あきらとさんが企画した幸せについて書いてみようの小冊子化プロジェクトがついに完結しました。この企画に僕はレイアウトデザイン、組版（文章を読みやすくする為に文字サイズや文字間、行送りを調整する作業）、そして表紙デザイン担当として携わりました。小冊子というには、あまりに厚い本の写真が「届きました！」という言葉と共にTwitterのTLに続々と上がってきます。

窓際から入る日差しや夜の光を受けた表紙、ぬいぐるみにお気に入りのコーヒー、大好きなペットや綺麗な石や栞と一緒に…
届いた人の数だけ様々なシーンに本の表紙が登場します。まるで生まれたての赤ちゃんを見るような気持ちでその写真たちを眺めました。

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表紙デザインは、全ての組版が終わりかけた頃に作業を開始しました。校正を他のメンバーがゴリゴリやってくれている間にデザインを考えます。

４人の校正パワーはホントすごかったね。誤字脱字は勿論、僕の編集ミスまでキチンと見つけてくれて頼もしかった。無駄な半角が入っている、改行場所がオリジナルと違う、引用符の付け方にバラツキがある …
校正コメントがびっしり入ったPDFを開くのが怖いくらいだったよ。(笑)

デザインは８案作って、３案に絞りメンバーに見せました。DM上でメンバーが次々に自分のお気に入りをコメントしてくれたのですが、これが見事に意見が割れた。一人2票じゃ決めきれないから、一人１票にして再投票してもキレイに割れる。最後はリーダーのあきらとさんに決めてもらおう！となって選ばれたのが今回の表紙です。デザインのベースにあるのは、２面性。

今回のテーマ “幸せ” という言葉は、ポジティブな意味が強いけど、同時にネガティブな側面もある。寄せられた全ての作品を繰り返し読みながら感じたことです。幸せを感じながらも悲しくて泣くこと、ありませんか？

ポジティブとネガティブの境界は、とても狭くて曖昧で “幸せ” はその境界線の上にある気がします。その二面性を “置き方によって変わるデザイン” で表現したのが今回の表紙です。

他の２案は、交わるをキーワードにデザインしました。

いずれも空がテーマになっています。時間により変化して交じり合う空色が、かたちのないものたちのイメージと重なったんですね。３案とも全部お薦め！という気持ちでデザインしたので、メンバーの意見が割れたのは嬉しかった。DM上で僕以外の４人が議論しているのを嬉し楽しく見ていました。

議論の流れから３番目の案になると思ってたんですね。ところが、あきらとさんから「いっぱい考えたけど１番で行きます！」とのtweetが。こういう時に「えっ、ちょっと待って」というコメントが入らないのが、おでん幸（編集メンバーのグループ名）のよいところ。「いったれ、いったれ～～」とリーダーの決定を４人で後押ししました。

表紙デザインが決まったあと、僕が一番悩んだのが黒部分の色味。白地は満場一致で「ペルーラ（パール加工された加工紙）」に決まったけど、黒色はかなり悩んだんだ。

印刷データはC（シアン）M（マゼンタ）Y（イエロー）K（クロ）という4色で構成されてるのね。
色を安定させたいならK単色がベター。印刷機による色ブレもさほど気にならない。ただ、今回、ほんのり赤味を感じる暖かい黒にしたかったんだ。CMYKのベタ塗りは印刷機のブレが大きいと、思ってもみない色になる。

安全策でK単色にするか？
多少のリスクはあるけど理想の混色黒狙いか？

入稿直前まで悩みまくって最終的に混色指示にしたんだ。本が届くまで変な色味であがってきたらどうしよう…とずっとドキドキしてた。あきらとさんが「届いた！」とDMに写真をあげてくれたとき、ズームして真っ先に色味を確認したよ。イメージ通りの色に仕上がっていてホッとしたんだ。

noteと本の違いってなんだろう？

本が手元に届いてからずっと考えてました。同じ作品でもnoteで読むのと本のカタチになって読むのでは印象が違うんです。なんでだろう？と何度も頭を絞って思ったのは...

重さが違うんですよね

はい、改行太字にして当たり前のこと言いました。でも、これ大きいんですよ。noteのマガジンにいくら記事数が増えてもスマホの重さは変わらない。入稿データを作った僕のPCもいくらデータが増えても重さは変わらない。

でも、紙の本は頁が増えれば重くなる。作者が多くなるほど、編集に時間をかけるほど、関わる人が多くなるほど、作品への想いと重みが増していく。編集メンバーになり、その重みを感じる事が出来たのは幸せでした。

それを一番実感しているのは、この企画をしたあきらとさんだと思うけど、どれくらいの重みだったんだろ？

いつか直接聞いてみよう。

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はぁあ～～、終わってしまった
編集作業が佳境のときは、テレビ見たい！
もう寝た～い、と何度も思ったけどさ

DMに皆のアイコンがピョコピョコ出たり
30分離れたら未読DMが80件になってたり
文章の書き方を真面目に語り合ったり

終わってみれば全部良い思い出だねぇ
書いてたら少し淋しくなっちゃったよ
グループDMも残るし今まで通りなんだけど
この淋しさがどこから来るのか分からないよ

だから

いつか５人で乾杯しようよ
オフラインが難しかったらオンラインでも
おでん食べながらさ

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