見出し画像

縁のこと 東京旅行③


今回も東京を旅行した時のことを中心にお話していきたいなと思います。

湯島天神と旧岩崎邸庭園を訪れた私。
そこから近いということで、無縁坂の辺りを歩いてみようと思い立ったのです。


無縁坂と無縁寺


✮無縁坂について

無縁坂とは、旧岩崎邸庭園と東大の間にある坂道です。
昔、坂の近くに無縁寺というお寺があったそうで、それが由来してこの名前になったとのこと。

無縁坂の上からの景色。
散歩していた時には気付かなかったけど、ビルの隙間からスカイツリーも頭を覗かせてる!

森鴎外の『雁』では中心人物である岡田青年の散歩道として登場します。
以前小説を読んだのですが、その事が頭の中に残っていて!鴎外作品縁の場所が近くにあるということで、せっかくだからと足を運んでみました。

その『雁』にはこんな一節があります。

岡田の日々の散歩は大抵道筋が極まっていた。寂しい無縁坂を降りて、藍染川のお歯黒のような水の流れこむ不忍の池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。

引用:『雁』青空文庫より

読んだ当時、「寂しい無縁坂」なのはどうしてなのかな、と不思議に思いその情景を想像していたのだけれど、程よく人の気配を感じられる街の通学路だな、と感じました。

✮無縁寺について

続いてはさっきも出てきた、無縁寺とはなんぞや、という話です!

名前は聞いたことあるような、ないような…?くらいのふわふわとした認識だったので調べてみました。亡くなった人、中でも供養をする親族などがいない人を弔うためのお寺だそう。

『雁』で「寂しい無縁坂」と書かれていたことを不思議に思っていた、と書いたけど、縁を持たずに亡くなった人を弔うお寺に由来する場所だから「寂しい」と感じたのかな。

縁について考えてみた

『雁』の岡田青年はこの場所に寂しさ、親類に供養されず死んだ者たちの哀しさを感じている。

一方で私はと言うと、優しさや温かさを感じていた。

死んだ時には親類との縁は既に無かった人達だけど、死んだ後に無縁寺で供養される。そこには同じような経緯で供養された人達が他にもいて、同じお寺で供養されているという新しい縁が生まれているのかも。そう考えると優しい場所だな〜って。


人間関係を振り返ると、いつの間にか切れていたり、切れたと思っていたものがまた結ばれていたり、切れそうで切れなかったり…と色々。

中には、このまま切れませんように、そう願いたくなるような縁も。
解けないようにする努力はしたいけど、あまり手に力を入れすぎては相手の側から解かれてしまいそう。

自分で行動したり、その時々の流れに任せてみたりしながら、上手いことご縁を続けられたらいいな。

メタモルフォーゼの縁側

縁が入る言葉って色々あるよね、と考えていた時に思い浮かんだのがこの作品でした。
BL漫画を通して繋がり、交流を深めていく女子高生(うらら)と老婦人(雪)のお話。
映画では芦田愛菜さんと宮本信子さんが演じています。

メタモルフォーゼとは「変化」「変身」という意味。

うららと雪がお互いとの出会いと交流をきっかけに変化していく姿が印象的でした。


うららは考え方や人間関係が良い方に進んだり、同人誌を出してみようと思い立って行動したり。

夫に先立たれた雪も、BL漫画に触れ、それによって生きることに対して前向きになっているように見えました。

うららと雪のように、縁の中には自分自身に変化をもたらすものも。
いつか振り返った時に、そんな縁が多かったらいいな。



執筆当時から100年以上も経てば様子も変わっていると思うのですが、作中の時代にも東大はある。当時お屋敷や下宿があったのが、現在ではマンションやアパートに…という感じかな。今も当時も学生や教員も行き交うそう変わらない風景なのかも。

いずれにせよ、作中の登場人物が通っていた当時の無縁坂のイメージが膨らみました!
調べれば写真でパッと出てくるけど、実際に行ってみるとより具体的なイメージができる気がする!

就職して忙しくなるけど、可能な範囲で色々なところにお出かけ出来たら嬉しいですね。

この記事が参加している募集

振り返りnote

散歩日記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?