね。ごめん。」

「良き良き!気にすんな!よし、帰りにご飯食べて帰ろ!今日はお姉さんが奢ってやろう!」

「...ナツ財布あるの?」

「....あ。」

「おバカ。」

「うるせー!うるせー!じゃあ七月が奢れぇ!」

「めちゃくちゃじゃんか...まぁいいけど。」

「あ、いいんだ。じゃあ決まり!ちょっと蒸し暑くなってきたし、そろそろ行こっ。」

「...なぁ、ナツ。」

「んー?」

「....いや、いいや。」

「なんだなんだ?」

「ド忘れ」

「嘘つけ!!まぁいいけど。言いたいことはハッキリ言っても、夏希お姉さんは怒んないぞー。」

「ハイハイ」)

あの時、何を言おうとしたんだろうか。
分からない...。

もう一度、目を開く。
頬を伝う雫が冷たい。

「本当にいなくなんなよ、おバカがよぉ....」

空に吐き捨てたこの罵倒が、七月に届くことを願っていた。

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