2-教える技術ヘッダ

学習者からの要請があったときだけ手助けに入るプロクターが自律性を養う。

火曜日は「教えること/学ぶこと」のトピックで書いています。ここしばらくは、授業や研修の設計と実施について書いています。

新しい知識を自分にあったスピードで、しかも完全に理解する方法として「個別化教授システム=PSI」を紹介しています。その特徴は以下の4点です。
 (1) 講師は講義をせず、学習者は用意された独習教材を使って、自分のペースで学習を進める。
 (2) 1つの学習ユニットが完全に理解できたかどうかは、通過テストに合格することで保証される。
 (3) プロクターは、学習者10人程度に対して1人の割合で用意され、学習者から求められたときに、個別に指導する。
 (4) 講師は授業内容としての講義をしないが、動機づけのため授業内容に関連した短い話をすることができる。

前回は、通過テストというシステムの説明をしました。通過テストは、その単元を完全に習得したかどうかを確かめるものであって、成績をつけるものではありません。したがって、合格するまで何回でも受けることができます。通過テストの役割は、学習者に不完全な理解があれば、それを指摘することです。

今回は、(3)のプロクターの役割を紹介します。

プロクター (proctor) は、英語の辞書を引くと、試験監督員などの意味が載っています。その通り、通過テストの試験官役をすることもあります。しかし、プロクターの役割の中心は、学習者に対して個別に指導することです。

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