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『意志と表象としての世界』第三巻 まとめ

 主観に対する客観の世界は表象であり、表象としての世界は意志の客体化である。ということはつまり、いまや意志が表象となったのである。

 われわれにとっては、意志とは物自体であり、イデアとは一定の段階におけるこの意志の直接の客体性にあたる。

 歴史、自然学、数学(共通の名前は科学)は、様々な形態をとった根拠の原理に従っており、あつかう主題はどこまでも現象である。

 そういうことであれば、世界の様々な現象の中の真の内容、意志の直接的な客体性であるところのイデア、これを考察するのはいかなる認識なのだろうか?

 それは芸術である。芸術の起源はイデアの認識であり、芸術の目標はこの認識の伝達ということにほかならない。

 芸術は天才の業である。天才とは、純粋に直観的な振る舞いに自己没入する能力のこと。がんらい意志への奉仕のためにのみ存在する認識に対し、この奉仕をさせないようにする能力のことである。

 「揺らぐ現象の中にただようものを、永続する思想によってしっかりと繋ぎとめる」(ゲーテ『ファウスト』)

 天才とは意志現象の異常なエネルギーの強さであり、この現象はあらゆる意志の動きの刺激を介して表に現れる。

 天才的な個人は、理性が弱いのではなく、感官や悟性による直観的な認識が、抽象的な認識よりも圧倒的に優勢であり、直観的なものへはっきりと芳香が向いているのである。

 ここから長い芸術論がはじまるが、面倒くさいのですべて省略する。

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